第67話 勤勉なる怠惰#2
メルトが死んだ――それはあまりにも突然の出来事だった。
何でもない日常の、何でもない日々。当たり前の生活の、当たり前の仕事。
それが全てバラバラに砕けたような喪失感が、リュドルを容赦なく襲った。
「......」
膝立ちになり、呆然と見つめる眼下。
そこにいる白い布を被せられた弱冠六歳の少年が横たわっている。
顔を診なくてもわかる。メルトだ。大事な家族で、大切な弟だ。
いつも元気で、時にやんちゃで、そんで家族のために頑張ってくれる.....そんな自慢な弟。
たった半年前だ、父親のバルゼンを失ったのは。
にもかかわらず、こんなにも早く家族が自分の近くから消えていく。
それも、まだこれから楽しいこと、嬉しいことの未来が待っていたはずなのに。
「バカ.......こんなのってないよ......」
メルトを挟むようにして反対側、まるで地面を舐めるような姿勢でノルンが泣いている。
顔を両手で覆って、どうしょもない感情をぐしゃぐしゃの声に乗せて泣き叫んでいる。
その悲痛な叫びに当てられたように、リュドルの瞳にも静かに涙が流れた。
「......冒険者が見つけてくれたみたいだ、森の奥でな。
見つけた時はもう息を引き取ってたらしい。死因は魔物だろうとのことだ」
リュドルの傍らに立つ近所の人が、沈痛な面持ちで情報を伝えてくれた。
しかし、その情報を聞いたところで、「だからなんだ」としかならない。
そんな話を聞いたところで、メルトが帰ってくるわけでもない情報に何の価値も感じられない。
とはいえ――、
「どうして.....森なんかに」
そう言葉に出すほどには、メルトの行動に関しては不可解さを持っている。
というのも、メルトには散々街の外は危ないから出てはいけないと言い聞かせていたのだ。
そしてメルトはその言いつけをしっかり守っていた。
元気でやんちゃで、時にワガママな所もあるけど、父親の死の一件以来聞き分けのいい子になったのだ。
それこそ、聞き訳が良すぎて兄としては少し複雑な部分もあったが、決して家族の迷惑をかけるような行動をする子ではなかった。
だからこそ、わからない。どうしてメルトが森に行ったのか。
「――そういや、メルトちゃんが森に行く前、誰かと話してたな」
その時、リュドルの耳に一人の男の証言が届く。
ザワザワとして、あまりにも聞き取りずらい声量が席巻する中、確かに捉えた声を頼りに肉体は導かれるようにその男へ移動した。
そしてすぐさまその男の胸倉を掴むと、畳みかけるように言葉を投げつける。
「おい、今の話はどういうことだ!? 誰かって誰だ!?
メルトは誰と話していた!? お前の見ていたものを全て答えろ!!」
「お、落ち着いてくれ。俺が見たのは外套を着た大人だ。
フードをしてたから顔は見えなかったが、体格的に男だろう。
んで、そいつが何かをメルトちゃんに伝えた瞬間、メルトちゃんが血相変えて走り出しちまったんだよ。
そしたら、このありさまだ......俺だって子供がこんな酷い目に遭うのはあんまりだって思う」
「その男の仕業か.....!」
愛すべき弟を殺すキッカケを作った憎き犯人。
その犯人像が浮かび上がったことで、リュドルの怒りの矛先が定まる。
この怒りをどうにかして晴らしたい。
だから、まずはよりその犯人の姿を明らかにしていこう。
「ノルン、オイラ決めたよ」
「え.......?」
「メルトの仇を必ず取るって」
メルトの近くによると、リュドルは自分の意思表示を示す。
すると、泣いていたノルンも涙を拭い、同じ決意の表情で立ち上がった。
「私もやるよ。出来ることなら何でも言って」
「あぁ、わかった」
メルトの死をキッカケに、犯人を見つけることを決めた兄妹。
商人としての仕事の傍ら、少しずつ少しずつ情報を集めていく。
その結果、徐々にメルトが森に行く前の状況が明らかになって来た。
しかし、二人は気づいていなかった――肉食獣は既に標的を定めていたことを。
****
何かを顔に思いっきりぶっかけられ、感じる冷たさに意識が引っ張り起こされる。
額から頬、それから顎に向かって雫が伝い、それが水だと気づいたのは目を開けてからのことだ。
前髪の先、顎の先からポタポタと雫が滴り落ちる。
額に張り付く前髪や、顎先に集まる雫の不快なこそばゆさを拭おうと手を動かす――
「――な!?」
しかし、手はまるで動かない。
思わず顔を動かせば、頭上で鎖によって繋がれているではないか。
それだけじゃなく、脚に至っては鉄球がついている。
周囲を見渡せば、薄暗く狭い石造りの空間で異臭が漂っていた。
すぐ横には見間違えようもない鉄格子がある。
つまり、状況を整理すれば、自分が捕まったということだ。
状況を理解したことで胸の内側から恐怖が込み上がって来た。
しかし、今にも叫びたい気持ちをグッと堪え、奥歯を噛んで口を閉ざす。
それから無理やり鼻で深呼吸を繰り返し、気持ちを落ち着かせた。
見たところ部屋で一人であり、ノルンの姿はどこにもない。
両手両足は拘束され、この場から動くことが出来ない。
なら、今出来ることはなんだ――ここに至る経緯だ。
「痛っ.....」
記憶を辿り思い出そうとした瞬間、頭に鈍痛が響いた。
激しく痛いというわけじゃないが、かといって気にならないわけじゃない不快さ。
その苦しみに耐えながら、少しずつ命綱を辿るように記憶を手繰り寄せる。
「.....そうだ、確かオイラ達は王都に向かって馬車を引いていて。
で、そん時に盗賊に襲われて――」
「お目覚めかな、愚かな少年君」
「っ!」
記憶の整理に集中していると、突然すぐ近くから声が聞こえた。
その声にすぐさま目線を飛ばすと、そこにいるのは小太りのおっさんだ。
そして、その男にリュドルは見覚えがある。
「サルバーレ商会のクソ野郎.....お前の仕業か!」
「相変わらず口が悪いな。自分がどういう立場かわかっているのか」
リュドルの剣幕を気にすることなく男は一人の護衛と共に牢屋の中に入った。
それから、害虫でも見るような目線を送ると、
「随分とうろちょろ嗅ぎまわっていたみたいだな。
しかし、情報集めに必死で身の回りの危険には疎かとはなんと皮肉か」
「そんなことない。俺は冒険者を雇っていたはずだ!」
「それなら、私の部下の手で死んだよ」
「っ!?」
その一言に、リュドルは瞠目する。しかし、反論の言葉は出てこない。
なぜなら、今の現状がその全てを物語っているのだから。
「いいか、お前は全部の行動が遅いんだよ」
「......どういう意味だ?」
「そのままの意味だ、愚鈍な青年。お前が動いている間、我々とて動いている。
だから、お前が私よりも先に動きたいなら、少なくとも倍は行動しなければいけない。
その想定を愚かにも怠り、遅い歩みで迫ったのがこの結果だ」
そこまで言うと、男は「だから」と接続詞を挟み、
「お前の弟は死ぬのだ」
「――ぁ?」
その一言が、痛烈にリュドルの脳を焼いた。
烈火の如く思考が燃え上がり、赤く染まった視界に男の嘲笑が映る。
瞬間、リュドルの瞳孔が収縮し、目を見張るように剥き出しにしながら飛び掛かった。
「お前の仕業かああああぁぁぁぁ!」
そう叫ぶものの、無情にも殴ることは叶わない。
僅かに移動に余裕のある鎖がガシャンと音を鳴らし、体が前かがみになって男の顔が近づいただけだ。
だからなのか、リュドルの怒りの形相も男には微塵も通用していない。
しかし、それで怒りが収まるというわけでもなく、
「お前、お前が! メルトを殺したのか!?」
「うるさい」
「ぐっ」
男の一言により、護衛の男が動き出し、黙らせるための一撃をリュドルに放った。
殴られやすい位置に顔があったせいもあり、体が横に仰け反るほど大きく揺さぶられる。
それでも倒れることがないのは、やはり両腕を拘束する鎖のせいだ。
口の中を切り、口端から血を零しながらも、リュドルは睨むことをやめない。
そんなリュドルに対し、男は冷ややかな目つきで言葉を並べた。
「私は忠告したはずだ――『罰が下る』とな。
しかし、その忠告を聞かず、辿った末路がお前の弟の死。
これはお前の危機意識に対する怠慢であり、言うなれば自業自得だ」
「ふざけんな! お前が殺したんだろうが!」
「仮にそれを認めて、その証拠をお前は提示できるか?
出来ないだろう? 出来るはずがない。
お前には、力もお金も頭脳も何もかも足りないんだからな」
「――っ」
「とはいえ、これでもお前の経営手腕には一目置いている。
こう見えても、私は例え相手が私を殺そうとする相手でも評価は平等だからな。
だから、どうだ? 私の下で働いてみるのは」
「あ?」
その一言はあまりに衝撃的で、おかしくて、ふざけたものであった。
自分の弟を殺したであろう相手の下で働いていく?
人の神経を逆撫ですれば気が済むのか。
もはや怒りで額に浮かんだ血管が千切れそうだ。
「もっとも、お前に選択肢はないがな」
そんな怒り心頭なリュドルに対し、男は冷たく一言を放った。
その言葉に再び感情を激発させようとした瞬間、男は再び口を開く。
「お前が私の提案を断れば、お前の妹はどうなるかな?」
「お前、ノルンにまで何かしやがったのか!? 殺すぞ!」
「おぉ、怖い。安心しろ、何もしていない。今はまだ、な」
「――ぃっ」
「しかし、お前の態度次第ではどのようにも処分できる。
つまり、お前の選択次第だ。私に服従するか、ここで死を選ぶか――選べ」
それからの日々、リュドルは妹のために生きることを決めた。
それも、あの男に「自分が店に多大な貢献をしたら妹を返してもらう条件付き」で。
一番下の役職からのスタートだったためか、最初の方は苦労しかない日々だった。
パワハラ、ブラックは当たり前であり、ほぼ奴隷のような扱いに近く、心身が苦しめられる毎日。
そんな中でもリュドルがくじけずにいられたのは、妹を取り戻すという使命があったからだ。
要領が良かった方ではないが、必死の頑張りで少しずつ昇格するこができ、そんな時間もあっという間に一年が経過した。
そんなある日のことだった――あの話を聞いたのは。
「にしても、あの緑髪の奴が来てからもう一年になるな」
「あぁ、もうとっくにいない妹を追いかけてるあの哀れな男だろ?」
「確か、下につくことを承諾させた翌日には売ったらしいな。
上玉だったから買い手がつくのも早かったとかで。
けど、だったらなんで昇格なんてさせてんだ? ずっと奴隷扱いでいいだろ」
「聞いた話じゃ、適度に昇格させて着実に進んでる感を与えた方が、変な動きをされなくていいとからいいだとよ。
加えて、そいつに仕事を多めに振れば、相手は妹のために仕事を頑張り、俺達はその分楽できる。
ハッ、よくできてる。考えた奴は悪魔だぜ、こりゃ」
酒盛りする四人の同僚の話、それを少し開いた扉の隙間から聞いていたリュドルは絶望した。
こんな誰も聞いていない状況で嘘をつく必要はない。
つまり、全部本当のこと。妹はもう、この場にはいない。
それを知ってからのリュドルの行動は早かった。
この一年で密かに集めた不正資料を手に、王都への遠征を利用して王都騎士団に告発。
それをキッカケに、騎士団がサルバーレ商会を調べると、その商会の悪事は一瞬にして明るみに出た。
特に違法とされていた奴隷売買の罪が大きく、あえなく商会は潰れることになる。
それから、騎士団が商会の情報をもとに奴隷の行方を辿り、リュドルのもとへ妹が戻って来たのは二週間後のことだった。
「......」
愛しの我が家に帰って来た妹の姿は、見るも無残な姿であった。
綺麗な赤髪はボサボサで、美しい肌は青あざだらけになっている。
殴られた影響か歯も何本か抜けており、瞳は生気を失っているのだ。
騎士団から聞けば、ノルンの買い手は最低最悪の変態貴族だったらしい。
無理やり自分の欲望をぶつけ、気に入らなければ殴る蹴るのは当たり前。
使い潰して反応が無くなれば、まるで家畜に餌を与えるように私兵のための慰安婦として使い回したらしい。
「......ごめん。遅くなってごめん」
ベッドに死を待つ老人のように返事もしないノルンを見つめ、リュドルは悔しさに唇を噛む。
その怒り、悲しみ、後悔は唇から血を流させ、そして口から出る言葉はなんと空虚なことか。
謝罪なんて何の意味も無い。妹がずっと求めていたのは、謝罪ではなく救い。
もはや誰でも良いから、自分の心が壊れる前に自分を救ってくれる存在だった。
しかし、そんな希望は無情にも打ち砕かれ、同時に心も砕け散った。
だから、せっかくの家族の再会にもかかわらず、ノルンは口一つ動かさない。
目線は常に窓、否、青空を見つめている。まるでそこに昇る自分を想像するように。
「オイラは遅かった......遅すぎたんだ」
その言葉を吐き出し、ふとももに置く手でズボンを強く握りしめた。
考えてみれば、当然の結果だ。
どうしてあの男の言葉を信じようと思ったのか。
どうしてあの男が約束を守ると思ったのか。
どうしてあの男の下で頑張れば報われると思ったのか。
愚かだ。愚かすぎる。
少し冷静になって考えれば、気付けるはずのことを「怠」った。
「怠惰」にもそこで思考を停止させ、それが妹を救う最善と思い込んだ。
仮に、それしか選択肢しかなくても、その後の動きは変えられる。
自分が約束した翌日には妹が売られたとしても、自分がさっさと騎士団に告発すれば、まだ心の尊厳だけは踏みにじられなかったかもしれない。
しかし、それも自分が愚かなばかりに相手の術中に嵌っていることに気付かず、ただひたすらサルバーレ商会のために全てのリソースを費やしていた。
「――あなたは、勤勉にも怠惰だった。
それがあなたの罪――「怠惰」の罪」
この小さな部屋の中、リュドルとノルンしかいない空間に第三者の声が聞こえた。
その声はよく耳に透き通り、頭の中で響くようで。
淀んだ空気が浄化されるような冷たい風が鼻やのどを通り、体の内部を犯す。
「......誰だ?」
背後から聞こえる女性的な声に、リュドルはそっと振り返る。
その第一印象は――白い死神であった。
顔は布で覆われ見れないが、伝記に出てくる神様のような美しい金髪に、一枚の布で身を包んだような衣服。
その衣服から見える氷像のような白い肌に、肩の周りに浮かぶ羽衣は、まさにその女性の神聖を主張しているかのようだった。
もっとも、その神のような存在から感じるのは温かみと真逆であるが。
教会に訪れた時のような心が自然と落ち着くような感じとは違う。
ただ肌がチリチリと焼けていくような、心臓を握られてるような静かな威圧感と、あまりにも感情も気配も感じられない冷たさを放っていた。
例えるなら、血も涙もないただ人を殺すためだけの存在となった暗殺者みたいだ。
そんな印象を持つ白い死神。
どうしてこの場にいるのかわからなかったが、さして問題では無かった。
なぜなら、相手がもし本当に死神であるならば、一緒にラクになれるかもしれないから。
「私は......そうね、『無罪の魔女』とでも名乗っておきましょうか。いずれ全ての罪が無くなるしね。
私の体は罪だらけであり、その罪がある限り私は私であり続ける。
そのために必要なのが罪の解放。その役割を担うのがあなたです」
「......さっきオイラのことを『怠惰』の罪と言ったな。
あぁ、そうかもしれない。オイラは愚かで『怠惰』だった。
だから、ノルンがこんな結末を迎えるんだ」
「えぇ、確かにあなたは『怠惰』でした。
しかし、同時にとても勤勉で清らかな心の持ち主でした。
さながら、まだ誰にも触れられていない真っ白なキャンバスのようで。
だからこそ、あなたはよく染まる。罪の色に染まる。無垢に、純粋に染まっていく」
そう言って、白い死神はリュドルの頭にそっと手を置く。
その手つきは、まるで我が子を優しく撫でる母親のような手つきでもって。
「あぁ、やはり染めるなら白ですね。
あなたは『怠惰』を知らず、健気に頑張り勤勉に努めました。
だから、ここまで清らかで――私の『怠惰』の罪を背負ってくれるにふさわしい」
「――ぇ?」
瞬間、リュドルの頭の中にドロドロとした何かが流れ込む。
これは魔力だろうか、わからない。
ただ、酷く不快な何かであることは確かだ。
黒い、黒い黒い黒い黒い黒い黒い黒い。
何か、何か何か何か何か何か何か何かが、がががががぁぁぁぁ。
あた、あ、頭、頭頭頭頭頭頭頭、中中中中中中中中、流れれれれれれれれぇぇぇぇ。
意識が、思考が、視界が全て真っ黒にそまっていくような。
体中のやる気が段々と抜けて空気に溶けていき、あらゆることが億劫になる。
世界のことも、街のことも、家のことも、親のことも、自分のことも、そして弟ま――
「オイラの弟と妹を守らないと」
全身の中が真っ黒になった中で、唯一黒く塗り潰せなかった未練。
それを胸の中に宿したまま、全身から緑色の瘴気を垂れ流し、立つ姿勢は腰を酷く曲げた老人のよにしてリュドルは立ち上がる。
瘴気の影響で眠るように死に絶えた妹の体を両手で抱え、リュドルは店の外へと歩き出した。
街の通りを歩くたびに、周囲にいた人達が意識を失ったように倒れていく。
まるでそれが自分の定めであるかのように。
「弟を守らなきゃ......」
この世界は狂っている。
自分はただ店を守ろうとしただけなのだ。
それがどうして、何の罪もない弟が死ぬことになる?
「妹を守らなきゃ......」
この世界は腐っている。
自分はただ大切な弟の尊厳を守ろうとしただけだ。
それがどうして、理不尽にも妹の尊厳まで奪われる?
「どうして.....あぁ、もう考えるのが面倒だ。
面倒だから、一度全て無くなればいい」
「そう、あなたはそれでいい。あなたは『怠惰』の罪を背負う存在。
あなた自身が『怠惰』の象徴。だから、あなたは人間ではいられない。
あなたは――魔獣よ」
背後からかけられる言葉に、リュドルはかったるそうに振り返る。
それから眺める視線は酷く退屈そうで、感情の色すらなかった。
そんなリュドルに対し、白い死神は最後――
「この世界、周りの人間、好きにしたらいいと思うわ。
ただその罪を背負った際に与えられた使命さえ忘れてもらわなければ。
私にはまだ清算すべき罪があるから――では、さようなら」
そう言って、その姿を空気に溶けるように消していく。
まるで最初からその場にいなかったかのように。
そんな白い死神をリュドルは、
「どうでもいい......それよりも、ノルンを弔わなきゃ」
停止させた思考で言葉を零し、街の中を歩き続けた。
****
―――現在
「......これが貴様の過去か」
地面でボロボロになって寝そべる傍ら、立ち尽くすシェナルークが呟く。
右手に持つ緑の宝玉もといリュドルの核、それをじっと見つめ、
「下らぬ」
一言、右手に力を入れて砕き割った。
読んでくださりありがとうございます(*‘∀‘)
良かったらブックマーク、評価お願いします




