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人類の脅威であるアビスを殲滅するために、僕はアビス王と契約する~信用させて、キミを殺す~  作者: 夜月紅輝
第2章 怠惰の罪、それは愚か者の証

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第62話 シェナルークの降臨、そして「傲慢」と「怠惰」の激突#3

 リュドルは魔法を行使した。

 それはこの世の理を司る魔法の一つであり、名を重力魔法「冥界へ繋ぐ深淵ダイダロス・インパクト」。


 その原理は実に単純明快で、超強力な重力による圧殺攻撃だ。

 超重力によって降り注ぐ圧力は現重力のおよそ一万倍。

 それがもたらす範囲五十メートルの地上は、瞬く間に深淵に姿を変える。


 ぽっかりと開いた穴に太陽光が差し込むが、その底を照らすことは叶わない。

 誰にも暴けない闇が地上に顔を覗かせ、まるでその範囲にあるものを全て呑みこむように口を開けて、重力が上から下の下の下の下の下へ、どこまでも続く闇の中へ引きずり込む。


(なんで......)


 もはや誰にも生存して出ることが不可能な圧殺領域。

 たとえ同じアビス王であれど、飲まれればたちまち身動きが取れず、やがて光も届かぬ底に辿り着いたとしても核が圧壊して終わりだろう。 


(なんでだ......)


 にもかかわらず、リュドルから漏れる心の声は唇を噛むような困惑した感想のみ。

 それもそのはず、そのまさに一撃必殺と相応しい攻撃を受けてもシェナルークがいる。


 目の前にいる。なぜかいる。わからないけどいる。理解不明だけどいる。

 いる......いる、いるいるいるいるいるいるいるいるいるいるいるいるいる――なぜ!?!?

 なぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜ!!

 どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてそうしてどうしてどうして!!


「単純な話だ。貴様の攻撃は、我を殺すに届かない――それだけだ」


 いつの間にか空気椅子をするような姿勢でいるシェナルーク。

 いや、違う。自分の重力によって土の椅子も、手に握っていたジュース缶も呑まれたのだ。

 その中でただ一人、脚を組んで本を読むシェナルークだけが姿勢を維持したまま留まっている。


 現に、今も絶えず超重力領域は発生しているというのに。

 シェナルークの顔色一つ変えず、衣服すら重力の影響を受けて――受けてない?

 そうだ、それはおかしい。万物に重力は平等に降り注ぐ。

 たとえ、それがどんなに軽かったとしてもだ。

 であるならば、衣服や本に影響が出ていないのはありえない。


「防御魔法を使ったな、クソガキ!」


 その事実に、リュドルの口元に僅かながら笑みが浮かべる。

 相変わらず無傷だし、この重力からどのように逃れてるかわからないが、それでもこれまで魔法と両手を縛っていたシェナルークから魔法を使わせたという事実に、鼻を明かしたような気分になった。


「ハッ、それで我を上回ったとでも?」


 そんなリュドルに対し、シェナルークは言葉と共に片手に持っていたパタンと閉じた。

 それからそれを虚空にしまうと、あたかもそこに肘掛けがあるように頬杖をついて、


「我が魔法を使ったのは、貴様の攻撃を防ぐためではない。

 我の大事な書物に些細でも傷をつけないための処置だ。

 ましてや、我を殺す気でいた奴が、我から魔法を使わせただけでその喜びよう。

 随分と程度の低い目標に変更したものだな。弱い貴様にはお似合いだがな」


「ハッ、図星になれば言い訳か? プライドだけは一丁前てか」


「我の前でその言葉を使うか。ならば、その挑発に乗ってやる。

 その吠え面が負け犬でないことを証明してみせよ」


「いつまで上から目線に――ぃ!?」


 シェナルークの減らず口に、リュドルがさらに重力負荷を上げようとしたその時――突然、頬が衝撃に打ち抜かれた。


 その衝撃によって首を軸に頭が高速回転。

 十周ほどしたところで、頭が元の位置から百八十度回転した位置に据わる。

 すると、そこにはシェナルークの姿がいるではないか。


 その事実に驚愕しつつも、リュドルはすぐさま副腕で裏拳を放つ。

 しかし、その攻撃はシェナルークにサッと躱され、そのまま距離を取られた。


(殴られるまで気が付かなかった。いや、そうじゃない)


 整合性が取れない状況に、リュドルは思わず口を少しだけ開けた。

 殴られるまで気づかなかったのはそうだが、その直前まで自分はシェナルークを見ていたのだ。


 ねじれて細くなった首を、一度副腕で頭を抱えて千切り、正常な首の位置とくっつける。

 あいにく先程の攻撃で強制終了してしまった魔法の中心地、姿勢の方向に視線を向ければ、そこには依然としてふてぶてしいシェナルークがいた。


「これは......」


「驚くほどでもなかろう。ただの我そっくりな土塊人形だ。

 ほれ、見たかった魔法であろう? 加えて、両手も使わせてやった。満足か?」


「ギィ......どこまでバカにすれば!」


 もはや噛み砕きそうな勢いで奥歯を噛み、歯ぎしりが大きくなる。

 そして苛立ちを吐き出すように吠えれば、シェナルークは弓なりに口を歪め、


「なんだ、我に相手をしろと? それは傲慢が過ぎる」


「がっ!」


 胸部から感じる衝撃、体が投げ出される感覚。わかる、殴られたんだ。

 それもシェナルーク本人ではない、人形の方に。一瞬にして近づかれて。

 しかも、その一発が軽く数百メートル吹き飛ばすとか、本当に人形なのか。


 空中で姿勢を制御しながら、移動させられた先にあるビルの壁を足場にする。

 スタッと地上のように着陸して目線を正面に向ければ、人形が勢いよく突っ込んできた。


 それを躱した直後、もといた位置に人形が振りかぶった拳を叩きつける。

 瞬間、中層から達磨落としのように建物だ砕け、豪風が突き抜けた。


「だから、人形の威力じゃないだろ!」


 空中に風の足場を作り出し、そこから四つの腕を突き出す。

 その掌から一斉に風の刃をバラまき、依然として追いかけてくる人形に向かわせた。

 一発一発にたっぷりと殺意が乗った弾幕に対し、人形は頭上で鞭を振るうように腕を回すと、


「なっ!」


 風の刃を網のような柔らかい風で絡め取り、逆に投げ返してきた。

 それどころか両手を触れ合わせれば、ゆっくり引き延ばしたそこからいくつもの紫電を走らせ、上空に向かって飛ばしていく。


 天を遡っていく黒い雷が、白く大きな積乱雲に直撃すれば、たちまち白からどす黒い雷雲に早変わり。

 局所的に出来上がった雷雲は徐々に規模を広げ、そして――、


「あぁ!?」


 風の刃を躱し続けるリュドルの左肩を黒い雷が貫いた。

 雷光の槍が、さながらリュドルを最も近くの避雷針と定めるように何度も何度も。

 いや、違う。このしつこさは親の仇のようと言うべきか。


 とにかく空中を飛翔し、自分に向かって落ちてくる黒雷を躱し続ける。

 自分に当たらなかった雷はというと建物や地面に直撃した瞬間、一瞬の光を煌めかせ、障害物を砕き爆ぜさせた。


 雷と呼ぶにはあまりにも対象を狙いすぎであり、威力が高過ぎである。

 そもそも黒い雷など見たことないので、正しく魔法なのだろう。

 魔法を使ってやってるとアピールでもするように派手さも相まっているのかもしれない。


 弾幕で一方的に攻めるつもりが、逆に攻められている始末。

 どうかにしてこの状況を抜け出したい。抜け出したいが、


(とにかく隙がねぇ!)


 雷を躱した直後、真下の地面に落ちるはずの黒雷が先回りしたリュドルにキャッチされる。

 そして右手にもった黒い槍でそのまま突撃してくるのだ。


 斬撃を放って牽制しようとしても、その一切合切は槍で振り払われ、使い捨てのように投げられる。

 いや実際、降り注ぐ雷が尽きない限り、使い捨てなのだろう。

 そのせいで次の行動パターンが非常に読みづらい。

 そしてなにより、


(コイツを破壊しても意味がねぇ!)


 シェナルークに両手解禁、魔法解禁させたまではいい。

 しかし、問題は戦ってる相手が全くもって戦う価値のない人形だということ。


 いくら人形に勝とうと、本体にノーダメージな以上、この戦いはいつまでも続く。

 ましてや、相手は同じアビス王、これ以上ない膠着状態は目に見えている。

 だからこそ、何とかして状況を打破したいのに。


「人形のくせに強すぎんだろ!」


 先程からこっちは<罪禍ノ呪鎧>を使って戦っている。

 この形態は、肉体の攻撃力、防御力、瞬発力、魔法威力といったあらゆるバフをもたらすチート性能をもった本気モードだ。


 しかし、それがどうか。今や人形一つにこの形態で追い詰められている。

 仮に、<悪辣天輪>の効果が効けば、まだ勝率は高かっただろう。

 だが、その効果すらも、シェナルークの侵食領域「不遜」によって通用しない。

 本当に憤死してしまいそうなほど腹が立つ状況だ。


「このまま狙ってても意味がない。本体を狙う。

 あの人形に一体にここまでの性能だ。なら――」


「なら、本体は弱体化してるとでも? それはあまりにも希望的観測だな」


「――がっ」


 聞こえた声に気を取られたのがいけなかったのか。

 突然、現れた正面の足を避けきれず、胴体で受け止めてしまう。


 瞬間、その蹴りで伝えられた衝撃が背中から爆散するように突き抜けた。

 その結果、アビスの唯一の弱点である核が一つ飛び出し、大気を飛翔する。


 すぐさま核から肉体を再生するリュドルであるが、わずかに再生に手間取り、建物の中へ。

 いくつもの壁を突き抜けていく不快感を生身で味わいながら、やがて地面に転がった。


「ハァハァ......」


 止まった時には、リュドルは仰向けになって空を見る。

 視界を覆い尽くすのは、先ほどの美しい青空だった。

 邪悪な雷雲は嘘のように霧散し、白昼夢でも見ていた気分だ。


(先程の蹴りで核に僅かにヒビが入ったな)


 見なくても感覚的にわかる。なぜなら、自分の脳であり、心臓なのだから。

 全く持って異常だ。同じアビス王でありながら、あまりにも次元が違う。

 方や最終形態であり、方や形代の中だ。加えて、明らかな手加減もされてる。


「何が違う......」


 そんな普段なら「面倒くさい」で片づけてしまいそうな思考をグルグルと回し、リュドルの口からポロッと零れ落ちた。


 その疑問に対し、当然答える人物は一人しかいない。

 寝そべるリュドルの近くに着地すると、ついてきた人形を土塊に戻しながら、シェナルークが答える。


「それは当然、我が『傲慢』であるからだ」


 答えであって答えて出ない回答にリュドルが顔をしかめると、シェナルークはさらに言葉を続け、


「貴様が受けた攻撃は、全て我の生の産物だ。我は『傲慢』の王なるぞ。

 なればこそ、何人(なんぴと)にも我の上を立たせることは決して許せぬ。

 であれば、当然我は自らが上であることを常に証明し続ける必要がある」


 腕を組み、胸を張った横柄な態度で答えるシェナルークの言葉。

 随分と回りくどい言い方をしていたが、要するに言っていることは、


「なんだ、誰にも上に立たせないために努力してるってか......?」


「そんな廉価な言葉でまとめるな。

 これは我が上に君臨する者としての義務であり、絶対条件だ。

 ほんの些細なことでマウントを取られてみろ。

 貴様のように低能はすぐに図に乗り、揚げ足を取りたがる。

 実に虫唾が走る話だ。捻り潰したくなる」


「そこら辺はクソガキ感で安心したぜ」


 上半身を起こし、それからゆっくりと体を地上に立たせた。

 そんなリュドルの姿を見ると、シェナルークは両手をポケットに入れ、口を開く。


「にしても、先ほどから貴様の風の使い方はまるでなっていないな。

 圧倒的な魔力で雑に魔法を行使しているに過ぎない。

 あれではただの力押しの暴力だ。

 それは魔法という洗練された技術の結晶の冒涜であり、何より美しくない」


「ハァ? 急に何を言って......」


「貴様は刀を知っているか? あれは実に美しい。

 なぜ美しいか、それは『人を殺す道具』としての機能に特化しているからだ。

 銃もそうだ。一切の無駄を省き、洗練されたフォルムというのは見ていて惚れ惚れする。

 ならば、その技がもっとも磨かれた時は、見てるだけで他者を魅了する美しさをもった時ではないか」


 そう言って、シェナルークがゆっくりと右足を上げる。

 片足立ちになると、そのまま状態でさらに口を動かし、


「故に、貴様に美しさの一端というものを見せてやろう。

 少なくとも、貴様の雑な攻撃よりは見惚れてしまうぞ」


 それから、シェナルークは「いいか」と一方的に言葉を続けていき、


「風魔法の特筆すべき特徴は、『斬撃性』だ。

 つまり、風ほど切断力に特化した魔法はない。

 その切れ味を最大限に活かすのが、風魔法において最も優れた美。

 ならば、刃は鋭く、細く、鋭利に。

 『斬る』――その一点に全リソースを注ぎ込む」


 紡がれる言葉とともに、シェナルークの右足に風が纏われる。

 その風はどんどんと細く尖り、一つの剣のように変化した。

 たったそれだけなのに、なぜかその風は少し美しく見えて。


「そしたら、振るう動きは単純でいい。

 下手な小細工も相手の読み合いも関係ない。

 己自身も刃と化してブラさず振るう」


 そう言って、シェナルークは右足をサッと振った。

 その動きはリュドルの目に捉えきれないものではなく、むしろ遅いと思うほど。


 しかし、その美しさに魅入られたせいか、はたまた思考が停止していたせいか。

 その右足から放たれた斬撃の刃が、リュドルの胴体――核の数センチ下を通過した。


「次元断ち」


 一拍、斬られた衝撃でリュドルの上半身がふわりと宙に浮かぶ。否、それだけではない。

 リュドルの周囲、シェナルークを中心とした半円の地上にある対象物全てが断ち切られた。


 範囲はどのくらいあるだろうか、軽く五キロは届いてそうだ。

 少なくとも、遥か遠くに見える外壁まで綺麗に横一直線の切断面が入ってることがわかる。 


 風の刃が通過に伴って、あらゆる建物が真っ直ぐ上に向かって飛翔。

 正しく胴体を真っ二つにされたような不自然な空洞が開いていく。

 何が起きたかわかるのに、わからないという矛盾がリュドルの脳内にぶち込まれる。


 ただ直感的に理解したのは、自分が得意とする風魔法とシェナルークの風魔法は練度の次元が違うことだ。


 それから数秒後、リュドルの上半身が切り離された上半身にスタッと戻る。

 当然、核を攻撃されたわけではないので、自分に対してはノーダメージだ。


 しかし、同じように元の場所に戻った建物が音を立て崩れていくように、リュドルの精神もだんだんと崩れていくのがわかった。


 崩れた建物により、地面が大量の土煙にまみれる。

 その濁った空気の中、シェナルークの周囲だけはまるで空間が違うように輝いて見えた。

 さながら、自分とシェナルークの心の濁り方を対比しているように見えて。


 同時に、目の前にいるシェナルークがわずかに誰かとダブる。

 あの決して勝てないと思わせるような、眩い輝きをもった存在。

 そう、あの「原罪の魔女」のような――


「で、貴様の渾身攻撃は確か三つだったな。

 あのちゃちな風の質量弾と、ただ力を増しただけの重力魔法.....これで二つだ。

 どうせなら見せてみよ。貴様の渾身を、我が評価してやる」


 相変わらずのシェナルークの上から目線の言葉、しかし今のリュドルは少し捉え方が違った。

 きっと先程までなら、再び怒りに頭の血を上らせる感覚を味わっていただろう。


 しかし、そんな脆弱なプライドも先の一瞬で断ち切られた。

 そもそも立っている場所が違うのだ。

 どんなに相手の上げ足を取ろうと頑張っても、相手の指一本動かせない。


 アリ一匹が像相手に怒りを抱いて噛みついているようなものだ。

 仮に、自分が像でありなら、そりゃ「何言ってんだ?」ってなるだけで怒りも抱かんわけで。


(それでも.....アリにだってちっぽけでもプライドぐらいある)


 その怒りを拳に表し、リュドルは奥歯をギリッと食いしばる。

 恐らく、いや、確実に、目の前の相手に勝つことは無理だろう。

 なら、弱いなりに目標を変えてやる。一泡吹かせてやる。

 もうそれでいい、それが出来れば――


「オイラは満足だ」


「......? 何か言ったか?」


「あぁ、見せてやるって言ったんだ。後悔するなよ」


 そう言って、上空に向かってリュドルがゆっくり浮いていく。

 どんどん高く上がっていくと、やがてそこは地上から五百メートルの地点。

 それから、右腕と右副腕を点に向かって真っすぐ伸ばすと――詠唱を始めた。


「この手に生み出したるは、命の結晶。地母神ガイアの愛し子。

 淀み、歪み、暗澹(あんたん)たる夜を憂い、発露する灯は闇を払い、漆黒の世界に光をもたらさん」


 リュドルの言葉ともに、掌から暗黒の重力球が生まれる。

 それは光すら呑み込む引力でもって周囲の瓦礫を持ち上げ、吸い込み、纏わせた。

 何度も何度も丁寧に重ね塗りするように、瓦礫がくっつき、やがて球体は姿を隠す。


「願え、祈れ、この世界を見守るもう一つの命に」


 小さな小さな球体は、少しずつ纏う瓦礫でその姿を肥大化させた。


「拝み、奉れ、祝福をもたらすこの光に。畏れ、敬え、生命溢れるこの星に」


 最初は離乳食のような小さな瓦礫しか食べられなかった赤ん坊。

 それが今や成長盛りの子供のように、周囲のあらゆるものを食べ始める。

 瓦礫だけでは飽き足らず、地盤をひっくり返し、周囲の建物すら引き寄ていく。


「それ即ち、闇に覆われた時。それ即ち、世界の終焉の時」


 食べろ、食べろ、どんどん食べろ。母は子が元気な姿が一番幸せなのだから。

 大きく、大きく、どんどん大きく。母は子が成長するのが一番嬉しいのだから。

 羽ばたけ、羽ばたけ、どんどん羽ばたけ。母は子が巣立つ日を待ち望んでいるのだから。


「この命、新たな命に回帰せん」


 地上が更地となる。

 茶色く濁った地面が広がり、それらを覆い尽くしていた構造物(ごみクズ)が一掃される。

 コンクリートの建物も、アスファルトの道路も、鉄の装甲車も何もかも飲み込まれていく。


 誰に――母親から巣立った子供に、だ。

 どこに――子供がいる空中に、だ。

 どんなふうに――全てを飲み込む引力に、だ。

 なぜ・どうして――全ては一人の憎き怨敵に一矢報いるために。


「|地母神の祝福を賜りし新惑星ムーンメテオライト

読んでくださりありがとうございます(*‘∀‘)


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