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人類の脅威であるアビスを殲滅するために、僕はアビス王と契約する~信用させて、キミを殺す~  作者: 夜月紅輝
第2章 怠惰の罪、それは愚か者の証

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第55話 怠惰との戦い、そして生きるか死ぬか#1

 途中で別れた四人にライカとアストレアの計六人と別れ、九人で挑むことになった怠惰戦。


 十六年前の「傲慢」のアビス王――シェナルーク=スペルビアとの戦いを考えれば、戦力差は比べるべくもなく、されどその九人、否、自分を除く八人は精鋭中の精鋭だ。


 しかし、その八人も今や半分以下の三人。

 そして現在、自分を含めた四人で辛うじて「怠惰」のアビス王――リュドル=アケディアと戦えているといった感じだ。


 いや、その辛うじてというのも、些か語弊があるかもしれない。

 言うまでもなく、自分達は死に物狂いで戦っている。

 しかし、相手はどうだろうか。果たして死に物狂いだろうか。

 戦いぶりを見る限り、とてもじゃないがそうは思えない。


「乱気龍」


 のたうつ蛇が暴れ回るように、風によって形取られた竜が大きく開けた口で大地を噛み砕く。

 まるで触れるだけで斬撃でズタズタにされそうな気流が二つ。

 つまり、二体の龍が、左右それぞれにいる二組の隊員を狙った。


 躱すだけでも一苦労のそれは直撃せずとも斬り刻まれる。

 周囲三メートル以内に居れば攻撃範囲内だ。


 つまり、攻撃を躱すためには気持ち早く回避が必要であり、そんな一つの攻撃に回避を全振りしていれば、当たり前だが攻撃してる余裕なんてない。

 そして、その隙をリュドルは見逃さない。


「旋風刃」


 ノアの目の前にいる龍が建物に突っ込み、その建物が最初から無かったように細切れになる。

 そんな攻撃から回避したノアと、そばにいるアリューゼに待ち受けているのは、頭上から降り注ぐ回転する風の刃だ。


 回転ノコギリのように激しく回転したそれが、雨のような数で降り注いだ。

 一つ一つが十センチほどの大きさで、その切断力は鋼鉄を斬り裂く。

 それが雨のような数というのだから、頭にでも当たれば即死は間逃れない。


 ノアもアリューゼも致命傷だけを避けるようにして、その攻撃から躱した。

 故に、頬も、腕も、脚も、どこもそこも今や切り傷だらけである。


 その二人と逆サイドの位置にいるのが、四人の内の残り二人であるオルクスとマチスの男女だ。

 緑髪の青年と紫髪の女性が、それぞれ持つ槍と杖で攻撃を防いでいた。


「おぉ、良い調子だな。ノア以外の三人も弟妹のし甲斐があるぞ。

 そうそう、これぐらいは自力で生き残ってもらわなくちゃ、生存能力の高さは重要だ」


「あまり――」


「調子に乗るな!」


 ノアの叫び声、その後半部分を引き取るようにオルクスがしゃべる。

 同時に、両サイドから近接で戦える二人が、リュドルへと肉迫していく。


 先手を打ったのは、中距離から攻撃が行えるノアであり、両手の銃口を素早く何度も引いた。

 大きめな口径から射出される金色の弾丸が空中を高速回転、透明の尾を伸ばしてリュドルを襲う。


 その攻撃に対して、まるで全身からやる気を抜いたような猫背の体勢のまま、最小限の動きでリュドルは弾丸を回避、また一部の弾丸は当たり前のようにキャッチする。


 瞬間、その回避行動によって出来た間隙を縫うように、オルクスが両手に握った槍を連続で突き出した。


「岩砕槍葬」


 一瞬にして巨岩に穴を開ける高速の刺突。

 常人には一度の攻撃にしか見えない数多の突きが空中を泳ぐ。

 当然ながら、当たればひとたまりもない一撃であるが、問題は当たらないことだ。


 袖の長い腕を振り回し、まるで槍がリュドルを避けるように攻撃がいなされる。

 「暖簾に腕押し」という言葉があるが、まさにその状況にピッタリな光景だ。

 もっとも、暖簾の方がもう少し反応は顕著であろうが。


 額に汗をにじませ、手の甲にすら血管を浮かび上がらせながら刺突を放ち続けるオルクス。

 バックステップを繰り返し距離を取ろうとするリュドルだが、その逃げる隙すら与えないと果敢に攻め続ける。


 そんな二人の少し離れた地点で、ノアが横を追いかけながらタイミングを見計らう。

 瞬間、僅かにリュドルの首筋が大きく開いたのが見え、地面を蹴って爆発的な移動をした。


 流れるようにリュドルの背後を取れば、大きく反らせた右足の圧縮を解放――横を薙ぐ蹴撃を放つ。


「脚式・三日月蹴り」


 腕より筋力量に優れている足を活かした強烈な蹴り。

 加えて、シェナルークの魔力を活かした蹴りとなれば、掠っただけでも甚大なダメージを与えるだろう。


(当たる.....!)


 オルクスの攻撃に対処しているリュドルの隙を完璧に狙った。

 そこから避ける隙は無い。少なくとも、逆の立場なら食らってるだろう。

 もちろん、頭を吹き飛ばしたところでリュドルを倒すことには繋がらない。


 しかし、この場で戦ってるのは自分一人ではないのだ。

 一瞬でも隙を作ってくれれば、オルクスが核を貫いてくれる。

 そうノアが思っていた時――肩越しに振り返ったリュドルと目が合った。


斥愚空圧(ハングラム)


「――っ!?」


 ノアの一撃、それは決定的なものであり、距離感からしても外す方が難しかった。

 にもかかわらず、頭を吹き飛ばすつもりで振り抜いた一撃は、無情にも後頭部の数センチ手前を掠める。


 それどころか、ノアの挙動はおかしかった。

 攻撃を外したのなら慣性のままにリュドルの横を通り抜けるはずだ。

 にもかかわらず、ノアが吹き飛んだ方向は斜め下方向。


 華麗に攻撃を外したノアの肉体が、意味不明な進行方向に流されたまま建物へ激突する。

 建物の壁を壊しながら、ファストフード店であろう建物の床を転げ回った。


 しかし、すぐに勢いを利用して態勢を立て直せば、目の前のオルクスとリュドルの攻防に目をやる。

 先程まで防戦一方であったリュドルが、一転して攻勢にも出始めたのだ。


 風の斬撃と水の刺突が周囲に飛び散って、そこら中に甚大な被害をもらたす。

 それこそ、この場所は新都市であれば、多くの民間人に被害が出ていただろう。


 加えて、リュドルが攻勢に出たことで押され始めたオルクスを援護するように、アリューゼの氷の矢と、マチスの水による攻撃が続く。


 水と氷の巧みな連携により、周囲には数多の氷柱が発生。

 それを時折、オルクスが利用しながらリュドルに負けじと攻撃を続けていた。

 そんなところへすぐさま飛び込みたいノアであるが、先ほどの不可解な現象が足を止めるのだ。


(なんで当たらなかったんだ.....?)


 脳内を支配する疑問に、行動のためのコマンドが押せない。

 胸の内側から込み上がる僅かな血が混じった胃液とともに、気持ち悪さにノアは口を押える。

 吐いている暇はない。そんなことはわかってる。


(何が起きた.....?)


 しかし、原因を解明しなければ、先ほどの二の舞だ。

 なぜ......なぜ直撃と確信した攻撃が掠りもせず、すり抜けたのか。

 落ち着け、ここは冷静に、冷静に考えるために――


「検証だ」


 建物の外を出てすぐにノアはオルクスの応援に向かう。

 アリューゼとマチスの援護を受けているオルクスは未だ攻撃を続けているのか、もうあちこちで爆発やら斬撃やら粉塵やらが起きており、街の中はめちゃくちゃになっていた。


 それだけ間髪入れずに攻撃しているということだが、もはやそこまで運動能力であれば、全力疾走のまま永遠に走り続けてるに等しい。


 つまり、無酸素状態のまま動き続けているのだ。

 とっくにいつスタミナが切れてもおかしくない領域だろう。

 となれば、一旦呼吸を整えてもらわなければ、不意に力尽きた時にオルクスは死ぬ。


「見つけた」


 オルクスの現場に追いつき、戦闘している横から銃口を向ける。

 しかし、残像を残すような速度で動き続けるオルクスを当てずに狙うのは、さすがのノアでも無理だ。


 かといって、援護射撃のために止まってもらうわけにはいかない。

 となれば、このままタイミングよく介入して、ゼロ距離で攻撃を与えるしかない。

 酷い重圧に息が詰まり、体が軋みそうだ。だけど、これが望んだ戦いだ。


「拳式・重釘」


 一瞬の判断、リュドルが向けた背中にノアは一気に飛び込んだ。

 両手の銃は一度リングに戻し、フリーハンドにした手を僅かに動かし気合溜め。

 間合いまで詰め込むと、左足で地面を割るほど踏み込み――肘を爆発させる勢いで掌底を放った。


「逆巻く盾」


 振り回された大槌のような衝撃を纏う右の掌、それが吸い込まれるようにリュドルの背中に迫る。

 しかし、その攻撃が当たる直前、リュドルを覆うように風のバックシールドが発生し、乱流する風によって防がれた。


「――っ!?」


 それどころか触れた右手は一瞬にしてズタズタに斬られる。

 衝撃の反動でノアの右腕が無情に弾かれ、弧を描くように大気に赤い液体で線を描いた。

 それでもなお、ノアは諦めない。まだ攻撃は終わっていない。


 右腕を弾かれたことで、ノアの体勢も後方へと崩れる。

 そんな最中、受け身を取るよりも先にノアは左手を伸ばすと、人差し指をひっかけるように曲げた。

 瞬間、その人差し指に引き金が収まるように銀色の銃が構築されていく。


強化弾(パワーバレット)


 すかさず、引き金を引き、多めに魔力を込めた弾丸を放つ。

 その弾丸はすぐに風のシールドに直撃するが、今度はその防御に負けずの貫通力でもって突破。

 直後、リュドルの顔が僅かに後ろを向き――直撃した。


 頭部の上半分が衝撃で消し飛び、リュドルの視界を潰すことに成功する。

 ついに生まれた刹那の隙間、そこへオルクスが飛び込んだ。


 その同時に、ノアも右手に握った銃を後ろに向け、あえて<強化弾(パワーショット)>を放った。

 目的は、一瞬の姿勢制御だ。


 ノアの<強化弾(パワーショット)>は魔力を多く込める分、反動が強くなる。

 その反動を逆手に取り、後ろに倒れる勢いを一瞬だけゼロどころか少しプラスに戻したのだ。


 その隙に後ろ足の位置を調整し、残りは腹筋で無理やり倒れるのを抑えていく。

 上半身が前傾姿勢に戻れば、オルクスに少し遅れて追撃にかかる。


 リュドルの目の位置がどこにあるかわからないが、人間と同じであれば、今は目隠し状態のはずだ。

 ライカのように気配を感知して先読みするタイプじゃない以上、この隙は十分に狙える。


「――いいぞ、抗う気概のある弟は好きだなぁ......オイラは」


 瞬間、リュドルの口が僅かにニヤリと動いた。

 それから紡がれた言葉に、ノアの全身がけたたましい警鐘を鳴らす。

 体の内側から震えるような、もはや動かしまくって熱い全身が冷え込むような――そんな感覚。


「だから、オイラも少し兄らしく見せてやろう――悪辣天輪(あくらつてんりん)


 そうリュドルが言った瞬間、膨大な魔力の衝撃波によってノアとオルクスは、叫び声も上げられず体が吹き飛ばされた。


 水切りされた石のように地面を跳ね回るノア。

 どっちが上でどっちが下なのか、どっちが空でどっちが地上なのか。

 もはやそれすらもわからなくなり、同時に妙な気持ち悪さが肉体を襲う。


 体の内側から巨大なムカデが駆け巡る感覚とでも言おうか。

 全力で体が侵食されていく不快感。そうか、これは侵食領域。

 全身に巡っていた意識が急速に抜けて、力が入らな――


――チッ


「――っ!?」


 その時、どこからかわからないが、しかしハッキリと舌打ちが聞こえた。

 同時に、体の中から力が溢れ出し、内側のどうしようもない不快感が霧散していくのがわかる。

 例えるなら、胃の中のものを全部吐き出したことで得られるスッキリ感だろうか。


「ノア君!」


 そう感じた直後、ノアの体が何か受け止められ、顔面が二つの柔らかいものに包まれる。

 視界は真っ暗だが、不快じゃない甘いニオイがし、それに安心感を感じた。

 同時に、その柔らかいものかた体温を感じ、先の声を踏まえて考えれば――、


「ぷはっ、アリューゼさん.....ありがとうございます」


「大丈夫そうで良かったわ」


 双丘から埋めていた顔を上げると、ノアはすぐ近くに見えたメガネ美人にお礼を言った。

 そんなノアに対し、アリューゼは僅かに口の端を緩め、それから視線を正面に向ける。

 それに気づいたノアも、アリューゼの支えを借りて体の向きを変えると、


「――っ」


 目の前の光景に、ノアは息を呑んだ。

 まるで体が吹き飛ばされそうな魔力が迸り、生じた風圧が瓦礫を吹き飛ばす。

 そんな絶対領域の中心にいるのが、リュドルである。


 姿こそ、先ほどとほとんど変化はない。

 しかし注目すべきは、背中にある光輪だ。

 光が収束し、生み出された眩い輪っか。


 その輪っかの周辺には五つの草食動物の頭蓋が浮かんでおり、久々の空気を味わうかのようにカラカラと音を立てて笑った。


「な、なんだあれは......」


 あまりの衝撃に頬を殴られたように思考が白くなり、視線が固まる。

 息が、息をするのがとても苦しい。痺れてまともに呼吸出来ているかもわからない。

 全身に重石を乗せられたように体が重く、それだけの圧がかかってるのがわかる。


 まずわかるのは、あの背中の輪っかはとてつもなくヤバい代物であるということ。

 理由などない。強いて言うなら、直観が、本能がそうであると叫んでいる。

 禍々しい魔力によって出来た五つの頭蓋。あれは確実に人を殺すものだ。


 そう思っているのは、ノアだけではないようで、すぐそばにいるアリューゼ、今いる場所から少し離れた地点で肩を借りているオルクスと肩を貸しているマチスもまた呆然と動けなくなっていた。


 そんな彼ら四人の一方で、猫背の状態でだらりと下げた両手をゆらゆらと揺らしながら、リュドルは口を開き、


「おやぁ、今の魔力解放で誰かが侵食領域で潰れてもおかしくなかったはずだけどな。

 まぁいいや、もしかしたら、それだけ適正あるってことかもな」


 そう独り言を呟くと、それからリュドルは「さて」と前置きを入れ、


「ここからは第二形態だ。この状態で戦わせてもらう。

 んで、これは『悪辣天輪・倦怠寂滅睡魔響』って言ってな、俺らアビス王が持つ特殊魔法の一つだ」


 背後に向かって親指を突き立て説明を始めるリュドル。

 その濃緑色の双眸には絶対的な勝利の自信が漲っており、とても死んだような瞳には見えない。

 そんな瞳を向けたまま、リュドルの説明は今しばらく続き、


「これは二分ごとに強烈な催眠波を発生させるものでな。

 まぁ、こればっかりは味わってもらった方が早いか」


 そう言った瞬間、リュドルの背後にある五つの頭蓋がギギギとゆっくり口を開いた。

 刹那、その顎が欠伸を噛み殺すように、同時に、一斉に、一瞬にしてガクンと口を閉じる。


―――ゴーン♪


 鳴り響いたのは鐘の音だ。

 時計塔にありそうな大きな鐘の音が響く音。

 それによって発生した音の津波が、水面に出来た波紋のように一瞬に波及し、周囲にありとあらゆるものを呑みこんでいく。


 それはノア達がいる場所に留まらず、その鐘の音が聞こえる範囲。

 少なくとも、門の外まで大きく響いた音に、ノア達の意識が固まる――否、落ちる。

 突然、何も考えられないように、頭が白く染まった。

 思考も、視界も、意識も何もかもが白一色に塗り潰され――


「ハッ」


 パチッと目を覚ました時、世界が九十度回転していた。

 いや、違う。視界に見える壊れた道路、額に感じる熱と砂利、反対側に広がる空。

 そして、視界の中心に立つ横向きに立つリュドル。まさか、これは――


「ね、寝てたのか......?」


 正直、何を食らったのかわからない。

 しかし、水面から顔を出すような意識の覚醒と、今の横向きに寝そべった状態。

 それらを踏まえて考えてみると、そう判断したと捉えておかしくない。


(どのくらい寝てたんだ!?)


 時計も時間を知れる指標も何もなく、どのくらい寝ていたかを測れる人間はいない。

 たった五分寝たつもりでも、優に十分以上寝続けていることはザラにある。

 人によっては一時間も寝ている場合もあるだろう。


 そして、その問題は非常に大きく、なぜならその間無防備であったからだ。

 どんな超人であろうと寝ている間に首を斬られたり、頭を潰されたり、心臓を刺されたりされてしまえば、死ぬことは避けられない。


 絶対的な生殺与奪の権の譲渡――それもアビス王相手に、だ。

 その身の毛のよだつ恐怖に、ノアの心臓が跳ねるように鼓動を早める。

 全く動いてないどころか、寝そべっていたにもかかわらず、全力疾走したように息苦しい。


「どうかな? 今のは、ただのデモンストレーションさ。

 そこを狙おうという浅ましいことはしない。

 それこそ、これでもオイラは王なんでね」


「――っ」


 リュドルの余裕ぶった態度を見つつも、ノアは何も言い返せず唇を噛む。

 精一杯の睨み節を効かせた視線も、もはやどこまで効いているのか。

 いや、そんなことを考えているよりも、周りの皆は――


「ぅ......何が」


「あれ? なんで俺は寝てるんだ?」


「さっきまで『怠惰』のアビス王を見てたはずなのに......」


「皆.....!」


 ゆっくりと体を起こすアリューゼ、オルクス、マチスの三人を見て、ノアは声を震わせた。

 バクバクとうるさく響く胸中に僅かながらの安堵が広がる。


 これで二度と起きなければ、それは事実上の死と変わりない。

 死んでいない。それだけでノアは嬉しいのだ。

 そんな表情を緩ませるノアを見て、リュドルは「さて」と手を一度叩くと、


「これでこの能力はわかってくれたかな?

 そして、僕のスタートの合図とともに、この羊頭蓋は二分ごとに催眠波を放つ。

 催眠波の威力は段階的に強くなり、最後の十分が立てば威力はマックス。

 それを食らったら最後、お前らは眠るように死に至る。一番優しい死に方だ」


 そこまで言うと、リュドルは醜悪にニヤリと口を歪め、


「つまり、お前らがオイラを倒すとなれば、今から十分以内に倒せということだ。

 アビス王であるオイラに対し、その戦力差で一体どこまで戦えるか。

 それじゃあ、タイムアタックの始まりだ」

読んでくださりありがとうございます(*‘∀‘)


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