泥酔
そんな夜もあるのでしょう。
明日まで残したくない かたまりを流し込むために
明日まで残るほど強い酒を飲み干した
苦虫をいくら噛み殺したところで
旨い肴にはならねえし
ぬかるみに足をとられたように悪酔いはまわるけど
砂みたいに乾いちまうよりましだから
眠りに落ちるまで うつつを失くすまで
酒浸しの夜にふやけて悼む傷もある
眠りに落ちるまで うつつを失くすまで
酒浸しの夜にふやけりゃ流せる涙もある
明日まで響かせまいと疼くのを押し殺すうちに
明日まで響くほどでかいツケはうまれてる
苦瓜をひとつ つまみあげたくらいで
腹の足しにさえならねえし
泥舟を漕ぎ出していくように盃を傾けろ
石みたいにかたく冷たけりゃひび割れて
眠りに落ちるまで うつつを失くすまで
酒浸りの夜に溺れりゃ癒える傷もある
眠りに落ちるまで うつつを失くすまで
酒浸りの夜に溺れりゃ紛れる涙もある