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異世界マンションの管理人  作者: ゆざめ
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みんなでお泊まりに行こう①

 次の日の朝がやってきた。

 体を起こし、ベッドから降りる。

 コップに水を注ぎ一口。

 カーテンを開け、朝日を浴びる。


「あ〜なんて気持ちがいい朝なんだ……」


「ふわぁ〜……そうだねぇ……」


「……もう来たのか……って、えぇぇぇぇええ!」


 俺が寝ていたベッドのすぐ横に、押し入れにしまってあったはずの布団がなぜか敷かれている。

 そう、そこにいたのはあの天使キュレルだった。

『気分がいい日は来てやらないこともない』とか偉そうなこと言ってたくせに……。


「今日は気分が良かったから、来てあげたのよ」


 腕を組み、朝日の方を向きながらキュレルはそう言った。


「眩しっ!」


 朝日を直接見てしまったキュレルは顔をすぐ下に逸らした。


「そうなんだね……とりあえず、朝ごはんでも食べる?」


「食べる!」


 俺とキュレルは食事の間に向かった。

 エレベーターで十六階に行き、俺たちが着いた時にはもうすでにキッチンを使っている先客がいた。


「お、頑張ってるな」


「この声は……夢さん!

 今日は玉子焼きの練習なのです!」


 先に来ていたのは、カプラだ。

 料理を褒められたのが余程嬉しかったらしく、マンションに来てから毎日こうして練習しているらしい。

 なんて真面目な子なのだろうか。


「あれ、そちらの方は初めましてなのです」


 俺たちへ意識をさきながら、玉子焼き用のフライパンからお皿へと玉子焼きが乗せられる。

 とても美味しそうだ。


「紹介するよ。最近知り合った天使のキュレルだ」


「初めまして。私は女神様の使い、天使キュレルよ」


「私はカプラなのです!

 最近マンションに引っ越してきたばかりなのです!」


「そう、よろしくね」


「はい、よろしくなのです!」


 この二人……なんだか仲良くなる気がする。

 特に根拠はないんだけど。


「それよりカプラさん」


「カプラでいいのです!」


「そう。

 それならカプラ、その玉子焼き食べてもいいかしら」


「おお! ぜひぜひどうぞなのです!」


 キュレルは素手で玉子焼きを掴み、そのまま口の中に運んだ。

 モグモグとよく噛んだあと、キュレルは言った。


「……美味しぃ!」


「嬉しいのです!」


 二人はハイタッチした。

 俺はそんな二人を見て、自然と笑顔になっていた。


「じゃあ、俺も作りますか」


「お手伝いするのです!」


「わ、私も!」


「二人ともありがとう」


 こうして三人で朝ごはんを作ることになった。

 昨日のうちに漬け込んでおいた食パンを冷蔵庫から取り出し、焼いていく。

 今日の朝ごはんはフレンチトーストだ。

 フライパンにバターを入れて、中火で焼いていく。


「なんだこれ、めっちゃ美味しそう……じゅるり……」


「美味しそうなのです……じゅるり」


「二人とも、もう少し我慢な。

 焦げ目が付いたら裏返して、両面に焦げ目が付いたら完成な」


「了解した!」


「了解なのです!」


 二人はヘラを使い、上手に裏返している。

 みんなでする料理はやっぱり楽しいな。

 フレンチトーストを焼いていると、続々とみんなが集まってきた。


「いい匂いがするのである!」


「スラお姉様大好きですもんね」


「私も大好きですよ!」


 確かに前回フレンチトーストを作った時も、みんなとても美味しそうに食べてたっけ。

 全員分のフレンチトーストが焼き上がり、簡単にお皿に盛り付け配膳された。


「じゃあみんな手を合わせて……」


「いただきます!」


「いただきます!」


 みんなとても美味しそうに食べている。

 この幸せそうな顔を見るために、フレンチトーストを作ったまであるからな。

 俺も幸せだ。

 ちなみに、カプラの作った玉子焼きは全てキュレルが食べてしまった。


「みんな聞いてくれ。

 この前商店街で福引をしたらグループ宿泊券が二枚当たったんだけど、みんなは泊まりに行く時間ってある?」


「無論であるぞ」


 スラを始め、みんな泊まりに行きたいらしい。

 ただ、一人だけ顔が暗い人がいた。


「私も行っていいのか?」


 最近マンションに来たばかりなのに、泊まりに行っていいのか悩んでいるラプスだ。

 カプラなんて行く気満々なのに、真面目だなぁ。


「むしろ来て欲しいくらいだよ」


「そうか! 感謝する」


「遠慮なんてらしくないな」


「なんだと」


 水月とラプスは一緒に筋トレをする仲になったらしい。

 とても距離が縮まっている。


「あの〜……」


「ん? キュレルどうした?」


「私も行っていいかな?」


「え? でも宿泊券は十人分だし……」


「それなら問題ない。買えばいい」


「それなら……」


 二人で会話をしていると、キースとメルに質問された。


「ねぇ夢、この人は誰?」


「夢くん、私も気になってました」


「まぁそうなるよね……。

 この人は天使キュレル、最近知り合ったんだよ」


「おい夢よ。女神様といい、天使といい、すごい知り合いばかりではないか」


 スラの言うことは最もである。

 俺だって異世界に来てから驚いてばかりなのだから。

 少し耐性は付いたけど。

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