絢爛の殺し屋④
「二人も同じようにやってみようか」
「無理だ……」
「無理なのです……」
二人からさっきまでの元気が消えた。
「いやいや、大丈夫だから……。
基本的にポンポンしとけば勝手に空気が抜けて、いい感じに成形できるから」
「なるほど……これ、意外といけるな」
「これは楽しいかもしれないのです!」
二人は次々とハンバーグを形作っていった。
「ふぅ、終わったな」
「完了なのです!」
二つのフライパンの上に6個ずつキラキラと輝くハンバーグが並んでいる。
もしかしたら、俺より上手かもしれない。
「これで、あとは焼くだけだな。
フライパンに油を入れて、中火で両面に焼き色がつくまで焼いてくれ」
「もうすぐ完成……楽しみ!」
「もうすでに美味しそうなのです!」
本当に二人とも、楽しそうに料理をするなぁ。
額に汗をかきながらハンバーグを裏返す二人。
頑張る女の子って、応援したくなる!
「そろそろ弱火にして、水を入れてくれ。
それから蓋をして8分くらい、中に火が通るまで放置する」
「お〜料理してるって感じがするのです!」
「あとはソースを入れ、混ぜながら弱火で加熱。
ひと煮立ちしたら完成だな」
「ついに……ハンバーグが……」
「ワクワクなのです……」
それから数分後……。
「よし、もう火止めていいぞ」
「……出来たっ!」
「……完成なのです!」
うん、とても美味しそうだ。
「盛り付けは俺がやっとくから、二人は座って待ってて」
俺もみんなを通信用スライムで呼んでっと……。
「えーっと、夜ご飯が出来たので十六階にお越しください」
俺がハンバーグをお皿に盛りつけ、ご飯の準備、箸とコップの支度を終えると、続々と集まってくるみんな。
最初に着いたのは、スラ、イム、ソフィの三人。
「うお〜、美味しそうな匂いがするのである!」
「スラお姉様はしゃぎすぎですよ」
「あらあら、可愛らしいこと」
次に来たのは、キース、ヴェントス、メルとその家族。
「夢、今日も準備ありがとう」
「美味しそうな匂いに釣られて、やってきちゃいました!」
「私もそんな感じ……かな」
「あら〜私たちの分までありがとね」
「俺の分もあるのか、サンキューな」
最後にやってきたのは水月。
「悪ぃ! 筋トレしてたら遅れちまった」
「みんな集まったみたいだし、食べようか。
じゃあ手を合わせて、いただk……」
「ちょっと待った〜!」
俺がいただきますの挨拶をしようとすると、イムが遮ってきた。
「ん? イムどうした?」
「どうした? じゃないですよ!
そこに座っている二人は一体誰なんですか!」
イムはラプスとカプラを指差しながら言った。
「あらあら、イムちゃん。指さしちゃだめでしょ」
「そうでした……でも本当に誰なんですか!」
ここからが本番だ。
事前に打ち合わせしておいた通り、俺たちは知り合いの知り合い。
もし殺し屋だということがみんなにバレたら、二人は俺たちを始末するかもしれない。
頼むから上手くやってくれよ……お二人さん。




