絢爛の殺し屋②
こいつは一体何を言っているんだろうと言いたげな二人。
でもこれならみんなにご飯を作れるし、人の多い場所で殺しを行ったりはしないはずだ。
問題はどうやって言いくるめるかだが……。
「ご飯をみんなで食べると、幸せな気分になれるだろ?
その感情が念話キャンセルへの鍵になるんだ」
「いえ、そのような経験がないのでわかりません」
「右に同じくなのです」
「そうなのか……まあいい。
とりあえずみんなの前では、俺の知り合いの知り合いってことで話を合わせよう。
それから武力攻撃は当然禁止だ、いいな?」
「わかった。変態を回避するためにも協力しよう」
「了解なのです!」
カプラは敬礼のポーズを取っている。
目に見えるポンコツだ。
それから俺たち三人は十六階へ向かった。
まだ時間が早かったこともあり、誰もいないようだ。
「お前たちって料理は出来るのか?」
「私は野菜を切ることなら出来る」
「そうですね……お味噌汁だけなら作れるのです!」
「じゃあみんなのために、料理作るの手伝ってくれ」
「わかった」
「了解なのです!」
なぜ味噌汁だけ作れるのかものすごく気になる。
だが、彼女たちは殺し屋だ。
無理を強いるのは死に直結する。
「というかその前に、お互いをなんて呼びあったら自然に見えるのか考えなきゃな」
「いいんじゃないか、ラプスで」
「私もカプラで問題ないのです!」
あれ、こいつら名前知られたらまずいんじゃなかったの?
まあいいか。
こちらとしては好都合だ。
「俺は夢でも夢さんでも何でもいい。
好きに呼んじゃってくれ」
「わかった」
「了解なのです!」
「それじゃあ今回作るメニューだが、ハンバーグにしよう」
「聞いたことはあるが、作ったことは無いな」
「私もなのです!」
「大丈夫だ、心配するな!
俺の言う通り作れば、誰でも絶品ハンバーグを作れる!」
「なんという自信。この男……信頼出来る……」
「全力で頑張るのです!」
「あ、その前に一つ……」
俺は二人に、百均で売っていそうな純白のエプロンを着用させた。
「なんなんだ……この動きにくい服は……。
戦闘になったら確実に負けるではないか」
「ラプス、とても可愛らしいのです! 」
「バ、バカを言え! ……カプラもかなり似合っている……」
「本当ですか! 嬉しいのです!」
カプラはうさぎのようにぴょんぴょん跳ねている。
なんとも女の子らしい振る舞いだ。
いくら殺し屋と言っても、やはり心はただの女の子ってわけか。
「よし、準備も整ったところで調理開始だ」