表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界マンションの管理人  作者: ゆざめ
41/58

|絢爛《けんらん》の殺し屋①

「まずい、そろそろ帰る時間だ。

 さっさとトドメを指しなさい」


「了解なのです! では失礼して……」


「あ、ちょっ、ちょっと」


 蛇を首に巻いた女の子は、ポケットの中から小さな注射器を取り出し、俺の首元に針先を当てた。

 注射器の中の液体は、禍々しい紫色をしておりブクブクと泡を立てている。

 これはかなりまずいことになった。

 もう手段など選んでおれん!


「ちょっと待ってくれ!」


「もうなんなのです!」


「助かりたい気持ちはわからんでもないが、これは正式な依頼なのだ。

 残念ながら、貴様に選択権は無い。わかってくれ」


「違う違う、そういうことを言いたいんじゃない!

 このままだと、君たち二人は変態になるんだよ!」


 ・・・。


「な、なんだって!」


「それは一体どういうことなのです!」


「簡単に説明するとだな……。

 実は俺、念話が使えるんだ。

 この状況をマンションの住人に念話で伝えようとしたところ……。

『謎の女の子二人組に手を手錠で縛られ襲われている。自由に身動きの取れない俺に彼女たちは無理やり薬を飲ませ……』ってな感じになっちゃって……」


「ふ、ふざけるな!」


「ハ、ハレンチなのです!」


 予想以上に顔を真っ赤にする二人。

 俺は少し焦ってしまい、咄嗟にカバーしてしまった。


「いやいや安心して、まだ送られてないから!」


「ほう、なら今のうちに殺してしまえばいいのか」


「簡単な話なのです」


 猟豹人(チーター)の女の子は俺の首元にナイフを、蛇を首に巻いた女の子は注射器を突きつけている。

 完全に自爆してしまった。

 こうなったら、話を続けるしかない。


「でも、もし俺が死んだら誤って送信されちゃうかもな」


「なに! それは本当か」


「ハッタリなのです!」


「へ〜、なら試してみれば?」


「くっ、卑怯者め」


「そういえば、念話をキャンセル出来る方法が一つだけあったような」


「おい、それを早く言え!」


「でも……」


「どうした、早く言え」


「殺し屋さんって、自己紹介出来ませんよね?」


「生きていくためなら仕方ない。

 私はラプス、猟豹人(チーター)だ。

 持ち前のスピードを活かした攻撃を得意としている」


「私はカプラなのです!インランドタイパンという蛇の血族で、マムシの八百倍もの強毒を武器に戦うのです!

 それから……ラプスの妹なのです!」


 足の速いチーターに、マムシの八百倍の毒を持つ蛇って、もう最強クラスなんじゃ……。

 俺はこれからどうすれば……。


「念話はキャンセル出来そうか?」


「あ〜念話な、どうやらキャンセル出来なそうだ」


「そうか。これはかなりまずいな」


「私……もうお嫁に行けないのです!」


 こんな女の子に恥ずかしい思いをさせるなんて、俺は最低最悪だ。

 でも死ぬのはごめんだから……とりあえず夜ご飯作りに行くか。


「あっ! もう一つキャンセル出来る方法を思い出した!」


「なんだと!」


「私がお嫁に行くために、教えて欲しいのです」


「よし、それならみんなでご飯を食べよう」


「はい?」


「はい? なのです」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ