学校の嫌われ者④
「あれ? なんか反応悪くない?」
「当たり前です……」
「ネーミングセンスが皆無……」
「全く、ひどいものね……」
イム、キース、ソフィの三人が、可哀想な人を見る目で俺を見ている。
そんな中、漢を見せた者がいた。
「お、俺はいいと思ったぜ親友!」」
女の子から冷たい視線を浴びる俺を救うべく、立ち上がった海の王。
まるでヒーローだ。
「水月……お前ってやつは……愛してる!」
「え、水月だけずるい!
私この名前やっぱ好き!」
キース、それは自分も『愛してる』と言われたいと言っているようなものだ。
でも、俺を見る目がキラキラと輝いていてとても可愛い。
これはもう言うしかない。
「キース、愛してるぜ!」
キースはイムの方を向き、ニコッと笑った。
それに対しイムは、フンッとそっぽを向いてしまった。
俺はひとまず苦笑い。
とここでヴェントスが話を戻してくれた。
「あの〜……名前は一旦置いといて、作戦の中身が知りたいのですが……」
「ヴェントスの言う通りだな。
それでは作戦の中身について話す」
俺は作戦内容をみんなに話した。
「それはいいですね!
その作戦なら、どちらに転んでもメルさんを助けられます」
「我も悪くないと思う」
「俺もしょうがねえから乗ってやるよ」
そう、この作戦は水月がいないと成り立たない。
つまりこの返事をしてくれることは想定済みだったというわけだ。
「みなさん私のために、本当にありがとうございます」
「お礼をするのはまだ早いですよ」
「そうですね」
「じゃあこの作戦は明日決行ってことで……今から夜ご飯作るけど何か食べたいのある?」
「我はカレーを希望する!」
「他に意見のある人は?」
みんなスラの勢いに押されたのか、カレーが良かったのか分からないがそれ以上意見は出なかった。
それにしても、家のカレーが人気なのは嬉しいな。
前にも言ったが、自分の家のカレーが一番美味しく感じる現象は存在すると思う。
俺は慣れた手つきでカレーを作った。
「メル、召し上がれ」
「うわぁ〜美味しそう」
じゅるりとよだれをすすり、バクバクと食べ始めた。
多分、お昼ご飯をあまり食べられていなかったからだろう。
「おかわりもあるからな」
「んん、あひあおう」
みんな幸せそうにカレーを食べるメルを見ている。
「おいお前ら、カレーが冷めちゃうぞ」
「そうでした!」
「我の注意を逸らすとはやりおる」
「あらあら、忘れるところだったわ」
「私もいっぱい食べちゃいますよ!」
「メルは人気者だね」
メルが加わったことで、より騒がしくなった食卓。
みんなで食べるご飯が一番美味しいというのは本当らしい。
カレーを食べ終わり、お腹いっぱいになった一同は各々の部屋に戻っていった。
ちなみに、メルはキースの部屋で寝るみたいだ。
ソフィさん、毎度毎度受け入れて下さりありがとうございます。
俺はメルに纏わりつく偏見を必ず払ってみせる。
そう心に誓い、眠りについた。
その一時間後、突如寝室に現れた美しい女性。
ツンツンッ、ツンツンツンツンと夢の頬をつついている。
「あら、これで起きないなんてかなり根を詰めているのね。
う〜ん、少しお話がしたかったのだけれど……まあいいわ。
また別の機会にお邪魔するわね。
あなたに女神の御加護があらんことを」
そう言って姿を消したのは、女神ユキノだった。
彼女は一体何を話そうとしていたのか。
何も知らぬ夢は、気持ちよさそうに眠っている。