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見知らぬ場所


 どのくらい時間が流れたのだろうか、目覚めたそこは木々生い茂る森林の中だった。

 中高生に絡まれていたサラリーマンと止めに入ったヤンキーは、どうやら同じ場所に落ちたようだ。


 「......いてて」


 サラリーマンは眉を寄せながら落下の際にぶつけた後頭部をさする。

 不幸中の幸いか、木々がクッションとなり大した怪我ではなさそうだ。


 「おっさん、気がついたか?」


 赤髪にリーゼント、学ランを着てはいるが、長ランにドカンズボンがいかにも、と言うような見た目のヤンキーがサラリーマンに声をかける。


 「......! 君はさっきの......! さっきは止めに入ってくれてありがとう......ところでここは......」


 メガネをかけ、サラリとした黒髪にグレーのスーツ、リュックを背負ったサラリーマンは、ヤンキーにお礼を言うと辺りを見渡しながら、見知らぬ風景に混乱している様子だ。


 「俺が聞きてえよ......。つうか、何だってガキに絡まれてたんだ?」


 「よくわからないけど、どうやら色々とタイミングが悪かったらしい。厄日とはまさに今日のことだよ......」


 「ふーん。まあおっさんだし舐められたんだな」


 「おい、待て! 舐められたのはまだしも......僕はまだ26だぞ......それに(ぜん)と言う名前がある。智成(ともなり) (ぜん)だ」


 「俺17だから俺からすればおっさんだけどな......まあいいわ。俺は(いさむ) 武仁(たけひと)


 「お前は......さっきは助かったが本当に一言多いよ」


 などとやり取りする2人だが、自分たちの置かれている状況について考えはじめる。


 「しかし、ここはどこなんだ。さっきまでは路地裏にいたはずだよね?」


 この状況を整理しようと話を振るのは全だ。


 「黒い穴が地面に空いたと思ったら、次気づいたらここにいたし、俺もわかんねえな」


 全く状況の掴めない2人は沈黙し考え込むが、突如背後の茂みからガサっと音がすると、ここが森林の中である、と言う事への不安が一気に押し寄せる。


 「ここがどこかはさておき、まずはこの森から出よう......森の中ということは......野生の動物がいる可能性は十分にある」


 全がそう言い焦り立ち上がると、武仁は答えた。


 「ちょっと遅かったみたいだな。だべりすぎた」


 言うと同時に、木々の間に生い茂る草むらから勢いよく飛び出してきたのは、一本ツノの生えたウサギのような生物だ。


 「なんだ!? こんな動物見たことないぞ! それこそゲームの中でしか......!」


 そこで全は勘繰った、この説明のつけ難い状況に、これはもしや......いや、まさか......。


 「言ってる暇はなさそうだな。囲まれてるぞ、5〜6匹か」


 武仁は驚くほど冷静に、落ちてきた時にクッションがわりになり折れた木々の枝の中でも、太く頑丈そうな棒切れを手にとり構える。


 武仁とは裏腹に、尻込みし後退りした全が小枝を踏むと、パキッと言う音と同時にツノが生えたウサギのような生物が一斉に2人を目がけて襲いかかった。


 「うわああああああ!!!」


 両腕を顔の前にし硬く目を瞑る全の耳には、鈍い打撃音とか細い動物の鳴き声だけが響く。


 どのくらいの時間が経ったのだろう、それは瞬く間であったが、全の体感では物凄く長く感じた。


 「......おい、おっさん。終わったぞ、いつまで固まってんだよ」


 武仁が全に声をかけ、全は恐る恐る目を開いた。

 そこにはツノが生えたウサギが6匹、息絶えた姿で横たわっていた。


 「......お前、身体能力高すぎないか」


 「おっさんがビビりすぎなだけだろ。おら、行くぞ」


 「行くってどこに!?」


 「とりあえずまた襲われてもたまんねえし、森を抜けようぜ。おっさんが言い出したんだろ?」


 「......あ、ああ! そうだな!」


 格好がつかない全が少し虚勢を張りながらも、状況を断定するには情報が少なすぎる上に、またいつ襲われてもおかしくない状況を鑑み、2人は森からの脱出を図ることにした。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] とても読み辛いです。 段落の最初は一文字開けるのが基本なので、まずはそこを意識したほうがいいかもしれません。 それから、一度自分の書いたものを、声に出して読んでみたほうがいいかもしれ…
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