「異世界転生したっぽい」
はじめてのなろう系執筆です。頑張ります
―プロローグ―
俺は普通の人間だ。
普通の家庭に生まれた。
普通に学校に通っている。
普通に恋愛をしていた。
普通に就活を終え、来年の春から社会人。
他県に就職が決まった彼女との遠距離恋愛を考えていたが、普通に別れ話を切り出されてしまった。
普通に彼女に振られて落ち込んだ。
普通に友達と一緒にカラオケに行ってストレスを発散した。
元カノと同じ電車に乗ってしまって普通に気まずくかった。
恋愛の傷を癒すために新しい出会いを求めたけど、普通に出会えなかった。
そんな普通の生活を送っていた俺は
ありふれた普通の交通事故で命を落とした
―はずだった。
気がつくと俺は、全く知らない場所にいた。
事故死するまでの自分ではなく、異世界にいた。
だってここは、明らかに俺がいた世界とは違う。
ここにはビルもないし、電車もバスも通ってない。
車も1台もない。バイクも自転車も走ってない。
オシャレなシャツとか、ジャケットといった洋服を
着ている人もいない。
いるのは、勇者っぽい格好の人や魔法使いっぽい格好の人、それに騎士っぽい格好の人たち。
そして、明らかに現地の村人っぽい人達。
俺のこの格好は…なんなんだろう。
通行人と格好が似ている。
それも勇者でも、魔法使いでも、騎士でもない、村人っぽい人たちと似た格好をしている。
つまり俺は、村人だということなのだろうか。
人は死ぬと生まれ変わることが出来る、
なんてよく言われているけど。
ようやく就職決まったのに死んだのか…
しかも、交通事故。普通に最悪。
まさか、異世界転生しちゃうなんて。
それも、RPGゲームのような世界に。
普通に充実した生き方をしていた俺の普通の人生は。
普通ではなくなってしまう、そんな気がした。
―1年後―
去年の俺は、普通の人生が終わると思っていた。
1年経過したが、環境が変わったたけだ。
この世界においての普通の人生を生きている。
勇者パーティーの最強の勇者ではない。
チート能力を手に入れた状態で異世界転生してもいない。
何故か、かわいい女の子ばかり自分の周りに集まってくるわけでもない。
俺は普通の村人、モブキャラってやつに転生した。
そのことに絶望したと思うだろうか。
違う。
俺はそれに安心した。
ここでも、普通の人生を生きられるんだ。
なぜなら、俺には関係の無いことだから。
さまざまな勇者パーティたちが魔王を倒すために各地を旅しているが、俺はその中の一人ではない。
俺は、勇者パーティに話しかけられる村人なんだ。
話しかけられたら、何パターンか言うことを決めた。
面接の時に面接官からこういう質問が来るかもしれない、ということをある程度のことを想定して事前にメモした就職活動の時のように。
俺は村にアイテムを求めてやってくる勇者パーティたちを観察するのが割と好きだった。
勇者パーティといっても、たくさんのタイプがいる。
そもそも、勇者自体にもいろんなタイプがいる。
どうやらこの世界では性別関係なく勇者になることが許されているようで、多様的だと感じた。
そのため、女性のみで構成されているガールズ勇者パーティも存在していたり。
逆に、男だけで構成されているむさ苦しい勇者パーティも存在していたりする。
悪い例としては、勇者パーティの中で無能とされているメンバーがほかのメンバーから嫌味を言われていたり。
よくある例としては勇者パーティのリーダーは優しそうな男の子で、そんな彼に惚れている感じを隠すことがない女の子たちがいたり。
中には、この世界なそんな言葉あるのか?ってくらい俺が転生する前の世界の言葉やスラングを使ってパーティの皆から困惑されている人もいた。
異世界転生してるのは俺だけじゃないんだろうな、というのはなんとなく察している。
なぜなら俺は特別な人間ではないから。
俺でも異世界転生するんなら、他の人だってしてるに決まってる。
俺みたいにモブキャラを全うしている転生者が他にもいるのかは気になってはいる。
もしかして、異世界転生してもモブキャラやってる逆張りの俺って特別…なんて思ってるのかな。
ちょっと、特別さに憧れてるのかも。
初めてのなろう系執筆でした。頑張りました