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ep.3 夜に咲く花の名の少年




白い髪をもつ少女の名はリゼッタ。



とある村に住む…というよりも彼女は監禁されているようなものだ。



その村では白い髪に金の瞳をもつ者は神の娘であるとされ、信仰の対象となるそうだ。



外を知らないと言う彼女は旅人の私の話をいつも興味深い表情で聞いていた。



特に興味を持ったのは町についてだ。



大きな市場を見たことがないらしく寂しげに笑っていた。



――――流浪の猫クロエ






優しさを知らないと猫は言う。



まだ子どもと言えるほどの年のはずなのに目はあまりにも絶望に染まっていた。


白い髪に金の瞳。



この特徴は神の娘の証だ。


それしか思い付かない。神の娘は神殿に隔離され12の年の満月に神に召し使えると言うおとぎ話がある



それが意味することはひとつ――死。



死んで神の元に逝くとはこの国らしいがもっと残酷なのは、それまでがだ。



この世に未練を残さぬよう

『誰も神の娘を愛しては慈しんではならない。破れば裁きが起こる』



誰にも愛されずにただ死を待つ。



理不尽すぎる話に誰も異議を唱えないのは裁きを恐れているのかどうなのか―



『神殿から逃げてきたのか?』



わかりやすいほどビクリと肩を強ばらせ口を開いた。



『なんだ…。そこまで知ってるんだね…じゃあさ、お願い。









殺してよ…』



憎悪か、悲哀か、それとも両方か世界全てを否定したその目は自らの消滅を望む。




生き地獄を味わうくらいなら……いっそのこと――あいつと同じように…




『…私を…殺して…』




頭の中に響く言葉は、雨の降る日に失ったあいつの声であの日の言葉で。



似ていないのに…似てるはずはないのに…なぜか姿がかぶって、柄にもなく手が震えていた。



「…こ…断る」



必死に絞り出した言葉に不満そうになりながらも苦笑を返してきた。



その姿までもが似ていて…


「……そっかぁ。そうだよね…」



仕方ない、そういい聞かせている姿に胸が痛んだ。



「俺はハロルド…お前…名前は?」



突然名前を聞いた俺の言葉に泣きそうになりながらも小さくそいつは名前を呟いた。



「…ぇ……ミルエだよ。夜に咲く花の名前が由来なんだって。ハロルド!僕名前聞かれたの初めてだ!!」


嬉しそうに微笑みながら言うからこっちまで笑ってしまった。



「ミルエ…一緒に逃げよう」



今度こそミルエは驚いて固まった。

人物紹介 追加 主人公 ミルエ 夜に咲く花の名を持つ。男だが神の娘であり女の名前をもつ。心は???

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