4-13 騒がしい日常
乃愛が隣のアパートに引越し、それについて行くように夏音が乃愛の部屋に移ることになった。
夏音、本人が乃愛に気を使ってというのが本音だとは思うが、夏音は乃愛と一緒に居たいだとか、1人は可哀想だとか、そんな感じの理由をつけていた。
「なんか、急に静かになったね」
「そうだな、たまにはこういうのもいいんじゃないか?俺は涼葉がいれば十分幸せかな」
「うわぁ、キモい」
「もう少し素直になれよ。本当は嬉しいくせに」
「バカ……べ、別にそんなんじゃないし」
「はいはい」
「ちょっ、本当に違うんだからね?わかってる?」
少し顔を赤くしながら反発する姿がまた可愛い。
「わかってるって。それよりもさ……詩音、なんでお前がここにいるんだよ」
「暇だったからだけど」
「いや、しれーっと入ってきたからそっとしておいたけど、そもそもどうやって家に入ったわけ?」
「乃愛ちゃんから合鍵を借りたんだよ。オレのことは気にしなくていいからどうぞお2人でイチャイチャしてくださいな」
「しませんよ」
「あら、怒られちゃった」
「裕兄、私この人苦手かも」
「大丈夫、俺もだから」
「本人の前で随分ストレートだね」
こいつには1度、ストレートにガツンと言っておく必要があるとは思っていたが、それも軽い気持ちで受け止められてしまった。
「でさでさ、裕太はどこまで読んでたわけ?」
「なんのことかな?」
「惚けてもダメだね。オレはちゃんとわかってるよ。隣のアパートの部屋をとっさの判断で確保するのは無理だろ?オレは事前に大家さんにキープしておいてもらったんだとふんでるけど違う?」
「裕兄、そうなの?」
なんだ、バレてたのか。
「実は、最初にミアさんに相談しに行ったとき、一人暮らしさせる場所は決まってないって言われたから、一応確保しておいた。その後にテストの結果云々の話が出て、満点は厳しいと思ってミアさんには俺がアパートを探しておくと伝えた」
「へぇーそっか、やっぱりオレ、お前のこと気に入ったわ」
「奇遇だな、俺はお前のことは苦手だわ」
そこでインターホンが音を鳴らす。
「あ、私出てくるね」
来客は涼葉に任せて、俺は話を続けた。
「このことは乃愛たちには黙っておいてくれないかな?」
「それまたなんで?」
「今回に関してはあまりベストな行動とは言えないしな。乃愛は満足してるみたいだけど。また、こういう面倒事があって俺に頼られても困るから」
「ふーん。まぁ、親友の頼みだ。そうしといてやるよ」
「親友ねぇ……」
俺は少しばかり悪い子なのかもしれないな。
「裕兄ぃー」
遠くから涼葉が呼ぶ声がする。お兄ちゃん、すぐ行きますよ!
「なんだ?」
「夏音さんと乃愛ちゃんが今日泊まりたいって」
「ごめんね、裕太君。移って早々に」
「ついでに詩音に鍵渡しちゃってごめんね」
悪いと思ったならやめてくれよ。
「はいよ、これからもいつでも泊まりに来てくれ」
「じゃあ、ついでにオレも泊まってこうかな」
まったく、またしばらく騒がしくなりそうだな。
第4章はここでおしまいです。
来月からは予告通り、新作を投稿します。
『異世界転生するはずが、女神様連れて帰ってきちゃいました』というタイトルを予定しております。




