4-4 俺のハプニングって良く考えれば、俺たちの親が原因なんじゃないかって気づいたんだよ。
「ところで、乃愛って家に滞在してるけど、詩音のところに行くって選択肢はなかったのか?」
「そうね、詩音がここにいるって知ったのは転校した後だったし」
「なるほど、つまりいざとなったら追い出して詩音のところに行ってもらうってことも……」
「嘘よね?裕太はそんなことしないわよね?ねぇなにか言ってちょうだい」
まぁ、気になるのはこんなところか。それでは後回しにしてたあれ聞きますか。
「よし、それじゃあその格好のこと説明してもらっていい?なるべく短めに」
「簡単に言うと親の意向だよ」
「というと?」
「オレん家の親は結構前から娘に憧れてたみたいでね。一人っ子のオレが男だったから」
「女装させて女の子として扱ってたってこと?」
「うん、まぁそんなところ。実際、オレもまあまあ気に入ってるから得に反抗もせず普段からこの格好で。なんならみんなもオレのこと女として扱ってもらってもいいよ」
やかましいわ!!!
「それじゃあ、詩音ちゃんだね。よろしく」
夏音は結構乗り気でした。
「……だったら口調も変えた方が良かったんじゃないか?」
「あはは……それがね、じいちゃんがこの格好させるのには反対なんだよ。男ならもっとしっかりしろってね」
ごもっともなお祖父さんじゃないか。
「それで、帰省する時とかにボロが出ないように口調は普段からこっちで、親も見た目以外はどうでもいいって言ってるし」
「つまり、男として過ごさないといけない時用ってわけか」
「ま、普段は女装してるし、学校でも女子用の制服着てるから今後はよろしくね」
学校側にそれで通った事がすごいと思うんだけど……
そして、今気づいた。ここにいるやつの親みんなまともじゃないって。
子に激似のロリコン母に、男の家にホームステイを許すお父さんに、許嫁を強いる娘溺愛親父。そして勝手に娘を知り合いの家に放り込む母とそれを承諾する俺の母。どうなってんだこの世界は。
「とりあえず、乃愛のことは少し考えてみるよ。今日のところはもう帰ろう。涼葉も待ってるし」
さっきスマホを見たら『まだ帰ってこないの?』ってメッセージが来てた。尾行を提案したのはお前なんだから少しは察してくれ。
すぐに帰宅して俺は涼葉に報告。
「なるほど…乃愛それで、乃愛ちゃんの歌唱力をどうにかしろって?」
「あぁ、なんかいい方法思いつかないか?」
「うーん、すぐにはちょっと……」
だよなぁ。どこかに音楽の成績のいい人がいればいいのだが……
「ところで裕兄、ひとついいかな?」
「なんだ?」
「その人誰?」
「え?」
俺は知らない人を招いたつもりはないのだが……
涼葉の指さす方を見ると詩音が乃愛とノートパソコンの画面を見ていた。おそらく歌の練習方法でも検索しているのだろう。
「おい、お前なんでここにいるんだよ」
「んー、なんとなく?」
「なんとなくじゃねぇだろ」
「裕太はもっと女の子に優しくしないとダメだよ?」
「お前男だろ」
「いやん♡」
ダメだ、俺こいつのこと苦手かもしれない。
「えーと……」
ほら、涼葉が困惑しているではないか。
「こいつは詩音。乃愛のいとこだってさ。訳あって女装してるけどれっきとした男だから気をつけろよ」
「大丈夫だってー、涼葉ちゃんだっけ?確かに可愛いけどオレは襲ったりしないからぁ。それよりも裕太こそ可愛いからってオレのこと襲っちゃダメだゾ」
やかましいわ。だからお前男だろ。
「いいから帰れよ」
「はいはい、それじゃあまた明日〜」
まったく、騒がしいやつだ。
ブルルルーー
騒がしいのがいなくなったと思えば今度は俺のスマホが騒ぎ出した。
「はい、もしもし?」
『裕太さん……今お時間大丈夫ですか?』
かけてきたのは姫香だった。いったいなんの用だろうか。
「大丈夫だけど、どうしたんだ?」
『今晩そちらに泊まってもよろしいですか?』
「いいけど、急にどうしたんだ?」
『詳しくはそちらで話します。それではまた』
「あ、ちょっと……切れちゃった」
「どうしたの?」
「わからん、とりあえず涼葉、夜ご飯1人分追加で」
「わ、わかった」




