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3-29 宣戦布告

「図書室に?」

「あぁ、本当は俺が行こうと思ってたけど夏音が行った方がいいだろ」


裕太くんが言うには、私が許嫁の子と直接話してこいとのこと。

話すも何も許嫁であることを認めてくれさえすればあとはフェアでいいので私としては特に話なんてないのだけれど。

言われるがまま図書室まで来てしまった。


「愛莉?遅いですよ。どうしてこっちにしたんですか?」

「え、えと……すみれちゃん?」

「えっ!?夏音ちゃん?あ、ごめんなさいてっきり愛莉かと」


私もてっきり愛莉ちゃんかと思ってました、許嫁は。


「えーと、これはどういう事なのかな?」

「それはこっちが聞きたいですよ。こんな手紙をよこしたのは夏音ちゃんなんですか?」


あ、裕太くんの手紙かな?面倒臭いので私からということにしておこう。


「うん、まぁね……」

「それで、話は?」

「裕太くんに正直に話して欲しくて。許嫁のこと」

「……嫌です」


ん?これは一筋縄ではいかない感じかな?


「今なんて?」

「嫌だと言いました。今まで、正体を隠してきたのに急に私でしたって言えませんよ」


それは困ったなぁ。裕太くん助けてぇ……


「じゃあ、その手紙が裕太さんからのものだと言ったらどうですか?」

「姫香さん……どうしてここに?」

「ごめんなさい。愛莉さんなら今頃、屋上で裕太さんとお話してますよ」

「あなた、私のことをハメたんですか?」

「はい、ハメました」

「ぐぬぬ……」

「え、姫香ちゃん……これはいったい」

「後でゆっくり話しましょう。それよりも今は彼女の説得ですよ」

「説得も何も私はただ裕太くんに正直に話した上でフェアにしたいなぁってだけなんだけど」

「私は私のやり方でやります。別にフェアにしなくてもいいですよ。おそらく今はあなたの方が優勢でしょうし」

「すみれちゃんは裕太くんのこと好きなんだよね?それでいいの?」


本当にこの人裕太くんのことが好きなのだろうか……私が裕太くんと一緒に寝てても何も言わないし。


「許嫁としては裕太さんのことを前から知っていましたけど直接あったのは夏休みのあの日が初めてです。なので、それより前から面識のある夏音ちゃんにはそれくらいのハンデはあげますよ」


あれ、そうなんだ。でも、そしたらどうして……


「どうして、すみれちゃんは裕太くんが好きなの?」

「突然なんですか」

「教えてくれないかな?」

「あなたに言う義理はありません」


すみれちゃん、防御力高いんだね。

私の攻撃力じゃダメかもしれない。


「じゃあ、俺ならどうだ?」

「えっ、裕太さん!?」

「ごめんねすみれ、全部バレてるよ」

「な、なんのことですか?」

「ここに来て惚けるの?!」

「私はただ……」

「一応言っとくけど。許嫁はもうやめてくれないか?別に俺のことを諦めろとは言わない。俺は卒業までに答えを出すって決めたから」

「わかりました。話しますよ」


さすが裕太くん。これで全て解決するんだね。


「正直に言うと中学を卒業するまでは許嫁っていうの嫌だったんですよね。でも、父が……その後、高校生になって裕太さんを初めて見た時はもう一目惚れですよ。影から見てるだけで満足でした。図書室で初めてあった時はつい我慢できずに声掛けちゃいましたけど。それから、裕太さんは……ま、まぁ主に夏音ちゃんに紳士的に接していたので悔しくて……そ、そういう夏音ちゃんはどうして好きなんですか?」


すみれちゃんからのカウンターアタックが飛んできた。本当にこういうのって自分に帰ってくるんだなぁ。

前は上手く答えられなかったけど。

今なら……


「私も最初は一目惚れに近かったかな。でも、今は違うよ。今は、裕太くんと一緒に過ごしててとっても楽しい。こんな時間をもっとたくさん味わいたい。その気持ちが裕太のことを好きなんだってことだと思う」


って……すぐ近くに裕太くんいるんだけどぉ。なんか急に恥ずかしくなってきた。


「ま、これで一件落着だな。これからはあんな手紙やめてくれよ?って最近は送るのやめたみたいだけど」

「そうですね、それなんですけど……」


すみれちゃんは本棚の前でしゃがんで、手首をクイクイッとさせて、裕太くんを隣にしゃがませる。


「この本です。見てください」

「ん、これがどうしたんだ?」


裕太くんの視線を本棚に向けると、すみれちゃんはその頬に自らの唇を……


「えっ!?」

「安心してください。自分の気持ちは直接伝えた方がいいですもんね。だから手紙はもう卒業です。あ、それと私の勉強に対する変な野望も嘘なので。もう忘れてくださいね」


私を含めこの場にいるみんなが言葉を失う。

変な野望と言うのはおそらく学年成績男女でワンツーを修めると言うやつのことだろうか。


「夏音ちゃん!あなたには負けませんよ。これからは表からぶつかってみます。それでダメなら父に土下座でも何でもして許嫁を取り下げてもらいます。それでは私はこれで。愛莉、行きますよ」

「あ、うん」


去り際にすみれちゃんは私に向かってニヤリと笑みを見せつけた。まるで勝ったぞと言わんばかりに。

これは、すみれちゃんからの宣戦布告と受け取るべきだろう。

ぐぬぬ……私だって負けないもん。

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