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3-21 決戦の前に

 週明けの学校は文化祭の大掛かりな装飾も綺麗に片付けられており、普段通りの姿を取り戻していた。


 授業も普段通りで、強いて違う点をあげるなら体育の時間が体育祭の練習の時間に当てられている事だ。団体競技ならともかく、俺は借り物競争だから特に練習なんて要らないんだけど。

 そんなこんなで、1日はあっという間に終わり、放課後……


「裕太、紐持ってきたわよ」


 あ、そういえば乃愛と二人三脚があったんだった。ということで、校庭に来ている。


「はいはい、どーも」


 俺は自分と乃愛の足をしっかり紐で結ぶ。

 とりあえず試しに少し歩いてみた。いち、に、いち、に、と特に打ち合わせはしていないがお互いに気の合うようで問題なく進めている。


「2人とも凄い息ピッタリ……」


 夏音さん夏音さん……嫉妬の目が刺さってますって……


「まぁね、私たち幼なじみだもの」

「3年ほどぽっかりと空いてるけどな」

「もう、それは言わない約束でしょ?」


 そんな約束はしてない。やっぱ、こいつと組むんじゃなかったか。


「ほい、差し入れ」


 冷たっ!!

 いきなり、首筋に冷たいものを当てられた俺はびっくりして飛び退いてしまった。

 ったく、誰だよ……


「なんだ、宇佐美か。何の用だ?」

「なんだ、はないだろ。それよりも言うことあるんじゃないのか?」


 言うこと?んなもんねぇよ。

 一応、確認のため乃愛や夏音にアイコンタクトを送ってみるも、2人とも心当たりの無いようで首を傾げるだけ。


「うーん、なんのことだ………?あ、このスポドリはサンキューな」

「違うわ!いや、それもそうだけど。もっと他にあるだろ」

「他に?」

「俺の親父の車に涼葉ちゃん乗せてやった事だよ」

「あー、その事か。確か昨日、涼葉が……」


『そういえば、宇佐美さんのお父さんが車に乗せてくれた時に飲み物ご馳走してくれたんだけどね、その後すぐに眠くなっちゃったから、睡眠薬入れられてて誘拐されたのかと思ったよ』


「って言ってたぞ」


 それで、涼葉の方から俺に連絡がなかったとの事。


「俺の親父を勝手に誘拐犯にするなよ。3人とも疲れてただけだろ」


 まぁ、ごもっともだな。


「はいはい、ありがとな。それよりも宇佐美は何してるんだ?」


 見た感じ疲れてる様子もなく暇そうである。


「みかんが居ないからな……まぁ居たとしてもやることないんだけど」


 だったら帰ればいいのに。


「前から気になってたんだけど、お前なんでそんなにみかんに協力してるんだ?」

「さぁな。俺にも分からん。でも気づいたら協力しなきゃって思ってた」

「なんだそれ」

「ふむふむ……それはきっと恋だね」


 と、現れたのは右手にテニスラケット、左手にはバスケットボール、両足にはサッカーのスパイク、そしてソフトボールのユニフォームという姿の愛莉だった。一応、現在、最も許嫁の有力候補。というかほぼ確定。


「凄い格好だな……」

「アハハ……色んな部から引っ張りだこでねぇ」


 だとしてもその格好はおかしいだろ。ってツッコムのはもうやめておいた。


「それよりも、宇佐美が恋だって?」


 だって、そっちの方が気になるもん。


「間違いないよ。だって、みかんのことがほっとけないって感じなんでしょ?」

「あ、まあそんな感じ?」


 宇佐美もはっきりしろよ。


「だったらそれは恋!!まぁ、ボクにアドバイスできることはないけどね。みかんが復帰したらいっそ告白でもしてみたら?」


 なんて無責任なやつだ……


「ありがと。一応覚えとくよ」

「じゃあ、ボクはこの後、水泳部の助っ人だから行くね」

「え、その格好で行くの?」

「うん、いちいち部活切り替えるためびに着替えてると時間ないし、どうせ向こうで水着に着替えるし……あ、ボクの着替え覗いちゃダメだよ」

「安心しろ、1ミリも覗く気なんてないから」

「ちょっとぉ、それってボクが男っぽいからってこと?」


 覗いて欲しいのか欲しくないのかどっちだよ……

 普通に犯罪だからに決まってんだろ。


 その後、しばらく乃愛との練習をして帰宅することになった。


「すまん、先帰っててくれ」

「どうかしたの?裕太くん。良かったら待ってようか?」

「い、いやぁ、ちょっと先生に頼まれ事でな、待ってなくていいから帰ってなよ」

「うん、じゃあお先に」


 夏音と乃愛を見送って俺は職員室……ではなく自分の教室に。


「これでよしと」


 そして、お次は昇降口。


「ここもOKっと」


 最後に図書室。


「これで最後だな」


 あとは、適当に時間を潰して帰るだけ。


「おい、こんな所で何してるんだ?」


 ヤバっ、見つかった?

 と、後ろを振り返るとそこには宇佐美がいた。


「なんだ、宇佐美か」

「よし、最近、俺に対しての扱いが酷くなったってのがよくわかった。で、何してるんだ?」

「ちょっと、準備をな」

「準備?」

「ま、そのうち分かるよ」


 体育祭、夏音とみかんの勝負ももちろん大事ではある。しかし、俺にはもうひとつ大事な戦いがあるんだよ。

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