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2-5 今日はどこで寝る?

 週末、俺は宇佐美に言いくるめられて勉強会に参加することになった。場所はいつも作戦会議で使っているファミレス……の隣の図書館。


「さて、何からやるんだ?」

「じゃあ裕太君、ここ教えてくれないかな?」


 そう言って、夏音は数学の応用問題のページを指差して見せてきた。


「えーと、これはだな。この公式を使って……」


 俺と夏音のやり取りを見ていたみかんは「なんだか面白くない」と言わんばかりにこちらを見てくるので、


「なんだよ、さっきからジロジロと」

「いやぁ、ほんとに勉強出来るんだなと思いましてね」

「そういうお前こそ大丈夫なのか?さっきからペンが動いてないけど」


 俺は夏音に付きっきりで教えてるので、そもそも自分の勉強には手を付けていないがみかんは教えるでもなくペンを動かすでもなく、こちらをジロジロと見ているだけ。


「んー。裕太君が教えるなんて無理とか言ったら変わってあげようかと思って見守ってたんだけど大丈夫そうだね」


 人の心配より自分の心配をしたらどうだね……


「まあ、宇佐美よりはマシか……こいつ俺に命令するって意気込んでたのに」


 宇佐美は開始10分で夢の中に迷いこんでいった。


「アハハ…迅くん授業中も良く寝てるよね。あ、裕太君。さっきの問題これであってるかな?」

「えーと……あぁ、OKだな」


 軽く説明しただけだったが、ほぼ応用問題だけのページを全問正解。このレベルなら俺が教える必要は無さそうに思えるな。


 しばらく各々自分の勉強に向き合って時刻は午後4時。始めたのが昼過ぎだから3時間ちょい勉強したことになるな。

 まぁ、俺は図書館の本をお借りして読んでましたし、宇佐美は結局寝たままでしたけど……


 勉強会が終わり俺たちは図書館を出た。

 家に帰れば涼葉の料理が待っている。早く帰ろう。

 そんなことを考えていると後ろでみかんと夏音が……


「みかんちゃん。それは無理だってー。お願いだから……」

「そんなこと言われても家は無理だって。裕太君にお願いするしかないでしょよ」


 振り返ると夏音がみかんに泣き付いている。

 また、みかんが厄介事を作りでもしたのか?


「俺になんか用か?」


 とりあえず俺の名前は聞こえてたので尋ねてみた。


「えっ?ううん。なんでもないの。裕太君は気にしないで」


 夏音が慌てて手をパタパタと振って否定しているが……絶対なんかあるな、これは。


「OKわかった。じゃあみかん、説明頼んだ」

「ちょっと!!裕太君??」


 夏音は驚いて目をぱちくりさせている。


「OK任された。結論から言うと、今夜、夏音を裕太君の家に泊めてほしい」

「……はい?」


 なかなかの爆弾を投下してきたなこいつ。い、一応理由聞いてから驚こうかな。


「話すと長くなるけど良いかね?」

「……なるべく手短に頼む」


 みかんの話をまとめると。今日は夏音の親の働いている会社の創立記念日でその打ち上げを夏音の家でやることになったらしい。親からはみかんの家に泊めてもらうように頼まれたらしいが、みかんの家は泊めるのには都合が悪いらしい。


「打ち上げのために娘を家から追い出すのはどうなんだ?」

「お父さんが打ち上げの幹事になっちゃってね、場所に困ってたから、私から家でやることを提案したの。夜もかなりうるさくなることを心配されたんだけとみかんちゃんの家に泊めてもらえば良いかなって……」

「他に宛は無いのか?織田さんとか」


 俺だって一応男だ。夏音が俺に好意があるとはいえ、こういうのは良くないのでは?


「まだ、裕太君には言ってなかったね。今日、ほんとは姫香も来るはずだったんだけど風邪引いちゃったらしくてねぇ。さすがに病人の家に泊まるのはまずいでしょ」


 とりあえず宛はないようだな。まあ手を出すつもりもないし向こうが良いなら良いか……


「まあ、俺の家は特に問題ないかな。部屋も余ってるし。夏音はそれでいいのか?」

「えっ、あっ、その……」


 夏音は勝手に話が進んだうえに俺の家に泊まる流れになりつつあり、どうして良いかわからなそうにしている。そして、みかんに視線を向け「助けて」という顔で訴えている。


「あー、しょうがないなぁ。裕太君、夏音と一緒にあたしも泊めてくれる?やっぱり夏音1人だとあれだし……」

「あーもう、好きにしてくれ。1人も2人も変わらん。同じ部屋で良ければ」

「だってさ夏音。泊めてもらお」


 夏音はコクンと静かに頷いた。


「って訳だ宇佐美。俺は2人の家によってくから……あれ?宇佐美は?」


 俺たち3人は「うーん」と考え込み同時に「あっ!」と声を合わせる。


 寝かせたまま放置してしまった……


 俺が宇佐美を連れ出すため図書館へ戻ろうと振り返ると、涙目の宇佐美が俺に掴みかかってきた。

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