表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/94

2-4 勉強会

「ねぇねぇ裕太くん。今度の週末みんなでテスト勉強しない?」


 もうそんな時期か。

 6月も後半になりそろそろ期末テストの時期だ。なので、みかんは俺をテスト勉強に誘ってきたのだ。


「それ、俺行かなきゃダメか?」


 俺は勉強は苦手ではない。というか学年ではかなり上位だと思う。多分……

 でも、勉強するのは嫌いなんだよね。授業受けてればそれなりの点数とれるのに、わざわざやる必要ないだろ。


「もしかして裕太くんって勉強出来なさ過ぎて勉強する気にもなれない系?しょうがないなぁ、あたしが教えてあげよか?」


 勉強会に誘われて嫌そうな顔をした俺を見てみかんが煽ってきた。少なくともみかんよりは良い成績のはずなんだがね。


「あのなぁ。しょっちゅう先生から『お前は学級委員の自覚があるのか?』とか言われてるやつに教わることなんて無いから。俺は授業受けてればそれなりの点数取れる系なんだよ」


 自ら学級委員に立候補して俺まで巻き込んだうえに普段の表での仕事は積極的にやり、裏で先生に頼まれた雑務などはほとんど俺に擦り付けている。

 他にも、制服を着崩したりと校則違反スレスレのことは結構していて、週1ペースで先生に呼び出されている。


「あたしこれでも勉強は結構出来るんだけどな……まあ、裕太くんがどれだけ出来るかはわからないけど、出来るって言うなら夏音に教えてあげなさいな」


 夏音の名前を出されると断れないと思ってるのか、みかんは夏音に勉強を教えるついでに勉強会に参加を進める。

 確かに夏音の名前を出されると断りづらいが、俺の勉強嫌いを舐めてもらっては困るな。


「みかんが出来るって言うならみかんが教えれば良いじゃないか」

「……今回の裕太くんは防御が固いな」


 俺が頑なに拒んでいると教室に夏音がやって来た。


「みかんちゃん、裕太くんおはよう」

「お、夏音良いところに、みんなで勉強会やろって話してたんだけど、なかなか裕太くんがOKしてくれなくてさぁ。夏音は勉強会参加するよね?」

「うん、私は良いけど。裕太くんはなにか用事でもあるの?」

「それがねぇ、勉強嫌いなんだと。授業受けてればそれなりの点数取れるって。夏音も裕太くんに教えて貰いたいよね?」

「えっ?あ、あぁ、うん。そうだね」


 少し動揺しながらも夏音も賛成した。夏音も向こう側。これで2対1か。

 でも俺には許嫁探しっていう使命があるんだよ。そんなことに時間は使って居られない。


 校外学習から1ヶ月が経ったが進展したのは工藤さんと玉野さんがどの人なのかを確認できた程度。

 接触したいところだがいきなり話しかけても警戒されてしまうだろうからチャンスを伺っているところだ。織田さんは特に変化なし。

 みかんもあれからは普通に元気だし特に異変は無い。宇佐美は諦めていないみたいだが……


「俺そんなに暇じゃないんだけど?」

「夏音も教えてもらうならお願いしなよ」

「裕太くん……ダメ……かな?」


 目をうるうるさせながら上目遣いでお願いをしてくる。涼葉とは違うが、妹みたいですごくかわいい。


「……だ、第一、俺にメリットがない」

「じゃあこういうのはどう?テストの合計点が1番の人はなんでも1つお願い出来るっての」


 かくれんぼの時と同じような提案をしてきたみかん。それこそ俺に勉強を教えるメリットが皆無な気がするが……


「おぅ、みんなおはよう。なんの話だ?」


 遅めに登校してきた宇佐美にここまでの話をするみかん。


「なるほど、まあ裕太が参加しないならそれで良いんじゃないか?裕太に命令権無くなるし、俺が裕太にあれやこれやと命令出来るし」


 俺が宇佐美を引っ張り耳打ちをする。


「なにさせる気だ?」

「そうだなぁ。夏音ちゃんに告白でもしてもらうかな」


 それは困りますね……


「あ、なんだ?その。俺も勉強会に参加させていただきます」


 天野裕太、撃沈。

 と同時に試合終了(始業)のチャイムが鳴った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ