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2-3 許嫁候補

 放課後、俺は宇佐美とみかんに手紙の件について話した。


「なるほど、ついに動いてきたな」


 最初はこの件に関してあまり興味を持っていなかった宇佐美だが、今では結構興味を持っている。

 それに比べていつもうるさいみかんは静かだな。まだ体調が優れないのだろうか。


「みかん?大丈夫か?さっきからおとなしいけど」

「……」

「みかん?」

「ッ!えっ?あぁ、うん、大丈夫」

「ならいいけど。あまり無理すんなよ?」


「で、裕太の話をまとめると、許嫁の子は俺らの行動を把握していた。つまり校外学習の日、単独行動をしていたということだな?」

「そうなる。そこで今日、先生に聞いたんだよ」

「聞いたって何を?」

「『校外学習の日、欠席した人と、グループからはぐれた人ってどのくらいいますか?』って、そしたら該当者する女子生徒は4人だったよ」

「4人か。で?誰なんだ?」

「まず1人目と2人目は俺らも知っているが夏音とみかんだな。2人がはぐれたタイミングは今回の件には関係ない。それに夏音は100%あり得ないし、みかんも違うんだろ?」

「な、何言ってるの?当たり前でしょ?」


 今、みかんの名前を挙げたときにピクッとした気がしたけど……まさかな。


「で、肝心な3人目と4人目だが、1人は3組の工藤 愛莉(くどうあいり)さん、もう1人は5組の岡野(おかの)すみれさんだそうだ」

「なるほど、で?その2人のことはなんか調べたのか?」

「いや、特には。強いていうならグループから離れた理由だな。工藤さんは当日、間違えて学校へ行ってしまったらしくて遅刻して昼過ぎにグループと合流したらしい。岡野さんはグループとはぐれているところを駅にいた先生が見つけて、こちらも昼過ぎにグループと合流したらしい」


 2人とも故意的に出来ないことではないので怪しいといえば怪しい。


「まあ、確定ではないが候補は出揃ったわけだ。1ヶ月でこの成果はなかなかだと思う。今日はありがとな。みかんも病み上がりで付き合わせちゃってごめんな」

「う、うん、気にしないで、あたしは本当に大丈夫だから。それじゃあ先に帰るね。また明日」


 俺と宇佐美は一足先に帰るみかんを見送り再び席についた。


「で、話ってなんだ?宇佐美」


 今日、学校で『2人きりで話したいことがある。放課後いいか?』とチャットで連絡があったので、『俺からも許嫁の件で話がある。そのあとでよければ』と返していたのだ。


「俺がみかんちゃんを背負って駅まで向かってる途中のことなんだけど。みかんちゃん、あのとき『あたしってダメだなぁ。こんな人を好きになっちゃうなんて』って言ったんだよね」


 みかんがそんなことを言っていたのか。だが、こんな人ってどういうことだ?疑問に思った俺が宇佐美に尋ねると、


「あのとき、みかんちゃん、意識がほとんど無くて実質寝言みたいな感じだったんだけど確かにそう言ったんだよね。あれが俺に向けてだとしたら、俺なんか好きになっちゃってダメだなぁって意味だろ?俺、みかんちゃんになんかしたか?」

「いや、知らねぇよ」

「そこで裕太にお願いだ。みかんちゃんにも探りを入れてほしい」

「俺は自分のことで忙しいんだよ。ただでさえ正体不明の許嫁が見つからないのに、そんなことに付き合ってられるか」


 俺は面倒事に関わりたくないので拒否したが、宇佐美から帰ってきたのは意外な言葉だった。


「これはお前の為でもあるんだよ。俺は許嫁候補は4人だと思ってる。1人は織田さん、単独行動しなくてもお前を監視できるいいポジションだと思う。そして、さっきお前が挙げた2人、そして、最後はみかんちゃんだ」

「みかんが?まさか……仮にみかんが許嫁なら何で俺と夏音に協力してるんだ?」

「それはカモフラージュするため、それにもしそうならさっきの言葉に納得がいく。裕太という許嫁がいながら、俺、宇佐美迅を好きになってしまったあたしってダメだなぁってな」


 こいつ、みかんの好きの矛先を自分に向けたいだけでは……

 しかし、俺もみかんの様子が少し気になる。ここは宇佐美の案に乗っかっておこう。


「わかった。俺からも探りを入れて見るよ」

「さすが裕太、それでこそ我が友だ」

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