2-1 友情の証
ここから第二章になります。
みかんに飲み物を頼まれた俺は、売店へ向かう途中、ロビーにいる宇佐美達3人に合流した。
「夏音、落ち着いたか?」
夏音は、みかんが熱中症で倒れたとわかると自分を責め続け、泣き出してしまっていた。
そのため、落ち着くまでみかんには俺が、夏音には宇佐美と織田さんがそばに付いていることになっていた。
「はい、泣き疲れて眠ってしまいました」
確かに夏音は、そう言う織田さんの膝枕の上で寝てしまっていた。泣き疲れて寝ちゃうなんて、なんか可愛いな。
宇佐美は、そんな可愛い夏音……ではなく織田さんに膝枕のされている夏音を羨ましそうに見ていた。こいつはもう放っておくか。
「みかんの意識が戻った。売店で飲み物買ってくるから夏音が起きたら病室に来てくれ」
「本当ですか?それはよかったです。私達もすぐに向かいますね」
3人と別れた後、売店で飲み物を買った俺は病室に戻った。
「ほれ、飲み物買ってきてやったぞ」
「ありがと」
俺が渡したのはよく冷えたスポーツドリンク。熱中症患者にはこれがいいだろう。
「夏音、疲れて寝ちゃったみたいでな。まあ、すぐここに来ると思うよ」
しばらくすると、病室のドアが開き宇佐美達3人が入ってきた。夏音もお目覚めである。
「みかんちゃん、ごめんね」
「夏音、あたしもごめん」
病室に入り、みかんと目が合った夏音は、みかんに飛び付くようにして抱きついた。それをみかんもベッドの上でしっかりと受け止めている。
「天野君、先生方にはしばらく病院に残ることを伝えておきました」
「あぁ、ありがとう。みかんも軽い熱中症ですんだみたいだし、もう少し休んで回復してから帰るとするか」
織田さんの言葉に背を向けて答えた俺の目には、お揃いの髪飾りをつけてお互いに抱き合っている2人の友情が映っていた。