表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/94

1-19 初デート

「えー、今日はこれでおしまい。ゴールデンウィーク明けは校外学習だから間違って学校にくるんじゃないぞ。それじゃ、さよなら」


 そう言った、先生が教室を出ていくと同時に、みかんが俺に映画のチケットを渡してきた。


「裕太君、これ、今度やる映画のペアチケットあたし用事あって行けないから、よかったら夏音と2人で行ってきなよ」

「だってさ、夏音どうする?」

「いいんじゃない?せっかくだし行こうよ」

「じゃ、お2人でデート楽しんできてねー。それじゃ、あたしバイトあるんで、お先に」

「デ、デートって、もう、みかんちゃんったらー」


 夏音は立ち去ろうとするみかんに向けて真っ赤な顔で反抗する。この光景も見慣れたもんだ。


「それじゃ、俺からも、食事券やるよ。デート楽しんでこいよ。じゃ、さよなら」

「もう、迅君までー」


 宇佐美もいつも通りからかうとそそくさと教室を出ていった。うん、この光景も見慣れたもんだ。

 みかんがからかい、宇佐美が追い討ちをかけ、夏音が赤くなる。見事な3連コンボだ。



 映画の日、俺は約束の待ち合わせ場所で待っていると、夏音が時間通りにやって来た。時刻は午後3:00、映画は4:00からなので十分間に合うだろう。

 そういえば、夏音の私服見るのは初めてだな、宇佐美とみかんは恋の作戦会議のときに見たけど。それに今日は一応デートということになってるし夏音はおしゃれをしてきている。俺は服のことはよくわからんが、とりあえず誉めておくか。


「そのワンピース似合ってるな」

「そ、そうかな?ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいな」


 まるで台詞のような感想だったが喜んでもらえてなによりだ。


 


「映画面白かったね」

「あ、あぁ。そうだな」


 映画を見終えた俺達は、感想を語り合いながら宇佐美にもらった食事券の店に向かっているところだ。


 ちなみに映画の内容なんだが,,,,,,内容はとてもいい内容だったと思う。だが、俺にとってはそうじゃない。

 俺達が見た映画は主人公のことが好きなヒロインの恋愛相談を主人公が偶然聞いてしまう。というものだった。まんま俺じゃん。そう思っていると、なかなか集中して見ることが出来なかった。


 その主人公は他に想いを寄せている子がいたのだが、さまざまな葛藤の末ヒロインの女子に告白してハッピーエンド。

 コメディ要素のある恋愛ものが好きな人にとっては良作のような気がする。俺はラブコメというもの自体、嫌いではないがピンポイント過ぎる設定に困惑してしまった。さてはみかん、はめたか?


 なんて、思っていたが夏音とディナーを食べているうちに、どうでもよくなった。だって、ここの料理めちゃくちゃ美味しいじゃないですか。


「これ、凄く旨いな」

「そうだね。凄く美味しい」


 夏音もとても美味しそうに食べている。


「今日はありがとね。裕太君と一緒で楽しかったよ」


 少し恥ずかしそうに言う夏音が可愛い。思わずドキッとしてしまった。


 ディナーを終えた俺は夏音を最寄りの駅まで送ると、タイミングよくメッセージの着信が届いた。


『デートどうだった?』


 みかんからか、1つ聞きたいことがある。


『あの映画はなんなんだ!』

『裕太君達みたいでしょ?いいかなぁって思って選ばさせていただきました』


 いいかなぁ、じゃねぇよ。っていうかお前が選んだんなら用事で行けなかったんじゃなくてもともと俺に渡すつもりだったってことだろ。

 まさか、宇佐美も?


『まさか、また裏で仕組んでないだろうな?』

『ご名答』


 ですよねー、まあ、しかし楽しめたのは事実だ。

 あとで2人に『ありがとう』と送っておくとしよう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ