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1-13 恋の作戦会議(日曜日)

「第一回恋の作戦会議!!いぇーーーい」

「第一回ってきのうぅっ痛いたいたい」


 日曜日、あたしたちは夏音の恋の作戦会議と言うことで、昨日と同じファミレスに集まった。

 夏音は裕太君が倉庫にいたことは知らないのでここに裕太君がいないことはなんとも思ってない。というかいたら逃げてそう。開幕早々昨日もやったことをばらそうとした迅君の足を夏音の視角になるテーブルのしたで踏みつけ、黙らせた。痛いと騒ぐ迅君に夏音が「えーと、大丈夫?」と戸惑い気味に心配していたが、ばれてはないだろう。


「そういえば、今日ってかくれんぼでみかんちゃんが勝ったから私達をここに集めたのはわかるんだけど、天野君にばれてない?私達だけってなんか変じゃない?」

「えっ?うん大丈夫、大丈夫。彼の情報集めようと思って昨日2人でデートしたから」

「……デート……したの?」


 変なところで鋭い夏音に対して苦しい言い訳をしてみたが、デートというワードに反応してジトっとこちらを睨み付けた。完全に嫉妬していらっしゃる。

 夏音はあたしと迅君が夏音の恋心を知っていることを理解した上で開き直っているようで、完全に対抗心剥き出しである。例の合格発表の日以来、夏音は何かと立ち直りが早い。


「い、いや、デートっていってもそれは裕太君に対しての建前で、情報集めが目的だからさ……」

「ゆ、裕太君って……」


 おっと、今度は呼び方に反応した夏音の顔が完全に怖い……だけど、これは予想通り。


「ん?そうそう、まずは距離を近づけるために名前で呼ぶのはどうかなって思ったわけ。そんで、昨日裕太君に『あたしたち、これからも仲良くしたいから名前で呼び会わない?もちろん夏音たちも』って、言ったんだよね。そしたら『俺は構わんぞ』だってさ。だから夏音も天野君じゃなくて裕太君って呼びなよ。ついでに迅君も」

「ついでって、そりゃないでしょ。みかんちゃん」


 ほぼ嘘の名前呼びの経緯を伝えると、あたしの隣から文句が聞こえた気がしたが、今は無視。


「で、でも急に名前で呼んだら変じゃないかな?」

「別に夏音が嫌ならあたしたちだけで名前呼びするけど?ねぇ迅君」

「ぉ?ぉおう」


 私はニヤリと迅君にアイコンタクトを送ると、彼も同意の反応をしてくれた。


「うぅ、みかんちゃんのいじわるぅ」


 無理矢理丸め込むことに成功した。あとで裕太君に連絡しておこう。あ、そうそう、連絡と言えば


「あ、そうそう昨日ついでに裕太君の連絡先ゲットしておいてあげたから、夏音にも教えるよ。とりあえずあたしたち4人のグループ作っといたから参加しといて」


 あたしの意図を察してくれた迅君は昨日参加したグループにあたかも今参加したかのように装うために、自分の連絡先を教えようとしてくれた。開幕の一踏みが効いているのか空気を読んでくれた。

 一方、夏音は嬉しそうに目をキラキラさせてチャット画面を見つめている。見つめてもなんの通知も来ませんよ……


「で、とりあえず昨日仕入れた情報なんだけど、裕太君には妹しかいないらしくて夏音の見た御守りは妹製らしいから、例のあの人は裕太君で決まり。今は彼女とか特に好きな人とかはいないって」


 それを聞いた夏音は「そっか」と少し安心するように答えた。



 会議は昨日よりはるかに早く終わり、あたしたちはそれぞれ帰路についた。帰り道の途中、あたしは絶対に夏音の恋を実らせてやると強めに拳を握りしめた。

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