魔人VS魔族
『結局個々で当たることになってしまったな。』
皆直ぐに行っちゃったからね。これはもうしょうがないよ。
『で、誰に聞くんだ?』
うーん、声掛けにくいわ。
『まず、声出ないだろ。』
忘れてたわ。じゃあ、スケッチブックを使いますか。
『で、何の情報収集するのだ?』
それは勿論、現地の情報に決まっているじゃない。
『生存率0%と聞いているが。』
殆ど詰んでるじゃない。敵がわからないのにどう対策しろと?ダンジョンのトラップとかどうするのよ?
『今までのダンジョンもそういう感じのものが多かったではないか。お前の両親の研究分野は魔人だ。どのような敵やどのようなアイテムを揃えるにしろ安全なものなどないぞ?』
知ってるわよ。私だって嫌嫌なんだから。ただ、今回シャロルやゴンペイもいるじゃない。できる限りリスクは潰しておきたいの。
『わかったわかった。文句があるならまずは誰かに聞いてみるんだな。』
くー、貴方も社畜ね!!
ツンツン
「あ?なんだ?びっくりしたじゃねえか?」
“お聞きしたいことがあります”
「うん?聞きたいことってか?…てか、見たとこお前魔族じゃねえな?」
“冒険者です。声が出ません”
「あーわかったわかった。で、何聞きてえんだ?」
“ここへの行き方と、出来れば攻略法をお願いします”
「ここ?ああ、その地図な。…『死の鉱山』じゃねえか!お前そんなところ行きたいのか?」
『まあ、先程のリボンの言い分だとそうなるだろうな。』
身分の高い方みたいだからリボン様と呼んだ方が無難じゃないの?
『貴族はそういうところを気にするのか?シャロルもそんな感じなのか?』
あの子も気にするわよ。ただ、自身だけは許容しているみたいだけどね。
“あくまで情報収集です”
「ほう。まあ俺からのアドバイスとして行くのは構わねえが、入るのはやめときな。種族が違うとはいえお前はまだ若いだろう?命を無駄にするのはよくねえぜ?」
心配してくれてありがとうございます。
『散々残虐に殺しておいてな。』
貴方のせいだからね。
「行き方はこの城下町から出ている電車に乗ればいい。実質電車は出ているからな。詳しくは俺に聞くより駅前の奴らに聞いた方が早えだろ。」
“わかりました。ありがとうございます”
『何故電車が出ているんだ?危険地帯なんだろ?』
さあね。推測するなら、開拓するためじゃないかしら?
『出来無いと聞いているが?』
出来無いと決めるためには誰かがやって見たという事象が必要よ。そのために交通面は整えた。だけど、実際開拓を始めたら手詰まりになってしまった。その名残で交通網は生きている。という推理。
『ほう。イタチに伯爵令嬢やってるんじゃないんだな。』
別にこの推理と伯爵令嬢関係ないでしょ?
「キャーーーーー!!!」
何々?!
『向こうからだな。聞き覚えのある声だが大丈夫か?』
早く行こう!
「返してくださいまし!」
「へー嬢ちゃん。いいロッド持ってるじゃんか。こりゃ、そこいらの店より威力ありそうだぜ?」
「それは当然ですわ!私の実家特注ですわ!それより返して…ガハ…」
「おいおい、人間ごときが俺ら魔族に勝てると思ってるのか?」
「やめたれよ。魔王も言ってるだろ?人種差別は捕まるぞ?」
「こんな可愛い子ちゃん来たら弄りたくなるもんだろ。お前だってこの前来たドワーフの少女と戯れていただろ?」
「俺は殴ってねえぞ?そ、そりゃ…可愛かったからくすぐったけどさ…」
「じゃあ同じだな。ほら、返して欲しきゃ俺のペットになりな!」
なんかすごいことになっていない?!
『魔族の1人がシャロルに絡んでるな。他の連中が止めようとはしているようだが…』
あの魔族強いのかしら?声かけはしても止めようとはしていないわね。
『よくよく考えろ。今ここは魔族の国だ。魔族が支配している。人間の国で言えばお前らは猫のようなものだぞ?可愛がる対象にはなりえるが、暴力を振るう対象にもなりえる。道端で不良が猫をボコボコに虐めていてそれを本気で止めようとする人間はいるか?自分が怪我するかもしれないのにだ。』
そういう種族のトラブルって奴ね。
「シャロル様!」
「あ…ゴンペイさん…ですわ…助けてくださいまし…」
「え?!…シャロル様になんて…」
「あ?やんのか?」
「ヒ…」
「…情けない…戦闘…開始…」
ちょいちょい待って待って!ここの宿壊れるから止めて。貴女自身の実力くらいわかってるでしょ?
『群衆から叫んでも聞こえないぞ?最もそれ以前だが。お前が乗り込んだ方が早そうだが?』
…わかったわよ。伯爵令嬢がこんなところで目立ちたくはないんだけどね。
「あ?またなんか来たな?」
“エナ?ここで魔法は使わないで。貴女の魔法はこの場を破壊しかねないから”
「…承諾…魔法無し…エナ…戦力外…」
“私が何とかする”
「サクラ伯爵令嬢!貴女もここから逃げた方が良い!」
「そ、そうですわ。私とてたかが子爵令嬢ですわ。伯爵令嬢の命には変えれるものじゃありませんわ!」
“それ返して。シャロルの物だから”
「あ?うんじゃそうだな。お前の方が可愛いからお前が俺のペットになれ。そうすればこれは返してやる。」
『よかったな。認められたぞ?』
全然嬉しくないんだけど。
“却下。返して”
『サクラ。我を抜いておけ。急に攻められると対処できまい。』
わかった。エナ、スケッチブックお願い。
「…サクラ様…スケッチブック…」
悪いけどエナ。少しそれ持ってて邪魔だから。
「あ?俺と遣り合うっていうの…か…?!」
「何だなんだ?!黒い湯気が彼奴から漂ってるぞ?!」
「…サクラ様…ブーメラン…」
「サクラ様?!どうされてしまったのですの?!」
ニヤニヤ
「…ひ…ヒィ…化け物だ!!!逃げろ!!!!」
ザシュ
「ギャーーーー!」
カランカラン、ボトン
シャロル?逃げてった奴の腕ブッタ斬ってロット奪い返したよ?
「さ…サクラ様…ですの?」
まあ、命まで奪っていないから腕だけ置いてどっか行ったけど。
「サクラ様…。顔が…黒い湯気が…。」
関係ない魔族まで巻き添えにはしていないわ。まあ、逃げては行ったけど。
「…サクラ様…漆黒剣…仕舞う…サクラ様…黒のオーラ…放つ…目…白目黒色化…黒目…片方赤化…片方ピンク温存…エナ…慣れてる…他…恐怖のみ…」
『サクラ。我を仕舞え。仲間を脅してどうする。』
おー怖い怖い。オッドアイに眼帯つけるか否かで検討中。