003▼分冊3▼殺人に至るメカニズム◆s戦争を止める方法・殺人を見てしまう病状
003▼分冊3▼殺人に至るメカニズム◆解体シタイ◆具体的殺人論説
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――学校
よくある風景。よくある会話。いつの時代も学生たちは変わらない。
同じことの。似たようなことの。繰り返し。焼き増しの繰り返し。
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▼小説家になろう
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▼重複投稿です
(委託サイト、一発やる会の管理地などで、有償公開)完結済み。
『小説家になろう』で毎週きりが良いところを連載形式で公開予定です。
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◆◆◆場所:『学生(若者)あふれる学内喫茶の窓際で』
……語り手:『ショートヘア』
「――いや、もうね、ちょっと疲れたよ!
『呼び出し』というか、『私的処刑』というか、
『ソクラテス的弁論術』っていうか。もう質問攻めしてきたよ。
いや、責め責めで、『責任追及』ってカンジだったかもしれないね!
それなのに……。
なんだ、あの【殺人容認主義者(白眼鏡)】は!
殺人については詳しすぎるし、それ以外の分野も詳しすぎるって、
それなんて『天は二物を与えまくり』だよ!
あっさりこっちの質問を返してきやがる。
……くそっ、『ゆとり教育』のせいで、私はバカになったに違いない。
『私の可能性』ってのを、返しやがれ、この『政治家(売国奴)』が!
『年次改革(奴隷)要望書』に踊らされながら、『選挙の点数稼ぎ』に走ってんじゃねぇ!
『売国と囚人野郎』は、『国営農場』で
『家畜同然』にされながら、『国の食料自給率』上げてればいいんだよ!
なに? 国の批判をしちゃダメだって? いや、言うね。言うよ。
誰がなんと言おうと、声を大にして『抗議』してやる。
いや、これは『主張』だ! 『闘争』だ!
ちゃんと、私は『消費税』納めてるし、『選挙』にも行ってるんだ!
『義務』を果たしてんだ。『権利』を主張して、何が悪い!」
と、ショートヘアの女のコが言えば言うだけ盛り上がる、
まさに『ハイテンション(悪ノリ)』しながら、
『ジャスチャー』付きで大演説中。
――といっても、それは窓に映ってる私なワケで。
《まぁまぁ、つうか、恥ずかしいから》と、目の前の『ロングヘア』の友だちが、私をなだめ中。
「一体、『ショートヘア』をそんなにしちゃうぐらいの人って……。
で、どんな話だったの?」
「いや、『殺人について』大いに語り合っただけだよ。
そうだね、具体的に言えば――」
と、私はそのときの話の流れを『身振り手振り』で、
再現しながら説明してみる。
《殺人って許されるんですか?》と、私が意地悪気味に。
《許されるもどうも、『時と場合』であって、それによって善悪は変わるもんだ》と、『白眼鏡』が当たり前のように。
《じゃあ、『許される場合』って、『どんなとき』ですか?》と、
私が追撃してみる。
《『殺されそうなとき』、
『戦争のとき』、『死刑のとき』、それと『尊厳死』だ》と、
『白眼鏡』が簡潔に。
《殺されないために、殺すって、『殺しの連鎖』じゃないですか》と、
私がさらなる追撃。
《その通りだ。だから、『核抑止論』が生まれ、『スイスは永世中立国』になり、『日本は第九条で武装放棄』し、連鎖を止めようとしている》と、『白眼鏡』があっさり返す。
《それで止まるんですか? それじゃ、意味なくないですか?
第一、その方法で、今だ『紛争』とか『領土侵略』とかやりまくりだし、
やられまくりですよ?
――逆の発想で行きます。どうすれば『殺人はなくなる』んですか?》と
、私が『どうしようもない答え』を出せと追撃。
《【自制の壁(前提条件)】を突破(満た)させなければ、殺人は起きはしない
。そのための『法律』で『社会』であり『世間』だ。
――それと、これは、さっきの講義でやっただろう?
やはり聞いてなかったのか?》と、『白眼鏡』が鋭く追及。
《いや、寝てません!
説明の仕方と理論がおかしいから納得できなかっただけです。
だから、あえて、この場で聞いたんです》と、
私が『どぎまぎ』しながら返しとく。
《――そうか。なるほど、一理ある。私の説明が悪かったのだろう。
『蝠山大学心理学部教授』としてここに詫びよう》と、
『白眼鏡』が、不敵な笑顔と『人を殺したことがある』って
カンジの眼で、私を見てきて――。
「――で、こんな状況になってるんだね」
「そそ、謝らせた。言い負かした。勝ったと思った。
――だけど、違ったんだよ。
『試合に勝って、勝負に負けた』んだ、これじゃ……」
『牛丼』と『カツ丼』のトレイが載った喫茶のテーブルを私はアゴで示す。
正確には、『プリント束の群れ』だけど。
えぇ、『白眼鏡』教授(先生)は、
『人生の負け犬(バカな私)』のために
『補修プリント(謝罪の気持ち)』をたくさんくれました。
ねぇ? これ軽く『単行本(5cm)』ぐらいの厚さあるよ?
『専門用語』ばっかで、さっぱりだけど、
悲しいけど、これって宿題なんです。
とりあえず、これだけは言わせてくれ……。
「ヤツは、ドSだ! Sを超えた、『スーパーS』。
略して、『SS』! ってなんか、すっごく小さいカンジじゃねぇか!」
自分で言って、自分で悲しくなった。
《あはは、『ショートヘア』は、やっぱ『⑨(バカ)』だよな》と、
『ロングヘア』が悪ノリでボケに乗っかかりながら、『右手の箸』で、『牛丼』を食べる。
《おいおい、私とたいして成績変わらんだろ》と、私は、ツッコミ返しとく。
まぁ、こんな愚痴(話)をしてても仕方ない。
それより、楽しく話そうじゃないか。
なんたって、今は『ランチタイム』の休憩時間。
『革命上司(できる社員)』たちは、『ランチミーティング』を
活用してるもんだ。
私もそれに習って、有意義な時間を手に入れてやる。
「で、最近、巷でウワサになってるじゃない?
あのバラバラ殺人についてどう思うよ?」
「……いや。つうか、今、楽しくランチで、
しかも、『牛丼』食べてる私の立場って考えたことある?」
ごめん。
思いっきり、
いつもの『ファミレス』とか『ファーストフード』な気分でやっちゃった。
ちょっと反省。
「まぁ、『ショートヘア』が『KY(空気読めない)』のは、
今に始まったことじゃないとして。
……何でもたくさん死んでるそうだね。
えっと、何人だっけ? 三人、五人?」
「いや、そんな数じゃ収まらないと思う。
私が知ってるウワサだと、病院の医者と、看護師数名、理事長に、その家族。それに、病院で死んだ女のコの家族も殺されたとか。
あまりに死体がバラバラ過ぎて、失踪した人数で数えるほうが早いみたいだよ」
うん。
――ホントにバラバラ過ぎて、『焼肉とか牛丼』みたいらしい。
だけど、これは『KY(空気読める)』な私は、言わずに我慢しとく。
さすが私。偉いぞ、学習してる!
あれ? なんか『ロングヘア』が、《うげぇっ……》って顔しながら、『牛丼』を見てのはキノセイ?
「でも、なんでバラバラにするんだろうね?
――手間じゃない? 解体してるところがばれるかもしれないのに」
「あぁ、それね。私も疑問に思ったんで、『白眼鏡』に聞いてみたよ。
そしたら、
『致死の確認(確実に死んでるか)』と『怨恨(よっぽどの恨み)』、
または『証拠隠滅(運びやすい)』なんだって。
死体が残ると、どうしても犯罪が起きたってことで騒がれるから。
死体をどう隠すかってのは、『推理物の基本』だよね。
まぁ、今回のウワサに関しちゃ、死体は隠されずに、『バラバラのまま残ってる』んだけど」
《へぇ……そうなんだ。これ食べていいよ》と、『ロングヘア』が、私に『牛丼』をくれた。
――おぉ、これは意外な展開だ。
微妙に小腹がまだ好いてたのでありがたい。
ありがとう! ゴチになります。
あれ? なんか、『ロングヘア』が『半目』で、私のことを見てきてるんですが……。
まぁ、きっとキノセイだ。『光の反射』のせいに決まってる。
「だけど、何で、連続殺人が全部バラバラなんだろうね? 何かのこだわりでもあるの?」
「あぁ、それも『白眼鏡』が答えてくれたよ。
授業で話した【シフト化(条件が揃えば反射で殺す)】なんだって。
なんか一度、人を殺して、既存の道徳(価値観)がぶっ壊れたら、
行動の中に【選択肢:殺人】が増えちゃうから、
衝動的にまた殺っちゃう。
万引きとか、喫煙とかの依存症と同じみたいなもんらしいよ。
そして、限度を超したら、殺してること自体がフツーになるんだって」
《それって、嫌な話だね……》と、『ロングヘア』が、怖がるようなカンジで。
「その犯人は捕まったの? それとも、もしかして、現在逃走中? もしそうだったら恐いな……」
「うん。恐がらせて、悪いんだけどね。
――犯人は逃げてます。めっちゃ逃げてます。
『目撃情報が全くない』んで、全然わかりません。
でも、『ケーサツ』が、『とりあえず捜査中』なんで、そのうち捕まるんじゃない?」
《早く捕まって欲しいな……》と、
『ロングヘア』が、ますます怯えて呟く。
《まぁ、なんとかなるんじゃない?》と、私が、彼女を勇気付けとく。
「それに、何かあったら、『才色兼備』で『美人端麗』で、
まるで『巴御前』みたいな
『無敵のお姉ちゃん』が助けてくれるじゃん。
『双子の姉さん』いたでしょ?」
「――あ、うん。いるよ! もちろんいるいる。
『大好きで大好き』で、どうしようもないぐらい『尊敬』しまくりの『自慢のお姉ちゃん』がね。
『双子の直感』ってヤツか、何かあったら絶対助けに来てくれるんだよ」
めっちゃ笑顔で言われた。
どうしようもない笑顔で言われた!
まるで、『恋する乙女』が『白馬の王子様』を紹介するようなノリで言われた。
「うん、いろんな意味でゴチソウ様だよ、牛丼と話で、もう満腹です!」
と、私は言っとく。
あーあ。
私もそんな『理想の相手(白馬の王子)』がいればいんだけどな……。
とりあえず、アレだ。――『料理の上手い人』を希望しとく!
そう。祈りは、願いはきっと叶うに違いない。それが『人類の進歩』の理由ってもんだ。
――とまぁ、そんないつもの『学内喫茶』の風景が流れてく。
それにしても、『喫茶店』なのに、
『牛丼』とか『カツカレー』とかあって、しかも、『タダで大盛』にしてくれるってのは、この大学(学校)のイイトコに違いないって、断言しとく。
◆◆◆場所:『紫煙(私怨)渦巻く享受してる教授の部屋で』
……語り手:『やさ男』
「えっと、これは大胸部を包丁で二回は突き刺して、最後の一回は突き刺した後、引切って殺してます。
――で、こっちは、時速六十五キロぐらいの普通自動車にはねられて、十メートル転がったときについた裂傷が酷いですが、死因は跳ね飛ばされて落ちたときの頭蓋骨陥没でしょう。
――えっと、こっちは、一見、首吊り自殺に見えますが、扼殺ですね。顔のうっ血具合と身体のあちこちの擦り傷が、別の場所で殺されたことを物語ってます。こっちの現場は――」
……これはなんという拷問。
『第三次世界大戦』に向けて、この『拷問方法』は開発されたのか?
いや、いきなり『呼び出し』されたと思ったら、延々、事件現場とか、殺害された被害者写真を何十枚も見せられた。
もちろん、その中には、最近のウワサになっているバラバラ殺人事件のものも含まれていて……。
そう。まるで、『焼肉屋の残飯』みたいに『バラバラ』で『ぐちょぐちょ』になった写真だった。
しかも、ただ見せられるだけじゃなくて、『この死体はどういう経緯で死体になったか当てろ』ときたもんだ。
なに、この悪趣味な『推理ゲーム(ミステリー)』は?
「――ほう。さすがだな。
いや、『流石』なんて皮肉ではなく、素直に感心した。
どの現場も、お前が言った解答で正解だ。
専門家でも、状況を聞いて、現場を調べて、ようやく分かるというのに。それを一瞬見ただけで、答えるとは、実に興味深い。
『欠課の注意と補講』にと写真を見せたのだが、恐れ入った。
事件用に【歩く騒怨】から取り寄せた資料を全て消化できた。礼を言おう」
と、『白眼鏡』教授は、『巻きタバコ』の紫煙を吐きながら、尊大に仰った。
授業をサボった僕が悪かったです。
認めます。寝坊しました。認めます。
――だけど、フツー、こんな写真、延々見せられたら、『心的疾患』になるぜ?
つうか、【歩く騒怨】って誰だよ?
とりあえず、抗議の意味を込めて、反撃しとく。
「いえいえ。そういってもらえて、僕も嬉しいですよ。
――だけど、先生。欠課の注意も必要ですが、お体の注意も必要ですよ?
『この学校は禁煙』なんですから、『校則』にも注意しないと」
「ん? あぁ、それは気にしなくていい。ここは私の研究室(部屋)だ。
私の領域で何をしようと、『治外法権』だから気にすることはない」
《ほら、あれがその証拠だ》と、
『白眼鏡』が、部屋に飾っていた『学校長の許可状』を見つめる。
うわっ、ホントだ。
ホントにそう書いてある。『研究の功績を讃え許可する』って書いてあるし。
これって、あれだよな……。
――ここで、『人が死んでも仕方ない』って言うのを『暗に意味(脅迫)』してない?
僕らとほとんど変わらない歳のクセに教授(しかも美人)ってのは、フツーの感覚じゃなれないらしい。
なんか、人として踏み外してる気がする。
だって、『ファッションセンス』が、『白いフレームの眼鏡』と、『腕を通さずに羽織った白衣』は、どっかの『鬼軍曹』か『歴戦の提督』にしか見えません。マジ、威圧感の固まりです。
「それにしても、お前のその技術は何だ?
どうやったら、お前の歳で、そのような技法が見につくんだ?
もしよかったら、教えてくれないか」
《後学のため是非に》と、『白眼鏡』は、本気で知りたそうに。
「いや、別にそんな大したもんじゃないですよ。ただの勘です。
ただ、そう思っただけですって。まぐれ当たりのヤマ勘ですって。
ただの『初心者の幸運』ってもんで」
《だから、気にしないでください》と、僕は、フツーっぽさをアピールしとく。
「なるほど、勘か。
百五十六枚の現場の写真を全て当てる勘とは、非常に幸運の女神に愛されているらしい。
――まるで、『殺人の過程』が視えているようだ。
ある『新伝綺』に出てくる『直死の魔眼』というやつか」
……な、わけない。
そんなことがあるはずない。
「いやいや。あんな『幻想兵器』と一緒にしないでくださいよ。
『モノの死線』が見えて、その線を切れば、『何でも殺せる』とかって何なんですか。
『不死身の吸血鬼(真祖の姫君)』とか
『ベッド』とかを『ナイフ一本』で分割し放題って、
『スクラップ工場の求人』が、ほっとかないですよ」
《……そうか、悪かったな》と、『白眼鏡』が不敵な視線を送ってくる。
視線というより死線かもしれない。
「あんなモノと比べるなんて大それたことだったな。
混同してしまった私の未熟を詫びよう。
お前は『死の線』なんて視ていない」
……そうです。
その通り。僕は真っ当なフツーの学生で。
「ただ、『殺し方を視ている』だけだな」
はっ?
――突然、この人は何を言うんだ?
《視ているというより視得る(みえる)だけか》と、
『白眼鏡』は僕を見てくる。僕の内面を覗いてくる。
「――そうか。『殺し方』だけでなく、『殺す過程』がわかるのか。
まるで、熟練した職人が触っただけで重心の狂いに気づくように。
まるで、動物が災害を感知して逃げるように――。
そこにある物体と人間(対象)を視るだけで、最も効率の良い殺し方。
最も残忍な殺し方。最も痛みのある殺し方など、
ありとあらゆる『殺しの方法』がわかる。
一体どんな異常な経験をすれば、このような価値観を持ってしまうのか――」
また、平気でこの『白眼鏡』は、酷いことを言ってくれる。
……勝手に詮索するんじゃねぇよ。
「なわけないでしょう! そんなモン、俺に視えるわけないし。できるワケないでしょう。そんな『非科学』な理論がどこにあるんですか? 勝手な推測、しかも、俺でしないでくれ!」
「すまんな。ついつい、悪い癖が出てしまった。
未知に触れると、解き明かしたくなってしまう。
だが、一つ言っておくが、
この世には、科学で解明されたか、まだ解明されてない非科学しかない。
非科学はいずれ、全て『解明されて(こじつけられて)』科学的と呼ばれるようになるだろう」
嫌な人だ。
嫌というより、『厭』という意味合いが強い。
この人は『心が読める』ってのか?
まるで、『レクター教授(精神科医にして連続猟奇殺人犯)』のように……。
「何か誤解をしているようだが、『心理学を学べば、心を読める』というのは嘘だぞ? あれは、劇中だけの話だ」
……しっかり、心を読んでるジャン。
それとも、占いのように適当なことを言って、『印象操作』や『心理誘導』をしているのかもしれないけど……。
だけど、この人なら、何をやってきてもおかしくないんで、これ以上はツッコむのを止めとこう。
ぶっちゃげ、この人の『猟場』で勝てる気がしないし。
「……まぁ、それはそれとして。呼び出された用件はこれで終わりですか? もし、そうなら、先生の研究の邪魔をしないうちに退散したいんですが」
うん、さっさと帰りたい。
これ以上はちょっと、厭な気分が、限界になるかもしれない。
「あぁ、『欠課の呼び出し』については、さっきので終わりだ。帰っていい。
――だが、研究の邪魔にはなってないぞ。
むしろ、進んでいる。君と『あの都市伝説好き(ショートヘア)』の存在には感謝している。
君たちがいれば、私の研究テーマである、【殺人に至るプロセスの解明】を加速させることができる」
何故か、俺の名前が出た。
それに『ショートへア』の名前も出た。
「僕と『ショートヘア』が? それは一体どういう意味ですか?」
「文面通りに役に立つということだ。お前たちには、才能の片鱗を感じる。
そう、あえて命名するならば、
【矛盾感知】と、【殺人視考(やさ男)】というヤツか」
……また、すごい『通り名(二つ名)』がついた。
僕たちは、どっかの賞金首ですか?
――俺って、なんか人殺ししか考えてなさそうだし。
もう、『二つ名メーカー』で遊んでてください、独りで。
「イヤですよ。そんな大それた力あるわけない。
もし、万が一に、仮に、『神様の気まぐれ』や『カオス理論』の狭間から生まれた何かであったとしても、
俺はそんな『頭のおかしそうな(危なっかしそうな)』研究の手伝いなんて」
「なるほど。これだから、『甲斐性なし』と呼ばれているのか」
また、さらっと酷いことを言われた。
『ショートヘア』がまたあることないことを言ったに違いない。
今度あったら、ツッコミ倒す!
「やはり、私のほうから背中を押してきっかけを作らなければダメか」
それは、目の前に相手がいるときは言っちゃダメだと思いますが?
えぇ、全否定で、俺はこの申し出を蹴って、帰宅をだな――。
「――お前の【殺人視考(異常性癖)】を治療しよう」
なんだって、何をまた突然。
「その眼。いや、その【殺人視考(異常性癖)】を起こす『心的外傷』を治療しよう」
「だから、俺はそんな体質なんかじゃないって……」
「だったら、なんだ? その動揺は何だ? 一人称が俺に変わってるぞ?
さらに、【殺人視考】の話題に関してだけ、食いつきがいい。
実に『反射速度』が他の会話に比べて、零コンマ五秒ほど速い。
それは私の意見を嫌って、否定しようとする表れだ。違うか?」
《……》、《……》、《……》と、俺は否定の意味を込めて沈黙する。
だけど、この人が言っていることは……。
「視えているのは苦痛だろ?
私にはその系統の能力はないが、相当の苦痛だと聞く。
『視たくないのに』、『聞きたくないのに』、『感じたくないのに』、
そうなってしまう。
本人の意思に反して、強制させられるのは苦痛以外の何ものでもない」
《あくまで聞いた話だが》と、『白眼鏡』は、『さぁ、決断のとき』とばかりに聞いてくる。
そんなの決まってるじゃないか。
――最初から決まってる。
俺がどうするかなんて、この話が始まる以前から既に決まってる。
だから、この進路(学科)を希望しているわけで――。
「わかりました。この提案飲みましょう。協力しましょう。
ただし、これは自分がそんなおかしな体質であることを認めたからじゃない
。貴女を手伝いたいからでもない。
――僕は、ただ、『この世の殺人事件をなくす』ために協力します。
その結果として、たまたま貴女の論文を実証する手伝いをするだけです」
「ほぅ。これが噂に聞く『ツンデレ』というヤツか、実に素直でない」
べ、別にそんなんじゃないんだからね!
素直に手伝うのが少し恥ずかしかっただけなんだからね!
おわっ。思わず、俺の内面描写が狂っちまったじゃねぇか……。
いきなり突然、へ、変な表現で相槌してきやがって。
つうか、この『私こそ法律だ』ってカンジの『閻魔大王(山田)』からそんな
『オタク(職人)言葉』が聞けるとは思わなかったぜ、
まったく、脅かしやがる。
「で、何をすればいいんですか?」
《何、簡単なことだ》と、『白眼鏡』が『巻きタバコ』を燻らせる。
「お前たちは、普通の日常を送ればいい。
そして、私にたまに報告してくれればいい。
具体的に言えば、『今日のような会話』をしてくれればいいだけだ」
意味不明な解答。
要領を得ない会話。
だが、それだけで十分だった。それだけで十分過ぎるほどに。十分過多。
――これが最初の遭遇。出会いで、全ての事件の伏線か。
俺たちが【アレ】と呼ばれる事件に巻き込まれていく決定的な場面。
【アレ】と禁止用語で呼ばれる異常の再認。
――そう。もう、既に【アレ】と呼ばれる異常は始まっている。
気付いたときには、
もう、それはどうしようもなく終わった後なのかもしれない。
――圧倒的に手遅れで。
Presented by 一発やる会
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