001▼分冊1▼殺人に至るメカニズム◆解体シタイ◆殺人容認論説
これは7年前の話。
2011年。
スマホがまだ流行ってなかったぐらいの話。
――そう、あの大地震が起きる前の話
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▼重複投稿です
(委託サイト、一発やる会の管理地などで、有償公開)完結済み。
『小説家になろう』で毎週きりが良いところを連載形式で公開予定です。
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異常のようにシリ/めつれつ ~かいたい/シタイ~
/ペンネーム:『・w・(テン・ダブリュー・ドット)』
◆◆◆場所:『不明で未明』
……語り手:【都市伝説好きの少女】
『なぜ、人が人を殺すか』ってだけで『永遠の命題』。
『前提条件(殺害者)』と『解き方(観測者)』が違えば、
『答え(殺害動機)』なんて『一定じゃない(シリ/めつれつ)』なんだから。
◆◆◆場所:『薬品のニオイがする黒い部屋』
……語り手:『◆□▲▲▲(赤黒く潰れて読めない)』
「ん……。えっと、ここはどこ? 『タイル張りの天井』……」
――ふと、目が覚めた。
暗くて暗くて、よく見えない。
だけど、雰囲気と嗅ぎ慣れた特有の薬品のニオイは、いつもの病室(部屋)だと思う。
……そういえば、今、何時だろう?
「――あれ。なんか身体が動かないんだけど、なんでだろう……」
これが『金縛り』っていうものなのか……。
でも、金縛りでも眼は動くんだ。これなんて『無駄知識』ってヤツかも。今度、お兄ちゃんが見舞いにきたら教えてあげよう。
「あれ……?」
――でも、いつもの病室とは、ちょっぴり雰囲気が違う。
病院なんだけど、病室なんだけど、いつもの私の病室(部屋)とは、家具の配置が全然違う。
それに、やたらと『プール』とか『注射』とか『消毒液の臭い』とか『理科室』のような『薬品のニオイ』がキツイ気がする。
「……かた、くちゃ。……にちゃ……ぽと」
――何、今の音。
なんか、『ぐにょぐにょ』したようなモノをつっついているような湿った音。
それに、金属のこすれるような、そう、まるで『メス』や『ハサミ』のような……。
だけど、『プール』の中にいるように、『水圧』で耳が塞がれてるように音が聞き取りにくい。
でも……。
誰かいる?
誰がいる?
――誰だろう?
寝転んでいて動けない私の頭の上のほうから聞こえるソレは見えない。
――でも、何かいる。
――それも二人ぐらい。
ふと、水の中にいるような聞き取りづらさが消えた。
――と思ったら、会話が聞こえてきた。
「あー、めんどくせ。こんなもん切って、ばらして、取り出して、辛気くせぇたりゃありゃしねぇ」
「そうぼやくなって、それが仕事だろ?
『不幸にも』死んだ連中から『フレッシュなモン』を取り出すだけの簡単な作業さ。
――それにたまには『役得』ってもんもあるもんだ」
――何、話してるんだろ、この人たち。
それに死んだって……。
――誰が死んだっての?
思う。思う。
考える。考えて。考えた。
「もしかして、私が――」
いや、そんな……。
――それはあまりに突然じゃない?
そりゃ、私はだいぶ前から具合悪くて入院して、全然良くならなかったけどさ……。
だからって、そんなのイヤだ。
――認めたくない。
「こりゃ何かの夢だ。悪い夢だよね。
『臨死体験』なんてよく聞く話さ。きっとすぐに目がさめて、いつもの毎日が始まるんだよね?
そんないつもの毎日が始まるんだよね!」
――そんな私の独り言。
それを知ってか知らずか、まったく聞こえてないかのように、男たちが話してる。
「――それにしてもコイツら『不幸』だよな。家族に見捨てられて。
――いや、言葉が悪いな。『家族に選ばれて』な」
「だな、『入院給付金目当て』で、薬もられて、『病気にさせられて』。
元気になることなんて絶対にないのに、『家族は懸命なフリ』してさ。
そして、搾れるだけ搾り取ったら『死んだこと』にするんだぜ?」
「そうそう、『最期の保険金』ってか。確実に死ぬんだから、めっちゃ保険かけちゃうぜ? 『絶対に当たる宝くじ』っていいよなー。俺たちの給料何年分だよ」
「あぁ。全くだ。でも、そんなに貰ってるクセに、まだ『ダメ押し』に搾るんだぜ?」
――何話してんのこの人たち。
家族に見捨てられた? 『保険金目当て』で、病気にさせられた? そして、挙句は死んだことにする?
冗談じゃない。冗談だよね?
そんなの何かの『小説』だ。
――こんなこと絶対にありえない。
「だって、あんなに、私の家族は、私のこと可愛がってくれてんだよ? すぐに良くなるって励ましてくれてたんだよ?
今度は、どっか旅行に行こうとか言ってたんだよ?
なのに、なのに、なんで――」
いやだ、死にたくない、死にたくない。
わたしが死んでるだって?
――いやだ、認めない。わたしは死んでない!
いやだ、イヤだ、いやだ、嫌だ、いやだ、厭だ、いやだ、イヤだ、いやなんだ!
こんなに、イヤで嫌と訴えてるのに……
「――なんで、動かないの?」
身体が動かない。
『ぴくり』とも動かない。全く、全然、動かない。
そういえば、さっきから、私は喋ってるはずなのに、『口が全く動いてない』――。
「なんで、動かないの、なんで動けないの、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで!」
いやだ、いやだ、イヤ過ぎる。
――こんなところで死ぬのなんて絶対にイヤだ。
動け、動け、動いてくれ。頼むから、動いてよ!
私はこんなにも願ってるんだ。
――頭はきっちり動いてるんだ、だから生きてんだ。
「こんなのイヤぁぁぁーーーッ!」
――よく知ってる声がした。
それは、何年も聞き続けてきた、私の声だった。
――それを私の耳で聞いた。
その瞬間、さっきまでの金縛りがウソのように消えた。
私は身体を起こす。
自分の手の平を握ったり、開いたりするのを見ながら実感した。
「……良かった、私生きてる。まだ死んでなんてない」
ふっと、身体の力が抜けた。
生きてるって、なんてすばらしいことなんだろう?
――当たり前のことだけど、当たり前のように感動した。
だけど、そんな私の後ろから声がした。
「おっ、『ゾンビ』さんのお目覚めだ。ようやく薬が切れたらしい」
「よし、せっかくの若いコだ。たまの『役得』始めようぜ」
そうキモく笑った『血だらけの白衣』が二人いた。
一方は、ひょろっと長く細長で目も『細いカマキリ』みたいな男で。
もう一方は、小柄で私とほとんど変わらない体格のちびな男。
「い、いや! ……やめて!」
そいつらが……。
そいつらが、私を。
私に。私の身体を――。
いや、いやだ。いやなのに。
――未成熟な私の胸を、病室にずっといたせいで、日焼けの一つもない肌を
――
そして、私の大事な部分を――。
――ヤ
リ
ハ ジ
メ タ。
◆◆◆場所:『帰宅部で賑わう蝠山駅の某マック』……語り手:『ショートヘア』
「そして、そのコは、犯られて、殺られて、解体られて、売られたんだょね」
《どうかな……?》と、
学校帰りか『制服姿』の『女子高生』のコが聞いてくる。
「うわー、それなんて『血みどろ猟奇殺人』。まさか、その挽き肉が使われてたりしたらイヤだよ」
《食肉偽装問題、ここに極まりってヤツ?》と、『ショートヘア』のコが、盛大にツッコミをする。
といっても、『ショートヘア』のほうは、店の『ショーウインドウ』に映った私なんだけど。
――とまぁ、ここは、所変わって、『ファーストフード店』。
『年考えろよ!』、ってカンジの服装の『赤い頭のおしろいピエロ』が、『パンで挟んだハンバーグ』を売ってそうなとこ。
学校がさっさと終わったんで気晴らしに、
ちょっとした暇つぶしで、こっちの『蝠山(街)』に来たんだけど、
なんかヒマそんなコがいたので話しかけてみた。
そしたら、ヘンに意気投合しちゃって、自慢の『都市伝説』大会を開催中。
うん、このコなかなかやるね、筋がいい。
――さて、ウワサの後は、ウワサについて『意見交換』を。
「でも、よくある話じゃない? 医者と家族の『黒い関係』ってさ。
『入院給付』搾れるだけ搾った挙句、『死亡保険金』まで取っちゃう。
クスリで『死んだこと』にした『ゾンビさん』から、『新鮮』な『純潔と内臓』とかまで奪っちゃう。
ホント、お金が絡むと、ヒトって怖いよねーって都市伝説」
「まぁ、そうだけどね。でも、この話は自信あったんだょね、わたし。
でも、ありきたりか……」
《ぅーん、ちょっとショックかも》と、
線が細くて華奢な『セミロング』が、残念そうにため息一つ。
「あはは、気にしない。気にしない。私なんて、しょっちゅう友だちに論破されてるよ。ホント、ツッコミ激しすぎでさ」
「へぇー、そうなんだ。今度会ってみたぃな。その人」
「……いや、やめといたほうがイイ。
きっと、生きてるのがバカらしくなるぐらいツッコまれるから。
それよりもさ。――今の話もっとコワくしてみない?」
「えっ、勝手にそんなことしてぃぃのかな。
人の話に尾ひれつけるなんて……」
「別にイイんじゃない?
噂なんて人が話してるうちにどんどん変わってく『伝言ゲーム』みたいなもんだし」
《そういうもんかなー》と、『ポテト』をかじる『セミロング』。
《そういうもんだよ》
と、『シェイク』を飲む私なんだけど、ここの『バニラシェイク』って、
何か『チョコレート風味』なのはキノセイ?
とかやってたら、店内の『有線(?)』から、『ニュース』が流れてきた。
私たちは、なんとなくその『ニュース』に耳を傾けてみた。
【――男は、『医療用モルヒネ』を常用していたらしく、同僚の医師や看護師を殺害後、逃走し――】
と、『女性キャスター』が原稿ガン見な雰囲気で放送中。
あぁ、『男女雇用機会均等にしろ』って、
『性差問題』やってるけど、やっぱり、《キャスターは女性多いよね》と、私がツッコむ。
そんなツッコミとは、関係なしに、放送は一方的なもんで。
「うわー、これぞまさにってぐらいの『猟奇』。
狂って、同僚殺して、死体を刻んで、安置所の死体も刻んで。
それでも飽きずに、足りずに病院の医者と理事長の自宅にまで解体しに行っちゃうって。――並みの都市伝説よりもコワいなこりゃ」
《あぁ、食欲なくすょ》と、『てりやきハンバーガー』にかじりつく私。
《よく食べれるなー》と、苦笑いで、それを見ている『セミロング』。
そんな、彼女がふと、何かに気づいたように。
「あっ、そうだ。こんなのどうかな?
わたし、『都市伝説』の続きっての思いつぃたんだけどさ」
「えぇー、マジ! いったい、どんな?」
「えっとね、実はね、『さっきのコは生きてる』の」
ん、どういうことだ?
ちょっと、お姉さんよくわからなかったので、詳細希望。
「――そう。ヤられそうになったそのコは、ヤられながらに、ヤっちゃてるの。
そして、『男の顔』を剥いで、被って、自分を『死んだこと』にしたヤツらをヤりに行く。
看護師、医者、理事長、そして、『自分の家族』もヤっちゃう。
もちろん、『フレッシュな死体』は
全部、刻んで、解体して、ぐちゃぐちゃにしてね。
ついでに、服もバラバラに解体しちゃってさ。
――そして、すっかり『おかしくなった』そのコは、
『殺した人の顔』を被って、今も『解体ショー』を続けてる」
と、自信ありげに『セミロング』が話してみせる。
「おぉ! よく考えるね、そんな展開。
――でも、殺してからわざわざ『ぐちゃぐちゃにする』のってめんどうじゃないかな?」
と、思ったので私は聞いてみる。
《うーん、だったら、そうだね……》と、『セミロング』が続きを考える。
「――でも、そのほうがぃぃんじゃなぃかな?
そりゃめんどぃょ。時間も体力もかかるょ。
だけど、あえて理由をつけるなら、こんなのはどうかな。
最初にヤッたときに、
『自分の死体か他人の死体か解らせないようにした』、なんてどぅ?
――それに『全部おんなじような猟奇殺人』にすりゃ、『麻薬中毒(モル中)の男』のせいにもできるし。
『麻薬中毒(モル中)の男』は、すでに自分が殺してるから、
犯人として見つからない。
『殺した女のコ』自体は、『法的には死んだことこと』になってるから、
『警察』にも探されなぃし。
――それに、一度ヤるのにハマったら、
普通のヤり方のほうがオカシク感じちゃうってのもあるのかも」
《うーん、よくわかんないけど……》と、
『セミロング』は『オレンジジュース』に口をつける。
《うん、うん。なるほど》と、
私は、今の話を反芻反芻。
「――『死人が殺しにやってくる』か。
うわっ、それなんて『ゾンビな殺人鬼』。タチ悪いなこりゃ。
現代の『拝金主義』が生んだ『因果な怪物』!
これぞ、まさに『都市伝説』ってヤツだね。『原子爆弾』に反対した『怪獣』の再来だだだ! 今度、友だちに話してみるよ」
《おっし、これはいけるぜ!》と、私は腕をガッツポーズ。
だけど、すぐに私は思い出して、肩をがっくり落としてみる。
「……はは、でも、たぶん完膚なきまでに、ツッコまれるよ。――アイツこそ
『人の心を殺す殺心鬼』に違いない」
「あはは。何その表現。面白いなぁ。――まぁ、それでもわたしは応援するょ」
《あはは。ツッコまれないょぅにね》と、
『セミロング』が、『とびっきりの笑顔』で応援してくれた。
「……うん、応援ありがと。私がんばっちゃうよ!
あの『甲斐性なし』を『ギャフン』と言わせてやるぜ!
……あれ? その眩しい笑顔、どっかで見たような。
――たしか、どっかのテレビで見たような……」
《うーん、そういえば、最近、テレビによく出てたかも……》と
『セミロング』が恥ずかしそうに。
なんか、その仕草めっちゃ可愛いんですけど!
――そうか。そうだったのか。
なるほど、
さっきから、このコは他の『女子高生』たちと違う雰囲気を出してたんだな!
「えっ、やっぱりそんなカンジなの!
実は、あなた、『アイドル』だったとか! それか有名人!
うわっ、すごいな。感動した。
――そりゃ、今のようなスマイルされれば、ときめくのもムリないか。
これが『0円の営業スマイル』と『100万ドルの笑顔』の違いだね!」
うん、自分で言ってて、ますますそんな気がしてきた。
この興奮は何! ――思わず『感嘆符連打』しちまったじゃないか。
『陳腐な感情表現』ってツッコまれそうだけど。それが何だ!
そんな『禁則事項です☆』
なんて間違っちゃうぐらいの、私の感動が今ここにあってだね。
「お願いサインして!」
《自分でも驚くぐらいに『ハイテンション』な私に、驚いてみる》と、
さらに、『二重表現をした自分』に『三重表現』で、私が驚いてみる。
《いやいや、そんな大そうもんじゃなぃょ!》と、
顔を真っ赤にさせる『セミロング』。
とまぁ、そんな『馬鹿騒ぎ(バッカーノ)』をやってたら、
今度は備え付けのテレビから、『別のニュース』が流れてきた。
何、最近のこういった店って、『ニュース』流すのが主流になってんの?
『ゆとり教育』の解消ってヤツ?
【――『冥王台であった一家バラバラ殺人事件』の被害家族には、
『例のバラバラ殺人があった白坂病院』で、
『既に病で亡くなっていた長女』の
『◆□▲▲▲(雑音が混じって聞こえなかった)』さん、
『十三歳』がいたことから、事件の関連性について捜査を――】
《これがその被害者の長女の……》と、
原稿をチラ見してた、『またもや女性』キャスターが、『板』を見せた。
その『板』には、
『少し髪の長い少女』の『とびっきりの笑顔』の写真がそこに……。
「あれ? この顔どっかで見たことあるような……」
と、私が『ぽろっ』と、つぶやく。
《ん? 知ってる人》って
カンジに、『セミロング』が、『かよわい小動物』のように首をかしげる。
「いや、そんなワケないよね……」
きっと、キノセイだ。
――ただの勘違い。
よくある『他人の空似(類似品)』だね。
いくら、『目の前のコ』と、『テレビの写真』が似てるって言ってもキノセイだ。
――だって、ニュースのコは、『中学生(十三歳)』。
でも、どう見ても、『セミロング』は『女子高生(十五、六歳)』。
きっと、さっき話した『都市伝説』がそれっぽくて、
たまたまそう感じた『印象操作』とか『先入観』ってヤツに違いない。
《……お姉ちゃん、どうかしたの?》と、
『セミロング』が心配そうに聞いてきた。
「いやいや。何でもないよ。
次は、私の『都市伝説』だから、何、話そうかって思っててね」
ごまかしとく。
ごまかしといた。
――だって、『死んだ人』とか『殺した人』とかと一緒にするのは失礼だし。
とまぁ、そんなよくわからないことより、面白おかしいことのほうが重要だ。
「それじゃ、次の話を始めよう。
『都市伝説(シリ/めつ)』の『起承転結』の『起』ってのを始めちゃうよ?」
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Presented by 一発やる会
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