プロローグ
あらすじが少しネタバレ気味ですが、とりあえず読んで見てください!
短いですが頑張って書きました。
「ホントに食べるよな、その体で」
永原晃が、判が押された言葉を発した。隣の大本進司は何も言わずにいたが、やはり永原と同様のことを思っているのは見てうかがえた。
そうかな、と適当な返事をしておく。僕が昼食を食べ始めたのは彼らと同じタイミング、つい三分ほど前だ。既に食べ終わった自分で作った爆弾お握り三個、米六合分にもなる。画一的な味ではあるが、海苔をはっつけておけば、まあいくらでも食べられる。
僕は、昔から大巨漢だ。「よく食べるね」なんて何度言われたことか、もう聞きあきたって感じだ。先に「いくらでも食べられる」と書いたがこれは誇張ではなく、本当にいくらでもだ。まあそれについては異常だが、他はいたって平凡な男子高校生である。そして、平凡な男子後輩は、大食いと言われることを嫌うものだ。
はぁ、とため息をつきながら弁当箱、つまりは只のラップ、を弁当袋、つまりは只のナイロン袋、に入れようとすると、晃が箸でドアの方向を指しながら、
「なあ、あいつ誰か知ってる?メチャ可愛いけど」
と言う。
そこで、振り向いて見ると、なるほど確かに相当に可愛い女の子がドアの入口に、邪魔にならない程度の幅をとって立っているのだった。でも、こう言うと悪いが、少し軽そう。
「知らないなー、絶対に見たことない。あんな娘、嫌でも忘れられないだろうし」と、大本。
しかし、彼女が着ているのは確かにうちの制服だ。ところで、僕の自意識過剰というわけではなければ、おそらく彼女は僕のことを見ている。
「なあ、あれお前のこと見てないかなあ?でも知らないんだろ」
どうやら自意識過剰ではなかったらしい。
「いやいやいや、俺達が知らないからって、あの娘が俺達のことを知らないとは限らないんじゃないか、まだ入学式から三週間程度だぜ?」
大本は──僕が三週間一緒にいた限りでは──高校の中に、異常に出逢いを求めているようなやつだ。ラノベでも読んでろ。
へぇ、と相槌を打ちながら、僕は彼女を見返していた。すると、間にさわったのだろうか、彼女は何処かへと去っていってしまった。
「なんだ、あいつ」
「さあー?流石に俺でも、あんな可愛い女の子のお眼鏡にかなうほどの美少年、とまではいかないと思うんだけどなあ」
そんな大本の精一杯のボケに対して、ツッコむことさえも忘れて、僕は彼女が立っていたドアの入口をただ見ているだけだった。もうそこには誰もいなかったが、彼女には普通ではない魅力があった。それはもう、本人がいなくなっても消え去ることがないほどの。
「なあ、聞いてる?」
「え?ああ、ごめん」
「なんだよー、お前どーせ、あの娘のこと彼女にしたいなー、とか思ってたんじゃねーの?」
「はぁ?」思ってないが
「まあ確かにー、あの娘とならすげーヤりたいよなー」
ヤりたい、ね。級友としては、もう少し慎んでほしいものだ。
そして、だんだんと話は男子高校生の下らないものに戻っていった。好きなバンドのアルバムが発売されるとか。
下校をするときには、既に一人の女の子のことなんてほとんど忘れていた、というのにまさかあんなことになるとは思ってもいなかった。
因みに部活は入っていなかった。
どうでしたか?まだ、面白いかどうか判別しにくいと思います。
時間があまりないので、ペースは遅くなるかも知れませんが、ちょくちょく更新していくつもりです。ブックマークして頂けると幸いです。