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夏と蝉と花火を君に。  作者: たまこ
1/1

1.始まり

皆様、はじめまして。たまこです。






―――――ハッピーでもバッドでもないフィクション――――






宜しくお願いします。



                  1. 始まり



 俺、『端築はつき みなと』の心臓には異常があるらしい。

心臓の機能が低下しているらしい。取り換えることさえできれば命に別状は無い、とのこと。

特に興味は無いけど親は慌てて僕のことを入院させた。・・・と言っても入院しないと命が危ういとのことで余程の理由が無い限り拒否はできない。『学校休めてラッキー』という限りなく軽い気持ちで入院した。部屋は2人部屋だが相手は居ないのでほぼ1人部屋だ。1人で居ることを好む自分には極めて快適で過ごしやすかった。昔から自分の内面をさらけ出せるような性格ではないので1人で過ごす時間はかなり貴重だった。

某月某日ぼうげつぼうじつ、朝8時

いつもの看護婦が部屋に来る時間だ。

端築はつきさーん。今日も暑いですねー。」

看護婦がおっとりとした口調で言う。

「そうですね。冷房が効いてて分かりにくいですけど外は暑そうですね。」

自分が外にいる時に使う笑顔かおに切り替え、答える。

「あ、今後の予定なんですけど、点滴をするので部屋から出るときははずれないようにしてくださいねー。」

「はい、了解しました。」

ニコッと笑い部屋を出ようとする看護婦。あ、そうそう!と何か思い出したように此方こちらを向く。

「後ですねー、今日この部屋に新しく入院する人がいらっしゃるので仲良くしてくださいねー。」

それは初耳だ。それだと今日も暇をしないで過ごせるかもしれないな。

「そうなんですか。」

「はい。多分昼頃にいらっしゃると思いますよー。」

詳しいことは聞かなかったが、今日も退屈せずに過ごせそうだ、と確信した。人がこの部屋に来る事は薄々気付いてはいたが特に気にしていなかった。

「新しい人、か。どんな人なんやろ・・・。」

おもむろに窓の外をながめた。夏の湿っぽい熱気とせみの耳をつんざくような鳴き声が、ガラス1枚(へだ)てた病室にまで届いているような気がした。

「もう、夏やんな。」


ハッとして目が覚めた。時計を見ると午後の1時で長針は45分を指し示していた。最後に時計を確認したのは確か午前10時頃だったから、かれこれ3、4時間は寝ていたことになる。大きく1回欠伸(あくび)をして辺りを見回す。

(そういえば、新しく入院する人が、居る、って・・・。)

視界には1人の少女とおぼしき人物。一瞬目が合って軽く会釈した。

(女の子・・・か。)

特にこれといった決定打があった訳ではなかったが何と無く同年代の男が来るのかと思っていた。

「あ、あの・・・。」

女の子が話し掛けてきた。身長はベッドに座っているから正確には分からないが自分(165cm)よりはかなり低そうだ。痩せていて、黒目がちの大きな目をしていた。肩より少し上に切り揃えた短めの黒髪がよく似合っていた。

「あ、はい。こんにちは。」

軽く挨拶をしてみたが不要だったと感じ、少し恥ずかしかった。

「あ・・・どうも。私、康海しずみ 華夜はなよと申します。」

深々と下げられた頭に驚いたが何とか冷静を保ち返事をする。

「俺は、端築はつき みなとです。何ヶ月かの間だと思うけどよろしく。」

笑顔で答える。すると康海しずみさんが口を開いて告げる。

「私のことは『華夜』って呼んで下さい!端築さんのこと『湊』って呼んでもいいですか?」

(いきなりやな・・・。積極的なのは悪くはないんやけど。)

「ああ、うん。構わないよ。」

「ホントですかっ?!ありがとうございます!」

華夜は顔をパァッと明るくし、部屋に笑顔を振り撒いていた。

「かいらしいなあ。」

聞こえないような小さい声で呟いた。本心だったが。

「湊さん、関西圏出身ですか?」

「・・・え・・・?あ・・・ああ・・・。」

青ざめていく顔と背中に嫌な汗が流れた。

自分が関西出身なのは事実で、それは隠していた事。打ち明けるつもりもなかったし、自分の数あるコンプレックスの中の代表的なものだ。むしろほぼ初対面の華夜に分かるなんて考えていなかった。何故なぜ分かったのか検討もつかな・・・

「!・・・まさか・・・。聞こえてた?」

「関東じゃ『かいらしい』なんて滅多に聞きませんからね。」

やはりだ。『かいらしいなあ』と言った自分の声は届いていたのだ。

「え、駄目な事です?関西弁かっこいいじゃないですか。」

「しくじっった・・・。バレたんならしゃーないな。」

知られてしまった以上、隠す必要も無理して喋る必要もない。

「いいじゃないですか!私結構好きですよ。」

「そうか、まあ無理して喋らんと、楽でええわ」

目の前の少女はニコニコしながら、さぞ嬉しそうにしている。

「そういえば、ちまたではもう夏休みですねえ。」

「そっかあ。遊びてえー!」

「あ、湊さん友達居るんですか?」

「しっつれいな奴やなあ、居るわそんぐらい。」

「うわ!何か負けた気がする!」

「な、なんで負けたん?」

「いやー、私友達居ないんですよねー」

「わははは!いやいや、俺が友達やろ?」

「え!マジすか!嬉しいですううう。」

「俺もそんな多くないかんね。」

「私も多くないですよ。1人だけですから。」

一頻ひとしきり喋った後で、2人で顔を見合わせ笑い合った。隣の部屋も、人の目も気にせず。


気がつくと夜になっていた。

「はあーーーあ、喋りすぎて喉渇いちゃいましたあ。」

「外に自動販売機、あった筈やけど。何かうてきたら」

「ですね。買ってきます。何がいいですか?湊さん点滴それついてますし。」

「気遣いありがとう。じゃあポカリ。」

「はいっ」

華夜はパタパタ足音をたてて部屋から出て行った。華夜かのじょが出て行った部屋――自分の吐く息すら響くような部屋はまるで、無人になったみたいに静まり返っていて、静寂に吸い込まれそうだった。

「楽しく、なりそうやな。」

次話も一応書こうと思っています。宜しくお願いします。

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