ギルドと旋律と
ディアナが入学して、早くも一ヶ月が過ぎた。ディアナは未熟ながらも一応自らの攻撃に潜在能力を乗せることが出来るようになり、小型のドラゴンなら確実に倒せるほどになっていた。そんな中、彼女を悩ませる点が一つあった。それは、ギルドに関してだ。聖特殊防衛学校では部活というものが存在しないかわりにギルドが存在する。ギルドに入ると様々なミッションを与えられ、それらをこなすことで実力も身に付く上に進学に有利になるという点があるため生徒のほとんどがギルドに所属している。ギルドの中には最低限の規定をクリアしていれば入れるものも存在するので、最悪はそんなギルドでもよい。実際進学しか考えていない生徒はボーダーフリーのギルドで済ませる人ばかりだ。だが、ディアナはどうするべきか悩んでいた。
「私は…シャインを…世界を守るためにここに来たのに…普通のギルドに入っちゃえばその事も忘れて戦闘凶になっちゃうかもしれないから…」
などと呟きながら寮の周辺をブラブラと歩いていた。すると、ディアナに近づく一人の少女がいた。その少女の格好はセーラー服で服にはト音記号と五本線が描かれていた。だが、その少女はおどおどしており、いかにも仕事で無理やりやらされているようにも見える。
「えっと…すみません…もしよかったらうちのギルドに見学しに来ませんか?」
そう言うと、一枚のチラシをディアナに渡した。
「あの、あなたは?」
とディアナは問いかけると、
「私はノーテって言います。私も一年なんですけど、早めにギルドを決めた方がいいと思いますよ。人間関係どうのこうのとか…」
「まぁ、とりあえず見学だけしに行くね。あ、私はディアナ、よろしくね」
「うん!次はギルドで会おうねディアナちゃん!」
そしてノーテは笑顔で手をふって去っていった。ディアナもアロン以外に友達になれそうな人ができて満更でもないので見学に行くことにした。チラシによると、見学日は一週間後らしい。ディアナは自分の部屋に戻ると、
「入るつもりはないけど…ノーテのためにも一応見学には行こうかな…」
と呟きつつカレンダーに印をつけるのであった。
翌週の放課後
約束の日だ。ディアナは約束の場所へと向かった。その場所には既にギルドメンバーや見学者と思われる人々が沢山いた。ディアナは見学席に座りギルドの活動記録を見た。そこには様々なギルドメンバー同士の訓練や実際に現場で活躍する映像が流れていた。映像の後、模擬戦や体験などのコーナーを行っていたが、どこを見渡してもノーテの姿は見えなかった。