決意
その夜、二人はシェルターの中で一夜を過ごすことになった。電気も限られているため夜は暗くなると真っ暗だ。シャインはスヤスヤと眠っているが、ディアナは寝ることが出来なかった。それは、昼間にツヴァイに貰った聖特殊防衛学校のプリントが原因だ。ディアナにとって、学費の無償化は家計に助かるものなので悪くはないが、聖特殊防衛学校はプラクティス地区にある学校だ。そのプラクティス地区はディアナ達の住むアグリ地区からは膨大な森を越えないとたどり着くことが出来ない。よって、ディアナは寮生活を余儀なくされてしまい、シャインと離ればなれになってしまうのだ。今まで常に一緒にいたシャインと離ればなれになることはディアナにとって考えられないことであり、その事が入学を躊躇わせる大きな理由となっていたのだ。
翌朝。ツヴァイ達のお陰でドラゴンの鎮圧が完了しており、シェルターに避難していた人は帰宅することが出来るようになっていた。ディアナ達も帰宅したが、思っていた通り家のほとんどが崩壊しており、住める状況ではなかった。ディアナとシャインが出来る限りの片付けをしていると、シャインが昨日のプリントについて聞いてきた。
「お姉ちゃん、昨日のツヴァイさんに貰ってたプリントって何だったの?」
「あ、聖特殊防衛学校に来ないかってプリント。昨日の潜在能力がどうたらこうたらって」
そう言うとディアナはプリントをシャインに渡した。シャインはプリントをまじまじと見ると、
「お姉ちゃんスゴいじゃん!それで、ここに入学するの?」
「考え中…だって学校の場所うちから遠いから入学するとなると私たち離ればなれになっちゃうんだよ?」
するとシャインはクルリと後ろを向くと、
「私のことは気にしなくてもいいよ。お姉ちゃんがやりたいことをやればいいと思うよ。今までは私がワガママしてたから今度はお姉ちゃんの番だよ」
「シャイン…」
そしてシャインは振り向くと、照れたような表情で
「私を守ってくれたときのお姉ちゃん、本当にかっこよくって、とっても頼もしかった。その力を世界のために活かせるんだったらお姉ちゃんは本当に心の底から尊敬できる自慢のお姉ちゃんだよ!」
だが、その目にはうっすら涙のあとが残っており、ディアナもそれを見逃さなかった。
「シャイン…あんた無理して言ってるのバレバレだよ!送り出すんならもうちょっと無理しなさいよ…行きづらくなるから…」
「えへへ…やっぱり嘘はつけないや…って、あれ?と言うことはお姉ちゃん」
「うん、私この力を確実なものにしてシャインをはじめとした世界を守れる力を手に入れて見せる!だから、少しの間だけお別れになるけど…」
「うん…覚悟は決めてる。家のことは私に任せてお姉ちゃんは学業に専念してね」
「ありがとう、シャイン」
その後、二人は両親にあったことを全て話した。もちろん、ディアナの力のことも。そしてディアナは本当にやりたいことを親に話し、プリントも見せて全てを説明した。真剣な子供のやりたい夢を止めるような親親はいない。よって、ディアナの聖特殊防衛学校への入学は認められたのであった
そこから半年弱が経ち、ディアナの旅立ちの日。そこには荷物を持ったショートカットの少女がいた。そう、ディアナだ。激しい戦闘になると見越して腰ほどの長さのあった髪の毛も肩にかからない程度まで切ったのだ。すると、シャインがディアナに向かって飛び付き、抱きついてきた。
「ちょっ!いきなりどうしたの!」
「えへへ~お姉ちゃん成分吸収してるんだ~しばらく会えなくなるから…ね!」
そうして、二人はしばらく抱き合い、出発の飛行機の時刻が近づくとディアナは荷物の再確認を終え、
「それじゃあ、行ってくる!」
そうして、ディアナの聖特殊防衛学校での生活が始まるのであった。