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大薮新平 異世界にふしぎな踊り子として召喚され  作者: BAWさん
3章 邪神王国ドーマ 使徒大戦編
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04.大薮新平 一軍が迫り来る

 大薮新平は踊ると魔法が掛かるという、ふしぎなスキルを得て異世界に召喚された。原因を知るべくウラリュス大神殿に向かう一行。そこへ驚くべき情報が入ってきた。皇都に自分と違う使徒が現れているというのだ。

 俺の他に使徒が存在した。その話に皆が騒然となった。同じ時代に使徒が二人も現れるなんて前代未聞のことらしい。

 イリスカ等トリスタ森林王国の連中は事の真偽を確かめようと方々に連絡を飛ばしている。俺とリーダも顔を突き合わせていた。

 使徒。神アウヴィスタにより異世界より召喚された者達のことだ。歴代の使徒達は様々な新しい知識をこの世界に広めたという。

 俺が真っ先に考えたのは、自分以外にあの馬鹿神に召ばれた人がいたという可能性だ。そうなると必然日本人の可能性が高い。俺以外に召喚されて苦労している日本人がこの世界にいたのだ。

 それは――なんと可哀想なことだろうか。俺は何度も死にそうになった。たぶんその人も凄く苦労をしているに違いない。

 必然と親近感が湧いてくる。会ってみたい。愚痴を言い合いたい。助け合いたい。……って、いや、ちょっと待てよ。


「現在我々は皇都にあるウラリュス大神殿に向かっています。このまま行けば出会うことになるでしょうが……」

「そう、だな……」


 リーダの言葉を聞き流しながら、俺はこの世界に来た時のかすかな記憶を思い出していた。俺を召喚したと思える神との会話だ。


 ――む…違えたようだ――


 そうだ。思い出した。俺を召喚した奴は確かにそう言った。俺は最初間違えて召喚されたのだ。ならばそいつが、今皇都にいるという奴こそが、本物の使徒じゃないのか。俺を召んで間違えに気付き、改めて召んだのがそいつじゃないのだろうか。


「やったじゃねえか……!」


 やっぱり俺は間違えられただけだったのだ。それはつまり、このまま大神殿に行って神アウヴィスタに間違えを訴えれば日本に帰してもらえる可能性が高いということじゃないだろうか。

 俺は自分の予想に歓喜して拳を握り締める。

 さっきは巻き込まれた被害者同士助け合いたいとか思ったが、そんな考えは無くなった。そいつの所為で俺は間違えられた可能性があるならば、俺にとっては恨んでしかるべき相手かもしれないのだ。

 そんなことよりも本物の使徒が現れたことによって、自分が帰れる可能性が高まった方が嬉しい。おおおっ、よしっ。間違い認めさせたら絶対ぶん殴ってやるからな。糞神め。


「……本当にそうなのでしょうか」

「え、ええ?」


 リーダが俺の興奮に水を差す。


「仮に神アウヴィスタが兄様を間違えて召喚したとします。それなのに使徒の能力ちからを授けて野に留めるというのはおかしいと思うのですが」

「だから、えーと。日本に戻そうとして、何か事故が起きたんじゃないのか。」


 普通使徒はヴィスタ教会に降臨するそうだ。使徒としか思えない能力を持つ俺が山中に放り出されたのは、なにか予想外の事故が起きたと考えるのが早い。


「事故ですか……そのようなことはちょっと……」


 リーダには『神が間違う』ということが想像できないらしい。俺からすれば、ゲームとか漫画で、神が間違えるのは『異世界転生物語』のお約束ごとなので違和感がない。しかし彼女にとっては違うようだ。まぁ神様って普通間違えないよな。漫画の影響で俺が毒されてるのかもしれない。


「でもあいつは確かに『間違った』って言いやがったぞ」

「そうなのですか……ううん……」


 俺は頭も記憶も弱いがそこは覚えている。初めてこの世界へ来た時だ。野原に放り出されて即記憶を辿って思い出した言葉だったから間違いない。

 リーダに力説すると彼女は更に首をかしげた。頭の良いこの娘でもちょっと想像がつかない事態らしい。まあいいや。今は素直に喜んでおくとしよう。奴が本物。俺は偽者。だったら神に会って説明すれば、日本に帰してもらえる筈。

 リーダが眉を寄せて考えこむ横で、俺は拳を握ってうふふと喜ぶ。


「いいね。いいな。よし、よし。光が見えてきたぞ」


 皇都には既に使徒がいる。このまま皇都に入れば、自分達は使徒を詐称している集団と疑われるんじゃないかという意見がヴィルダズから出た。しかし、俺はトリスタ王国とトリスタのヴィスタ神殿のお墨付きで、王女も同行している身だ。俺が神気としか云えない魔力を纏っているのは大神殿の司祭達なら見て判るだろうし、とどめとして神獣ラリア迄ついてきている。多少揉めても証明はできる筈なので、このまま進んでも問題はないだろう。

 どのみち現状では情報が少な過ぎるので、検討しても半端な判断になる。もう少し情報を得られたら改めて方針を決定しようということになった。



               ◇



 問題はその翌日に起きた。


「軍隊が迫ってきている?」


 斥候として周辺を偵察していた騎士が発見したと、護衛団の部隊長が報告してきたのだ。なんでも千に及ぶ規模の集団が、後方から迫ってきているという。


「千か……」


 皆が警戒を強める。移動中に追いつかれては面倒だ。今日の出立を取りやめて、情報収集の為に留まることになった。現在俺達には百名以上の商隊が同行しているので、アルルカさんが説明に向かう。

 しばらくして偵察から戻ったらしい騎士が、新たな報告を持って来た。


「旗を確認。ジャンダルメーアです!」

「「!!」」


 周囲がざわめく中、俺は一人首をかしげた。どっかで聞いた言葉だ。なんだっけ。リーダが俺の表情を見て説明をしてくれた。


「ジャンダルメーアとはヴィスタ神殿の憲兵団の呼び名です。オラリア王宮から脱出した際、ラディリア様達が扮していたのがそうです」


 ああそうか。連中は国交の無いトリスタ森林王国の騎士なので、ヴィスタ神殿の憲兵(ジャンダルメーアと騙って入国していたのだ。

 ヴィスタ神殿独特の法衣の上に、軽装の鎧を纏った集団の姿を思い出す。いやちょっと待て。あいつら武装してるよな。


「それって軍隊じゃないのか」

「はい、ヴィスタ神殿の憲兵団。独自の軍と考えてもらって構いません」


 ヴィスタ神殿は大陸全土を網羅する宗教団体だ。各国内に神殿と支部を持ち、治外法権と独自の軍を持っている。戦国時代の僧兵みたいなもんなのかな。そいつらが千人規模でこちらに迫ってきていると。ようやく理解が皆に追いついた。そりゃ怖い。


「ヴィスタ教か……」

「千……大規模ですね」

「しかし中途半端な数だな」

「我等が討伐した山賊一党への討伐隊だったとか」

「それにしては多過ぎだろう。四、五〇〇くらいを相手に想定した数じゃねえか、だいいちワウーンの領主から何も聞かされてないってのはおかしいぜ」

「では……」


 ヴィルダズ達が意見を交わしている。しかしその表情に警戒心は浮かんでいるが、切迫した様子がなかったのでちょっと安心した。そうだ。敵とは限らないんだから、怯える必要はないのだ。そもそも俺達はそのヴィスタ教の総本山に向かっている。俺達とは無関係の軍に偶然遭遇したってだけなのだろう。

 リーゲンバッハ団長が正式に確認すべく、騎士二名を使者として確認に向かわせた。


「でもさ、なんか嫌な予感がするんだが」

「兄様もですか。残念ながら私もです」

「実は俺もだ」

「「「…………」」」


 オラリア王国で指名手配され逃げ回っていた俺とリーダ、反乱軍として追われていたヴィルダズの意見が一致した。嬉しくもない話だが俺達は危険を察知する勘は優れている自負がある。皆に伝えると揃って渋面になる。

 とりあえず即時移動できるよう準備はしておくようにと、各所に指示を飛ばし連絡を待つことになった。


「問題はいざ戦いとなったら、勝ち目がねえってことだな」


 ヴィルダズが口を歪めながら説明する。

 俺達の一行は、兵数で五十に満たない。どんだけ俺が踊ろうと、戦いになったら四方から囲まれてタコ殴りで終わる。しかも百名以上の商隊が同行しているから、彼等への護衛に兵も裂かないといけない。商隊は足が遅いので尻をまくって逃げる事もできない。


「【サイレントターン】で全員で隠れるか」

「少し無茶かと……」


 リーダが苦笑いする。【失笑と失影のサイレントターン】は姿を隠す踊りだ。しかし、その効果を及ぼす間、俺は一切動いてはならないという制約がある。兵士千名が通り過ぎる間、ずーっと俺が動かないで我慢するというのは確かに現実的ではなかったか。

 ヴィルダズに話したら


「俺達は動いていいんだろ。なら、消えた後で大将を動けない様に縛って吊るしときゃ良いじゃねえか」


 恐ろしい冗談だ。吊るす必要どこにある。蹴飛ばすぞと文句を言えば、いひひと下品な声で笑い返してきた。ちょっと冗談がわざとらしい。ヴィルダズ団長とはこっちが窮地を助けられた後、今度は俺が助けて雇うことになった経緯がある。立場が逆点したおかげで、俺はこの人との距離感を掴めていなかったのだが、最近になってようやく上手く話せるようになってきた。大将、大将と呼ぶのがその証拠だ。これは多分、俺が慣れたというより、この人の方が俺がやり易い振舞い方を覚えたのだろう。大人だよな。しかし、親睦の話題として、事ある毎に近衛の娘達に対し俺からセクハラさせようとするは止めて欲しい。夜リーダが細かく確認してきては、チクチク小言を言ってくるので、すげー迷惑なのだ。


 確認に出ていた騎士達が戻って来たのは、もう昼になろうかという時刻だった。


「確認致しました。彼等はオラリア王国、ヴィスタ神殿の一団でした」

「「!!」」


 皆の顔に緊張が走った。流石にここでオラリア王国が絡んでくるとは、誰も予想していなかった。俺はリ-ダと引き攣った顔を見合わせる。オラリア王国のヴィスタ神殿ということは、あのファーミィ・オマーンの配下と言うことになる。やばいぞ、敵かもしんない。

 青くなった俺達を余所に、騎士は続けて報告する。


「代表はヴィスタ司祭ユエル・オマーンという司祭です。彼等は我等巡礼団。いえ、使徒様への合流を求めています!」


 新たな情報に皆がざわめき、俺に注目が集まる。俺とリーダは顔をしかめ、同席していたアンジェリカ姫の顔も強張った。うへぇと呻いて顔を覆う俺を見て、リーダが代わって皆へ説明をする。

 ユエル司祭はオラリア王宮で司祭長ファーミィの部下として再会した人物だ。前回のトリスタ王国ヴィスタ神殿巡礼団の代表者でもある。問題はユエル司祭個人ではなくファーミィの方だ。

 俺達はオラリア王国で指名手配をされた。それを命じたのがオラリア王国ヴィスタ神殿司祭長、ファーミィ・オマーンなのだ。彼女は神アウヴィスタから天啓を受けたと言って、俺を見つけようと考えた。そしてよりにもよって国内に指名手配を発しやがったのだ。おかげで俺とリーダは町々で賞金目当ての者達に追い掛け回されることになった。出会った際に教えられ、俺がどれほど怒ったことか。しかし、彼女はまったく悪びれもせず自分に従うように要求してきたのだ。俺は話にならんとオラリア王宮に要求し、彼女を地下牢に閉じ込めてもらった。その後オラリアを脱出した俺達は彼女の動向を把握していない。


「凄いことすんな大将」

「驚くことをしましたな」


 現地の司祭長を牢屋にぶち込ませたと聞いて、ヴィルダズとリーゲンバッハ団長が呆れた声を上げる。いやいや、あれは仕方なかった。あの女を放置していたら絶対ろくな事をしなかった筈だ。

 言い訳しつつも責める視線からそっぽを向いていたら、再びリーダが擁護してくれた。彼女とアンジェリカ姫は俺と引き離されそうになった挙句、兵を向けられて一夜を逃げ回ったことがあるのだ。

 その話を聞くや二人だけでなく周囲の表情も改まった。目的の為に隣国の王族でさえ躊躇なく排除しようとしたことから、どれ程ヤバイ相手なのか理解してくれたのだろう。

 そのヤバイ奴の配下千人がやって来たのだ。これは警戒せずにはいられない。


「何にしても、こうも近寄られちゃあ、一度会って話しを聞くしかないがな」


 ヴィルダズが忌々しそうにひとりごちる。

 色々憶測は飛び交うが、結局は一度確認しないと話が進まない。向こうは千人、こっちは五十人。戦力的に戦いにならない以上、まずは話し合うしか道はないのだ。踊りをつかって逃げるという方法もあるが、連中の目的が判らないまま逃げ回るのも得策じゃない。俺達は先方の要求を確認する為にも、会談の席を設けるよう要請した。


 やってきた千の兵の姿は壮観だった。憲兵と言っていたが、旗や武器が掲げられており、遠目には普通に軍隊である。もの凄く物騒で威圧感がある。見た瞬間どうやって逃げようかと思ってしまった俺は、如何にこの世界で毎回逃げ回っていたかを自覚してしまう。

 しかしこれは困った。今の俺達は身軽じゃない。護衛騎士達はまだしも商人達も同行してるのだ。何かあった時に勝手に逃げだすことが許されないので、どうにも落ち着かない。


 会談場所は開けた丘の上になった。夕刻、先方から代表として四名がやって来るという。出迎えるは俺、リーダ、ヴィルダズとリーゲンバッハ団長、アンジェリカ王女、護衛のイリスカの六名だ。

 会談する前にあたって、リーダが皆に注意喚起する。立場は既にちっちゃな軍師さんだ。


「予備知識として入れておいていただきたいのは、彼等が千の兵を集めてここに追いついたという実情です。千の兵を集め、行軍させて我々に追いつく。それにはかなりの準備を要した筈です。少なくとも我々がオラリアを出立する前から準備していたと考えなければ計算が合いません」


 俺達は道中あちこち寄り道はしたが、基本まっすぐに皇都を目指している。千の兵を召集して軍隊として編成。ここまで行軍して追いつかせるには、かなり前から準備しなくてはならない筈だと専門家のヴィルダズに確認を取っている。

 つまり、連中がこの時期にこの場所にいる為には、司祭長ファーミィが獄中にいた頃から準備を進めていた可能性が高いのだ。俺達はオラリア王都でヴィルダズを助けた後、王都から瞬間移動で逃げ出した。そして、そのまま国外へ渡った。何時出て行くとも公表していなかった筈なので、連中がこんなに早く追いかけてこれたのはおかし過ぎる。なんとも不気味な話であった。

 交渉相手は懐かしのユエル司祭。既にイリスカ達に連絡用の宝珠で本国へ緊急確認してもらったが、ユエル司祭は最初の巡礼団解散後に出国したとしか分からなかったらしい。詳しく調べようにも、ヴィスタ神殿は治外法権。王国が情報を得る為には窓口を通じての手順が必要となるので。詳しい情報収集には時間が掛かるとのことだ。


「以前司祭長ファーミィ・オマーンは兄様のみを手中に入れ、それ以外を排除しようとしました。ユエル司祭が会談の席でそのような強攻策を取るとは思いませんが、警戒は怠らぬようお願い致します」


 会談用に設けた天幕に入って来たのは女性二人と男性二人。先頭はユエル司祭だった。


「この度はこのような席を設けていただきましてありがとうございます。御見知りおきの方々もいらっしゃるでしょうが、改めて御挨拶させていただきますわ。ヴィスタ神殿司祭ユエル・オマーンでございます」


 くすんだセミロングの金髪に青い目。白い法衣とロングスカートにケープ、白手袋。そして清楚さを台無しにする菱形に空いた胸元からのぞく巨乳。うむ、間違いなくユエル司祭だな。キュビさん程ではないが、相変わらずでっかい。素晴らしい。俺達は揃って挨拶を返す。


「!?」


 リーダ、何故そこで俺の足を踏む。真面目にやれ。視線で訴えたら、笑みで同じ台詞を返された。


 ユエル司祭は元トリスタ王国ヴィスタ神殿の司祭だった。最初の巡礼団の代表でもあったが、オラリア王宮で再会した時には何故かファーミィ・オマーンの配下となっていた。どうして彼女がそんな事態になったのか、その理由は聞かされていない。ただ、彼女はファーミィの姪だったということが判明している。

 巡礼団の代表だった時にはおっとりとしたお姉さんという印象だったのだが、オラリア王宮で再会した時は妙に暗くて殆ど会話ができなかった。今の彼女は以前の様に笑みを浮かべているが、今となってはその笑顔を信用することができない。


 一緒にいる女性はユエル司祭の補佐でルーテシア司祭、男性は部隊をまとめている千人長リッジライン。その副官でラウムと名乗った。全員初めて会うと思う。

 ちらりとイリスカに視線を向けると彼女も小さく首を振った。アンジェリカ姫さんとイリスカ達は王都のヴィスタ神殿に滞在していた時期がある。しかし顔見知りではなかったようだ。


「そして使徒オーダディ、シッペイ様。お久しぶりでございます。無事再会が叶いました幸運を、神アウヴィスタへ感謝の祈りとして捧げます」

「……」


 誰がお前のお父さんだと言い返したいのを堪え、うなずくだけに留める。交渉素人の俺が口を挟むと上手くいかない可能性が高いので、黙っている様に言われているからだ。今の俺にはリーダを始め仲間達がいる。話すのはそいつらに任せて、俺は黙って巨乳を眺めていればいい。あ、痛っ。

 お互いの挨拶を終えて先方の言い分を再確認する。やはり彼女達は俺達を追って来たそうだ。そして俺達に同行したいと言っている。

 こちらを代表して話すのはアンジェリカ姫だ。同じ司祭だけど彼女は王族であったので、あまりユエル司祭とは交流がなかったという。


「ウラリュス大神殿間近となった今、貴方がたが我等に同行を求める理由をお聞かせいただけますでしょうか」


 一番の疑問はこれだ。ユエル司祭は豊かな胸元へ手を当てて鷹揚に答える。


「それはもちろん、神アウヴィスタの信徒として、使徒オーダディ、シッペイ殿と共にある為です」

(……?)


 こんな分かり難い話し方をする人だったろうか。姫さんがちらりと他の三名に視線を向けるが、ルーテシア司祭は同じ様な笑みを浮かべたまま語らず。男性二名も黙ったままだ。交渉はユエル司祭が代表となるようだ。


「お聞きしてよろしいでしょうか……『共にある為』とは、どのようなことでしょうか」

「はい、これより使徒様が使命を行使するにあたり、我等が手となり、足となって働く為でございますわ」


 まるで、これから俺が使徒として何か行動すると決め付けている様な台詞だ。何故だ。俺は大神殿に着いたら神に会って日本に帰るんだぞ。俺の目的は前回の巡礼団代表だった彼女も知っている筈だ。

 しかし、口は挟めない。俺が下手に発言を否定して、ユエル司祭が激昂しては大変だ。連中の戦力はこちらの数十倍。ここはリーダに諭されたように、一度向こうの言い分を終わりまで聞きとる方が先だ。


「……オオヤバイ・チーベェさまは、まさにその使命を確認すべく現在大神殿に向かわれている道中です。信徒の協力が必要となる場合は大神殿の決定により派遣されるものと考えられます。オラリアのヴィスタ神殿が、大神殿に断りも無く一軍で麾下に加わろうとするのは、時期尚早というものではないのでしょうか」


 アンジェリカ姫が頑張ってくれている。


「ええ。しかし我々オラリアのヴィスタ神殿は、それでは危機に応ずるのに間に合わないと判断致したのです」


 俺達は一斉に眉をひそめる。


「危機、とはなんでしょうか」

「世界の危機です」


 急に大きな話になった。

 ユエル司祭はうっとりとした表情でぶっそうな台詞を言う。今気付いたがこの表情、この話し方。まるでファーミィみたいだな。リーダに目をやると、彼女はユエル司祭の一挙一動を見逃さないよう凝視している。俺が気付いたんだからこいつも当然気付いていたか。脇に立つイリスカも眉をひそめている。皆気付いている。やっぱ、様子がおかしいよなこの人。


「それは具体的に、どのような危機なのでしょうか」

「世界の命運を決する危機ですわ」


 全然具体的になってない。アンジェリカ姫がかすかに困った表情をする。幼女危うし。


「それは……司祭長ファーミィ様の御判断なのでしょうか?」


 天幕内に少しだけ緊張感が増す。姫さんはファーミィに命を狙われた過去がある。


「いいえ、オラリア全ヴィスタ神殿の総意でございます」

「オラリア王国の信徒全ての総意としてこの軍を起こされたと」

「ええ。我等は使徒オーダディ、シッペイ様を迫り来る敵から御守りし、救世の栄誉を共に賜る為、一軍として馳せ参じました次第です」

「……」


 こちらの質問に答えてくれてはいるのだが、疑問が増えていくばかりなのは何故だろう。質問しあぐねた姫さんに変わって、リーゲンバッハ団長が言葉を引き継いだ。


「失礼。我々は軍人ですので、ヴィスタの司祭様のおっしゃる言葉は聞き慣れない言葉故によく分かりませんでした。失礼ですがもう一度、具体的な名を挙げて教えて頂きたい。一体、何処の誰と戦うとおっしゃるのですかな?」

「それはもちろん――偽の使徒の軍勢とですわ」


 とんでもないことを言い出した。



               ◇



 ユエル司祭は言う。自分達は俺が偽の使徒と戦う為の援軍として来たのだと。

 この一団の名目上の代表、リーゲンバッハ団長が問き返す。

 

「その『偽の使徒』とは、一体何でしょうかな」

「言葉通りの名です。使徒を騙り世界を暗黒に堕とそうとする者の名です」


 それはやはり、今朝情報が入った皇都に居るという使徒のことだろうか。

 リーゲンバッハ団長は顎ひげを一撫でして聞き返す。


「ふむ。あいにくと我々は把握しておらぬのですが、司祭殿は偽の使徒が我々に戦いを挑んでくると、そうおっしゃるのですかな」

「ええ。彼の者はこれより世界を暗黒へ落とす為に乱を起こします。我等が使徒、オーダディ、シッペイ様にはそれと対峙することが命運づけられているのです」


 勝手に人の運命決めないでくれ。


「その為にオラリアのヴィスタ神殿は千もの軍を動かしたと」

「いいえ」

「ふむ。違うと」

「我々は先遣隊に過ぎません。本体の五千が今こちらに向かっております」

「「!?」」


 これには皆が息を飲んだ。

 おい、なんだそれ。五、六千の軍隊が戦う為に集まるってのか。それってもう戦争じゃねえか。お前等戦争する気なのか。しかも俺を頭に担ぎ上げて。


「……それはもしかして、オラリアの兵全軍にあたるのではないでしょうか」


 事態の大きさ感じた姫さんの声も少し震えている。


「そうかも知れません。しかし此度の世界の命運を掛けた戦い。我等は全信徒の力を結集し、対峙すべき事態だと考えております」

「「……」」


 この連中は一国にあるヴィスタ神殿の兵力全てを挙げ、戦おうと行動している一大事が動いていることを知ってアンジェリカ姫が慎重に次の質問をする。


「それは一体……どこから得た情報なのでしょうか」

「我等オラリアの司祭長が神アウヴィスタより天啓を得ました」

「!」


 なんだ。やっぱりか。司祭長ってファーミィ・オマーンじゃねえか。またあいつの天啓が根拠なのかよ。

 急に話の信用度が激減した。俺はあいつを敵だと思っているし、言動を何一つ信用してない。もちろんその天啓とやらもだ。

 状況は判った。頭のおかしい司祭長が妄言を命じて、配下総出で馬鹿やっているってことだったようだ。


「どうされましたか。使徒様」


 がっくりと肩を落とした俺に、ユエル司祭が微笑みながら聞いてくる。しかし、俺は喋らない様に云われているので黙ったまま首を振る。

 なんと迷惑な話だろう。こいつらも巻き込まれてこんなとこまで来たのか。可哀想に。

 俺の様子を横目に、アンジェリカ姫が質問を重ねる。


「もう一つだけよろしいですか。今回の動員につきまして、ウラリュス大神殿の了承は得られているのでしょうか」

「偽の使徒は既に皇都に現れたとか。ならば既に皇都は敵の手に落ちている可能性がございます。我等は現在各国のヴィスタ神殿に呼び掛け、協力を要請しております」


 恐ろしいことを笑顔で言う。大陸中の信徒を全員巻き込んで争い合う気なのかファーミィは。余所でやれよ。俺を巻き込むなっての。

 話が大きくなったが、もう聞く気が半減してしまった。しっかりしろとリーダが背中をつつき、続いてつねってきたが一度萎えた態度は改まらない。俺の態度から場の空気も少し弛緩した。


「……こちらからも一つよろしいでしょうか使徒様」


 それを待っていたのか、千人長リッジラインが軽く挙手して発現を求めてきた。


「我等は使徒様に初めて御目に掛かります。つきましては、参集しました信徒達へ御誓言お願いしたいのですが」

「リッジライン殿」


 ユエル司祭が笑顔のまま視線で咎めたようだが、彼は首を振る。


「司祭長の御許しを得ております」

「……そうですか」

「……?」


 何を言われたのか分からない。見るとアンジェリカ姫やイリスカが口元を曲げて不快感を露にしていた。きょとんとしていたら、リーダが耳元に顔を寄せてくる。


「要は使徒としての証拠を見せろ、と仰っているのです」

(なんだそりゃ)


 このおっさん。勝手に押しかけて来て、使徒の証拠見せろとか抜かすのか。蹴り飛ばしてやろうか。

 反射的に浮かびかけた膝を、リーダがすかさず押さえ込む。いや分かってるって、冗談だよ。その怖い笑み止めて。

 リッジラインを見直す。引き締まった体躯の短髪の中年だ。千人を率いるということはリーゲンバッハ団長達より能力的には上の人なのかもれない。同じくらいの迫力を感じる。おそれくこの人が実質的な軍の指導者なのだろう。

 上司の命令でここまで来たとはいえ、自分達が掲げる事になった男が、本物かどうかを知りたいと考えているのだろう。戦争する覚悟で追って来たというなら、そう考える気もわからないではないけど……。

 どうしようか。俺はこうして疑われた様に、見た目は威厳のないただの高校生だ。なにか踊りでも見せて証明しなきゃならないんだろうか。どれも残回数が少ないので無駄使いしたくないんだけどなぁ。


 思い悩んでいたら都合良く珍入者が現れた。


『む、合議中で在るか』


 天幕を通り抜けて神獣ラリアがやって来たのだ。

 肩に乗る程度の小ささながらも、キラキラ輝いてかなりの存在感。誰もが気付き、ユエル司祭達はぎょっとして目を奪われている。


「――な、それ……いや、そちらは」

「……もしや」

「なんということでしょう……」


 成程。ヴィスタ教の信徒といっても彼等もオラリア王国の人間だ。自分達の国を守護する神獣の姿は見知っていたのだろう。そうでなくても俺が神獣ラリアを復活させたことはオラリア王国内では有名な話だ。連想はたやすい筈だ。

 機を見たリーダがすかさず説明する。


「お気付きの様にこの御方はオラリア王国を守護する神獣ラリア様であらせられます。もちろん本体は今もオラリア王宮に在らせられますが、御復活に協力した礼とし、自身の分身を作られ、大神殿への旅路をこうして守護してくださっているのです」


 まあ上手い嘘をつく。実際は王宮に会話できる者がいなくなって、つまらないからと付いて来ただけである。そして道中は幼女と戯れ、その姿に涎を垂らして喜ぶだけの変態でしかない。


「どした」

『うむ。稚児が消沈しておるのだ』


 これである。幼女クリオが構ってくれなくて、俺に愚痴を言いに来たのだ。ああ、親父がここで話に参加してるからな。対岸に千の兵士がいるし、全ての騎士が厳戒態勢で待機している。妙なところで騒ぎはするが所詮幼女。廻りの不穏な空気を感じて不安がっているんだろう。まあ今こいつが来たのは丁度良かった。


「おい、ちょっと大きくなってくれ」

『……何故であるか』

「えーと……お前の勇姿を久しぶりに見たくなった」

『ほう……ほうほう』

「お前っていっつも小さいからな。玉には大きい姿のお前を見ないと、本当に偉大かどうか忘れちまうんだよ。俺達は普通の人間だからな」

『ほうほう。今代の使徒は忘れ易しと見える。なムと嘆かわしいことよ。フむ、仕方在るまいかな』


 神獣ラアリアはほくそ笑みながらぐぐっと巨大化していく。ちょろい。


「なんと……」

「本当に神獣様と会話をされ……っ!」

「いやおいっ、天幕破んなっ、それで十分だってば!」

「「おお……っ」」


 天幕ぶち抜いて巨大化しようとしたので慌てて制止する。融通きかん奴である。それでも膨れ上がった巨体と存在感は半端がない。その威圧感にリッジライン達は青冷めて慄いている。慣れている筈のリーゲンバッハ達の顔も引きつっている程だ。ユエル司祭達四人は我に帰ると慌てて席を降りて神獣に対し膝をついた。しかし、こいつは会話が出来る俺にしか興味を向けないので、皆が畏まっても意味ないんだけどな。


「こちらに御座しますは、紛れもなくオラリア王国を守護する神獣ラリア様。そして其の方を御されます我等が使徒様です。如何でしょうか」

「トリスタ王国ヴィスタ神殿準司祭、アンジェリカ・フィウル・トリヌ・ヴェールルムが、トリスタ ヴィスタ神殿の名を掛けて使徒様の身元を保障いたしますわ」


 にっこり笑みを浮かべて告げるリーダと姫さんの声を受け、四人は慌てて俺にも平伏しなおした。神獣を引き連れている俺は、紛れもなく使徒だろうというリーダの論法に理解を示したようである。


(こいつ珍しく役に立ったな)


『ほう。ほう。どうであるかな。うむ。うむ?』


 ……もう良いから。ドヤ顔でぐいぐいと天幕の天上を突き上げるの止めろ。破れる。


 ラリアを言いくるめて追い払うと互いに気疲れが見えた。目配せが走って今回はここまで。明日の朝合議を再会する旨を約束し、話し合いは終了した。



               ◇



 拠点に戻り一息。そして直ぐに副団長アルルカさん、イオネさんを加えて首脳陣の天幕に再集合した。


「大変なことになりましたね」

「どういう事でしょうなこれは一体」


「構うもんか。今更ファーミィが何言ってこようが知ったことかよ。俺はこれ以上あいつに巻き込まれるのゴメンだ。大神殿に行って帰るからな!」


 とりあえず自分の言い分を叫んでおく。

 皆がわがままを喚く子供を見る様な視線を俺に向けた。知るものか。俺からすればまた邪魔者が現れたというだけでしかない。皆の頭に入るまでずっと連呼してやってもいいぞ。


「兄様のお気持ちは分かりました。ただ今後の為にも合議は必要です。お気をお鎮めください」


 リーダに宥められ、ふてくされたまま椅子に座る。一言叫んで発散したから、もう良いだろうと見抜かれてるのだ。すかさず渡された皿から菓子をつまんでバリバリかじる。良い歯応えだ、じゃない。簡単にあしらわれている自分が悲しい。


「しかし、いきなり大事になったな」


 ヴィルダズが頭を掻き毟りながら唸ると、皆も一斉に喋りだした。一通り発言が出揃ったところでリーダが手を叩く。


「はい。では話をまとめましょう」


 まず向こうの話をまとめる。

・司祭長ファーミィが神アウヴィスタから天啓を授かった。

・偽の使徒が現れ世界を暗黒に堕とそうとしている。

・俺が偽使徒と戦う運命にあるので、増援として兵六千が俺の麾下に加わりたいと要求している。


 なんとも荒唐無稽な話だ。相手の了解を得ずに、まず軍隊で押しかけるあたり流石ファーミィである。

 次いで疑問点は四つ

・ユエル司祭は、司祭長ファーミィに詳しく何と言われたのか。

・世界を暗黒に落とすとは具体的に何が起きるのか。

・合流の要求を断ったらどうなるのか。

・偽使徒との戦いを拒んだらどうなるのか。


 細かい疑問は幾らでもある。何故ファーミィにだけ天啓が降りて、一度受けたことのあるアンジェリカ姫や俺には連絡が来ないのか。ファーミィの話は信用できるのか。何故偽の使徒だと断定できるのか。このまま大神殿に向かって使徒と対峙したらどうなるのか、そして偽使徒とは一体何者なのか等々キリが無い。

 しかしユエル司祭のあの様子じゃ、全部を確認するのはかなり骨が折れそうである。


 最優先にすべきことはなんだろうか。


「まずは主導権を得ることです。相手の兵は千。主導権をこちらが持てるか如何によって、今後の行動全ての前提に影響します」


 リーダが真面目な顔で断言する。リ-ゲンバッハ団長も頷いた。

 神獣ラリアに恐れ入ったようなので、揉めてもすぐには戦いにならないだろう。しかしラリアが人間同士の争いに興味を持たないと知れたら力関係は一変する。下手をすれば俺を確保して、口を挟む邪魔な皆を殺そうとする可能性さえある。ぶっとんだ話だが、以前ファーミィは同じ様なことをしようとしたのだ。

 その意見に珍しくアンジェリカ姫が異を唱えた。


「いいえ。私はユエル司祭の本心を確認することが、一番先かと存知ます」

「本心……。確かにオラリアで会った時とは少し様子が違うそうですが、其処まで重視すべきことなのでしょうか」


 オラリア王宮でしか会ったことがないリーダには、今ひとつピンと来ていないようだ。しかし同席していたイリスカも眉をひそめた。


「確かにあの様子は少しおかしかったですね。あのような話し方をされる方ではありませんでした」

「そうなのですか」

「ファーミィ司祭とそっくりだったもんなぁ。乗り移られでもしてんのかね」


 俺の意見はもちろん冗談だ。もっとも後日ニアピンだったことが判明する。


「其処に何らかの鍵があるのではないでしょうか。彼女は何故あのようになってしまったのか、そして本意が何処にあるかによって、前提としている言葉が大きく違ってくると私は思います」


 いつもより自信を持って姫さんが発言するので皆が考え込む。


「姫様はユエル司祭が元に戻れば、争うことなく共に道を探すことが出来る、と考えられておられるのですね」

「はい」


 一人、近衛副長イオネさんが嬉しそうな表情で姫さんを見つめている。

 その言葉に皆が納得して息を吐いた。場の空気も弛緩する。

 成程な。俺達はとんでもないことを言い出してきたから、どうやって対抗してやろうかと敵対心丸出しで考えていた。姫さんは先に彼女の身を案じたのだ。根が優しい娘なのである。


「では如何にして確認しますか」

「そっと誘拐して尋問でもするか」

「向こうの代表者ですからね。機会は一度きりでしょうし、失敗すると大事になりますぞ」

「かといって、あの様子では会談時に真意を聞き出すのは至難ですぞ。邪魔も入るでしょうし」

「そういったって話し合いに時間を掛けてれば、いずれ強引に押しかけて来て囲まれちまうぞ」


 問題は二つ。どうやって彼女だけをこちらに呼ぶか。そしてどうやって真意を聞き出すか。


 浸入して誘拐するだけなら簡単だ。使える踊りはある。アレだ。

 説明すると皆がしょっぱい顔になった。リーダまで目を×にしている。なんでだよ。


「大将、変な踊りばっかだな」

「既に妖術のたぐいですな」

「うるせえよ!」


 ヴィルダズの影響か、リーゲンバッハ団長も好き勝手言う様になってきたなおい。

 さて、問題は真意を確認する踊りだ。一番近いのは【親愛なる魅惑のタンゴ】あれは相手を魅了する踊りだ。使えるかなぁ。効いても更にハイ状態になるだけで、余計訳の分からないことをベラベラ喋るだけかもなあ。あれ目の色変わって迫ってくるので気持ち悪いんだよな。

 リーダに相談。


「…確実ではないと思います。魅了とは敵対心を裏返すものです。彼女は現在我々と敵対している意識は無く、善意と使命で行動しているように見えますので、どう変化するか分かりません。また魅了されたからといって、秘事を全て晒すとは限らないのではないでしょうか」


 かといって拷問なんかして答えるか怪しいし、姫さんが承諾しないだろう。

 ううむ。

 ううううむ。

 頭を抱えて戻るとリーダと目が合う。


「……リーダ」

「はい。それしかないかと」

「ぬおーっ、また賭けるのか! 俺の人生、賭けの連続なのか! 踊り子じゃなくって本当は職業ギャンブラーなんだろ!」


 頭を搔きむしって喚く俺に、皆の視線が集まる。いや皆も分かっている筈だろ。俺が出せる対抗策は常に一つしかない。


「踊りだ」

「え?」

「なんだ。尋問するのに有効な踊りがあったのか」

「いや、ない」

「ないんかよ」


 ヴィルダズがずっこけた。


「……今は無い」


 リーダと視線を交わして頷きあう。


「……だから、生み出すんだ」




「新しい踊りを」

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