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大薮新平 異世界にふしぎな踊り子として召喚され  作者: BAWさん
2章 奴囚王国オラリア騒乱編(全26話)
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18. 大薮新平 天敵接見

 大薮新平は踊ると魔法が掛かるという、ふしぎな踊り子スキルを得て異世界に召還された。出会った少女を従者に迎え、二人は東へと旅をする。国の窮状を知り思い悩む新平に、リーダは神獣の復活を提案。一行は王宮に忍び込み神獣を復活させる。ところが、逃亡中に森の熊さんよろしく、神獣が追いかけてきて王都は大混乱。新平達は王宮に連行されたのだった。



 自分達は王宮の地下牢に連行された。この世界に来て実に何度目かも分からない檻の中である。王都街の沈静化に人を裂いているらしいのと、深夜でもあった為、まっすぐ牢屋に放り込まれる。この様子なら尋問は明日だろう。

 神獣ラリアはしばらく呆けていたようだった。大神官カリフ爺さんの説得を聞き入れたのか、それとも暑苦しい大声の賛辞が煩くなったのか。ゆっくり空に舞い上がって上空へと消えていったので行方は知れない。ショックを受けていたようだが、こっちは逃げるのを邪魔された訳だし、慰めてやる義理も無い。もうこちらに絡んでこないことを祈る。


「エロ兄ちゃん。それって冷たくね。話ができるの兄ちゃんだけなんだよね」

「冗談じゃねえよ。俺はみんなの為に復活させに来ただけで、あんなのと仲良しになりに来た訳じゃないぞ」

「天下の神獣様相手に仲良しってあんた……」


 いや、デルタさん。実際話してみてよ。あんだけ常識違って、しかも下手に怒らせれば片足で殺されちまう相手だぞ。誰が関わり合いたいと思うものか。ここの連中にとっては高貴で崇める存在かもしれないが、俺にとっては話の通じない怪獣なのだ。

 そんなことより、これからどうするかだろう。俺とリーダだけなら瞬間移動の【天翔地走】で直ぐにも逃げ出せる。阿保みたいに黙って明日の尋問を待つ理由は無い。しかし、問題はこっちの二人だ。


「髪や上着等、召還の触媒となる物を借りておき、移動先から二人を召還すれば良いではないでしょうか」

「ナイスだリーダ」


 知恵を出し合えば簡単に対策案は見つかるものである。一方的に出してもらってる気もするがそれは置いておこう。やれやれ、この国で奴隷狩りにあってぶちこまれた最初の牢屋で、もしリーダに会えてたらどれだけ楽に逃げ出せたのか。

 二人に説明すると自分達だけが逃げることにデルタさんは渋い顔をする。傭兵の契約に反するというのだ。


「あたしらはあんたらの護衛なんだよ。ここで、あたし達だけ逃げるなんて出来ないよ」

「いや、俺も用が済んだら逃げるから、先に逃げてくんないかな」


 王宮へ潜入した目的、神獣の復活はもう果たした。本来はもうここに残る必要はないのだ。しかし、王宮前で群集が俺達を待っていた理由を調べないと、下手に逃げてもまた囲まれる可能性がある。それにラディリア達がここにいた理由も知りたい。イリスカが王宮へ連行される俺達を見て、騎士団に訴えていたようだったが追い払われたみたいだった。事情を調べないと接触も出来そうに無い。

 これだけの理由なら傭兵姉弟に残ってもらう必要は無い。下手に残って引き離されたりでもしたら、逆に行方が心配になる。


「でも、護衛はいた方が良いんじゃないのかい。エロしー様だって手枷を嵌められて踊れなくなったら終わりだろ」

「それはまぁ、手枷を外された時になんとかするよ。二人だって離されたら俺達を護衛しようもないだろ。それに、この後、国を出て行く俺達と違って、二人は顔と名を知られるとマズイだろ。尋問と言って拷問受ける可能性だってあるぞ」


 拷問と聞いて、トッポが速攻逃げようと言い出して姉に叩かれる。ぶれないな、お前。


「そりゃそうだけどさ……雇い主を敵陣に放置して逃げるってのはねぇ……」

「おかまいなく。神獣復活をもって契約は終了しました。私も残りますので、後のことはご安心を」

「おい」

「少なくとも私は一緒に残ります。何かあった時に対処を考える為にも私は一緒にいた方がいいかと」

「いや、でもここは王宮だぞ、お前こそ逃げるべきだろ」


 リーダはルーベ神殿の反乱にあって犯罪者として手配されている身だ。王宮ではカリフ爺さんみたいに顔見知りもいるかもしれない。ならば、残るべきじゃないだろう。


「私などはなんとでもなります。それに兄様をお手伝いするのが私の役目ですから」

「そう言ってくれるのは嬉しいけどさー……」

「私はお傍を離れるつもりはありませんので。無理に捨て置かれれば、王宮に忍び込んででも兄様の下に戻るつもりです」

「うひゃー。エロ兄ちゃん尽くされてるー!」

「……お前だけ牢に置いて行こうか」

「何だよそれっ」


 結局リーダの押しに負けて、姉弟のみ王都の街に戻すことになった。今までいた宿は引き払ったし、追っ手の可能性もあるので荷物と一緒に別宿を取ってある。まずそこに瞬間移動の踊り【天翔地走】で飛び、傭兵姉弟の上着を触媒に【半熟英雄の大護摩壇招き】で二人を召還。脱獄を果たした傭兵姉弟と別れ、再び牢屋に瞬間移動で戻るのだ。もう牢のセキュリティも何もあったもんじゃない。

 というか、神獣復活させたらその案で飛んで逃げれば良かったんだ。誰だよ、ずらかると言われて真っ先に走り出した奴。 ……俺だよ。うう……。

 有り難いことに、デルタさん達は一つ南の街でしばらく滞在すると言ってくれた。何かあったら呼んで欲しいと言ってくれたが、ならべく迷惑を掛けないようにしたいものだ。


「ちょっと心残りだけどね。孫にまで自慢出来る仕事ができたよ。ありがとさん。ちゃんと逃げるんだよ」


 召喚後に握手を交わして別れる。名残惜しい。一度くらいこのデカイ胸を触ってみたかった。もしかしてお金払えば少しくらい突かせてくれただろうか、まあ夜街の女と一緒にするなと張り倒されるのがオチだろうが。


「うう、名残惜しいな。あの超美人のお姉さん達とお近づきになりたかった。連絡ついたら教えてね」


 ラディリア達の連絡先を聞きたがるトッポを、デルタさんと一緒に張り倒して別れる。

 牢に戻ると置いていかれたリーダがほっとした表情で出迎えてくれた。いかんいかん。別れを惜しんでる場合じゃなかった。しっかりしてても、この子はまだ子供。牢屋に一人じゃさぞ心細かったろう。


「でも良いのか。多分お前も尋問されるぞ」


 ここで俺が守ってやるぜと言えれば格好良いのだが。


「兄様こそ私がいなくて、これからどう尋問に対処し、抜け出した後に国境まで行かれるつもりですか」


 そう言われると弱い。道中はすっかりこの子に頼ってたもんな。この子、凄い優秀なんだもん。自分一人で牢に残るのも不安だったし、気持ちは正直嬉しい。


「まあ、それは明日でいいか。今晩は休もうぜ」

「分かりました」


 とにかく目的は達して一安心なのだ。いざとなれば何時でも逃げれるから、状況はそれ程悪くない。落ち着こう。まさか復活させた神獣に逃亡の邪魔をされるとは思わなかったけどな。



 こうして長い夜が終わる。俺達は王宮に潜入し、王都で騒乱を起こした重犯罪の容疑者となっていた。



           ◇



 翌日は昼を過ぎても呼び出されることはなく、夕刻になって個別に尋問を受けた。

 手枷を嵌められ呼ばれた個室で、王宮騎士団の三名から詰問される。

 どうせカリフの爺さんからも話は伝わってるだろうから、嘘をついても仕方が無い。でも使徒云々だけは話が大きくなるので伏せておこう。聞かれるままに自分は病気を治せるので神獣ラリアに効くかもと試しに来たと話す。騎士二名には鼻で笑われたのだが、もう一名が実際に神獣ラリアが復活していることを指摘したので、半信半疑の目で見られるようになる。

 試しに治療とやらをやってみろと言われるが、意地で固辞した。残回数が少ないので試しに見せて成功してみろ。また話が広がって変な要求されて軟禁される。それは困る。ここは怒鳴られようと嘘をついてると揶揄されようと黙るべきなのだ。

 王宮への潜入方法と、居なくなった傭兵二人についても聞かれるが、王都で雇った傭兵で詳しくは知らない。居なくなったって牢屋に入ったのは俺達二人だけであの二人は途中でいなくなったじゃないかととぼけて押し切った。リーダの答弁マニュアルに沿っての説明なのだが、こっちはかなり疑いの目で見られた。嘘が下手なんだよなあ俺。

 幸いにも暴力を振るって尋問する気は無かったようで、初日は無事終了。紳士的な連中で助かった。

 牢に戻ってリーダと聞かれたことについて確認し合う。詰問内容は概ね同じだったようだ。


 次いでリーダが尋問官から逆に聞き出したことについて話し合う。そう、何故逃げられるのに牢に残って尋問を受けているかというと、こうして接触する連中から逆に情報を引き出す為なのだ。話の上手いリーダに聞き出してもらい、目処が付いたら瞬間移動で逃げだそうというのが今朝自分達が立てた計画である。話術の無い自分は、精々ボロがでないように適当に濁して時間を稼ぐ役だ。いざとなったら何時でも逃げれるので結構気楽な立場である。なにより一人じゃないのが心強い。


 さて、あの王宮前にいた群集についての話だ。

 やはりあの連中は一般人で、賞金目当てに集まった連中だったようだ。では何故あの時間あの場所に待ち伏せられたのか。こっちはどうも騎士団の連中も知らないようである。

 まず俺に懸賞金を懸けて手配したのは王宮西に本拠を掲げるヴィスタ神殿だそうだ。リーダの予想が当たっていた訳である。一ウィヌ(月)程前から、神殿から王都内に潜伏している俺を捜すように指示がでたらしい。

 どういうことだろう。一ウィヌ(月)なんて、俺達が王都に来るのを決意する前だ。予知能力者でもいるのだろうか? 手配を出した者の名までは分からなかったとのことで、逆に心当たりを聞かれたくらいだ。

 次はラディリア達の件だ。彼女達の着ていた服装はヴィスタ神殿の憲兵団の制服らしい。初めて聞く名前だが、どうやらヴィスタ神殿の武装兵団みたいなものらしかった。昔の日本の僧兵みたいなものだろか。ラディリア達についても聞いてみたらしいが、騎士団の連中はそこまでは知らないようだとのこと。ヴィスタ神殿に絡んでいることは間違いないみたいなので、本殿に乗り込めば会えるかもしれない。どのみち自分を指名手配した奴と会う必要があるしな。対決の時かもしれない。


 とりあえず分かったことは、ヴィスタ神殿がなんらかの方法で俺が王都に来るのを知って網を張っていた。手が足りないのか、賞金を掛けて都民を煽り、自分達の兵も出して俺を捕らえようとしていたということだ。


「じゃあ、ここを抜け出してヴィスタ神殿に行ってみるべきかな」

「ここで待っていた方がいいのではないでしょうか。下手に脱走すれば、また王都内で手配が回ります。逃げながらヴィスタ神殿に行くよりは、必ず接触してくるだろう彼等を待った方が安全でしょう」

「でもそれじゃ、何時まで待つか分からんぞ。明日から尋問だって厳しくなるだろうし。それまで牢暮らしだ」

「そうなのですが……」

『主は何故このような場所におるのだ』

「誰が好きでこんなとこに居るわ……」

「……」


 ……振り向くと普通の獅子サイズに戻っている神獣ラリアが横に佇んでいた。威圧感や光量は抑えているようだが、相変わらずキンキラに輝いて暗い牢を照らしている。慌ててリーダが平伏する。


「うおあっ! な、なんでお前ここに!」

『神気を辿って訪したぞ。それで主はこのような場所で何をしておる』

「なんでも糞もあるか! お前が逃げるの邪魔しやがったから、とっ捕まって牢屋に放り込まれたんだろが!」

「に、兄様!」

『囚われた。虜囚であるか』

「おうよ!」

『では我が放ってやろうぞ』


 そう言って鉄格子の方を向き、尻尾が一度振りされた瞬間、鉄格子が周囲の壁ごと吹き飛んだ。轟音が響き渡る。


「うわああああ!」


 地下牢内は大騒ぎになった。牢番の兵どころか、近くの兵まで確認に降りてきた。そして壊れた鉄格子の奥で、俺達と一緒にいる神獣ラリアを発見するのだ。

 神獣ラリアを知らない者はいないらしく、悲鳴をあげて次々平伏していく兵達。昨晩あんだけ飛び回ったもんな。そういえば、王宮内の壁画とかにも姿が描かれてた。信心深いのかずっと平伏している兵もいて、なんか可哀想である。


『さて、どうであるか。感謝するが良い』

「ああ阿保かお前は! 壊してんじゃねえよ!」

「兄様落ち着いて! どうか、どうか言葉使いを改め下さい!」

「いいんだよ、こんなやつ!」

『……感謝するが良い』

「アホかああああっ!」

「どうした!」「なんだ!」「何が起きた!」

「ひいいーんっ」


 上官に指示を伺いに走る兵士を尻目に、悠然と尻尾を振って自慢する神獣ラリアと怒鳴りつける自分。しがみつき止めようとするリーダ。なんかもうめちゃくちゃになった。

 しばらくして大神官カリフ爺さんがやって来た。魅了の効果は切れた様で俺を見る目が普通に戻っている。良かった。

 爺さんは俺達を見て大仰に驚きラリアに平伏。その後、自分達が神獣ラリアを復活させた者で間違いなく、牢に入れるのは不当だと抗議してくれた。結果場所を移され賓客用らしい大部屋に移動させられる。調度品も装飾も豪華な一級の貴賓室だ。トリスタ王宮で滞在した部屋よりも豪華だ。ベットは天蓋付き。世話役として侍女までつく。さっきまでと転地の扱いである。まだ容疑者の疑いが晴れてもいないのに、何故いきなりこんな豪華な部屋に代わったのかというと ……もちろん神獣ラリアがついて来てるからである。


「お前、神殿に戻らんの?」

『崩落しておるのでな』


 ……自分でぶち抜いて壊したからじゃねえかよ。


 どうやら大神官の爺さんの指示で、あの大きくなった姿でも入れる様に大規模改修が始まっているらしい。そして住まう筈の当人は、建設中の音が煩いので傍に居たくないと言っているのだ。我侭な奴である。


「で、なんで付いて来んの」

『他に行く場も無きにあらずよ』


 やべえ、懐かれた。冷や汗が垂れてくる。

 正直凄え迷惑。神気を追って探しに来るとしたら、俺達の行く先々で大騒ぎになるじゃねえか。瞬間移動で逃げて、ヴィスタ神殿にラディリア達を探りに行く案が難しくなったぞ。横を見るとリーダも頭を抱えてる。俺がこの神獣を嫌ってる理由の一端を、ようやく理解してくれたようだ。

 神殿に戻って欲しいと懇願するカリフ爺さんと、嫌がる神獣ラリア。嫌々通訳した結果折れたのはもちろん爺さん。


「ここはお主たちに任せるしかないようだの。くれぐれも粗相の無いようにな」

「……ここは滞在して頂きましょう。威を借りるのは、さもしいことですが、ラリア様がいてくだされば、我等も無用な暴力から身を守れましょうし」

「代わりにもっと面倒なことになりそうだけどな……」

「あはは……」


 リーダの笑顔に力がない。そうだろう、この予想は絶対当たると思う。



 自分達は二日目にて賓客となった。



             ◇



 翌日から尋問は無くなった。なにせ俺を連れて行こうとすると、神獣ラリアもついて来るのだ。流石の王宮騎士達もラリアが同行する者に対して尋問する気にはなれないらしい。何時の間にやら彼等の言葉使いまで変わっていた。

 よって貴賓室の居間。神獣ラリアが欠伸をしている横で、騎士達の方がびびりながらの質問会となった。ラリアの一挙一動に騎士達が脂汗をかきながら丁寧な質問をしてくるので、なんか可哀想である。こっちが話すことは昨日と同じなのだが、リーダも同席して補足してくれるし、楽な質問会が進んでいく。

 こちらが説明する治療の魔術は当然聞いたこともない。信じがたいことなのだが、当の神獣ラリアが復活して横に居るので、疑い様もない。そのラリアが時々口を挟んでくるので俺が投げやりに返事をする。騎士達はそれを見て呆然とした挙句、俺がラリアと対話が出来ることを知って騒然となった。慌しく人が行き来して担当騎士が変り、最終的にはかなりの上役らしい壮年の騎士がやって来る。

 しかし、その騎士も『無断で王宮に侵入したことは謝罪するが、できれば話をさっさと済ませたい。新獣ラリアを復活させた功罪などは求めない。さっさと国外に出たいから俺達を解放して欲しい』というこっちの話に眉をひそめる。リーダが何か言いたそうな顔をしてるのだが、促すと首を振るのでちょっと心配である。


 夕刻、カリフ爺さんが来て神獣ラリアに今日の神殿の工事の進捗を報告して祈りを捧げていった。大神官というだけあって、言葉は通じていないのだが、ある程度意思の疎通は出来ているようだ。鷹揚に頷き再建を期待しておるとの言葉を翻訳して伝えると、たいそう感激していた。次いで自分もここで寝泊りしたいとか言い始めたので、それには全力で断った。

 当面神殿には戻る気がないと答えるラリアに対し、カリフ爺さんは悄然としていたが、君等を出来る限り賓客として遇するよう進言しておくと言ってくれた。ありがたい話なのだが、こっちは用が済んだら速攻逃げ出す気満々なので、ちょっと罪悪感を感じる。

 最後にカリフ爺さんに掛けた魅了の効果切れについて探りを入れてみる。どうも自分の言動は覚えているようだ。少しはしゃぎ過ぎたのを恥じているようで、話題にしたくない風を装う。トボケ具合が少し笑える。そうかあ、爺さん大はしゃぎだったからなあ……。それならば、こちらも話題にしない方が懸命だろう。キレたらデルタさん並に強いからなこの爺さん。

 別れ際、俺は独身なのかを何故か聞いてきたのだが、もう関係ないことだと思いたい。うん、そう思いたい。リーダがまた横で頭を抱えている。俺も一緒に抱えてみよう。



 翌日、神獣ラリアが外に出かけていた時だ。リーダが予測した通りの来客が現れた。ヴィスタ教本殿の高位聖職者達。煌びやかな高司祭の法衣に、はちきれそうな豊満な肢体をつめこんだ中年の女性。同じく空いた胸元から豊満な色気を漂わせる二十代半ばの女性。微笑んでいるが目が全然笑っていない禿頭の中年男の三人である。

 中年女性が大仰な手振りで自分の目の前に膝をつき、一礼して俺を見上げる。


「お会いできて光栄でありますわ。使徒様。私はこのオラリア王国でヴィスタ神殿の管理を任されております。ファーミィ・オマーンと申します」

「っ…・・・!?」


 ぞわりと怖気が走って、飛び退った。

 なんだこの人。すごく穏やかに微笑んでいるのに気味が悪い。対面してるだけで不快感が込み上げてくるぞ。

 返事をしない自分に焦れたのか、ファーミィが微笑みながら擦り寄ってきて俺の手を取る。


「うおわあっ!」


 咄嗟に振り払った。女性相手に非礼をしてしまったと一瞬焦ったが、彼女は一向に気にせず、微笑みを崩さずに口上を述べる。


「わたくし、アウヴィスタ神の天啓を受け、貴方様をずっと御探ししておりました」

「……?」


 問い返そうとしたが、他にも視線が向けられてるのを感じて、ファーミィの後ろに立つ女性を見る。


「お久しぶりでございます、使徒様。ユエル・オマーンです。ご無事でなによりでした」


 そうだ。トリスタで旅立った時の巡礼団の代表、トリスタ王国のヴィスタ神殿のユエル司祭だ。


「……どうも。どうして貴方がここに?」

「この娘は私の姪ですの。使徒様に奉仕する名誉を与えていただいたそうで、私からも御礼申し上げます」


 あんたには聞いてないんだが。どうも、でしゃばりな叔母ちゃんでもあるらしいな。


(この方が私達を手配した人物かと……)


 背後に控えてるリーダが、裾を引いて小声で伝えてくれた。そうか、こいつが元凶か。国中に振れを回して俺達が逃げ回る羽目になったのはこいつの所為か。

 思わず睨みつけるが、彼女は意に介せず微笑んでいる。


「……兄様、立ち話もなんですので、御席に御案内させて頂いてもよろしいでしょうか」

「お、おう……」

「ええ、それでは失礼いたします」



 テーブルについて経緯を聞き直す。

 ことの起こりは数ウィナル(数ヶ月)前、ヴィスタ神殿本殿にて祈りを捧げていたこの女性、司祭長ファーミィ・オマーンに天啓が降りたのだそうだ。自分と思わしき姿が脳裏に浮かび『この者の臣として仕え、使命を果たす一助となれ』とアウヴィスタ神に命じられたという。アンジェリカ王女が天啓を得た時に聞いた同じ内容みたいだ。

 つまり、この女はアンジェリカ王女に続く第二の従者に指名されたのだ。

 司祭長である彼女は、ただちに国内の神殿各所に俺の人相書きを配布して捜索を命じた。しかし一行に情報は集まらない。痺れを切らした彼女は神殿関係者だけでなく、王宮、各領主に手を回し賞金を懸けて捜索したと言う。


 彼女はそう自慢げに語った。自慢げにだ。


「俺達は賞金目当ての馬鹿共に、散々追い掛け回されて何度も死にそうな目に会ったぞ」

「まあ、なんという不運でしょうか。それでもこうしてお会い出来るとはアウヴィスタの導きに他為りません。アウヴィスタよ感謝致します」

「…………」


 そう言ってファーミィは虚空に祈りを捧げる。呆気に取られているとたっぷり祈った後に構え直してにっこり微笑む。謝ろうともしない。こっちが追い掛け回されたことは不運で片付けられたようだ。手配した本人にだ。ふざけんなコラ。

 思わず怒鳴りつけようと腰を上げたら、慌ててリーダが背中に手を当てて宥めてくる。


(兄様、短慮はいけません。ひとまず最後までお話を聞いて下さい)


 リーダの進言に頷く。そうだ、まだ怒るな。まだ話を全部聞いてない。 


「……じゃあ、王都で俺達が来るのを知っていたかのように網を張ってたのは何でだ。王宮前に出た瞬間に群集に囲まれたのはあんたの所為なのか」

「とんでもございません。我々はあくまでも平穏無事に事を進められるよう苦心しておりました。あのような事態になりましたことにつきましては我々も大変心を痛めております」

「っ……! じゃあ、あの群集を集めたのは一体誰だ」


 一瞬で嘘だと直感した。駄目だ。こいつ信用出来ない。気がつけば敬語が消えていたが、悪いとはまったく思わなかった。


「恥ずかしながら、トリスタのヴィスタ神殿から参りました司祭一行の暴走によるものです。彼等はなんらかの方法にて使徒様の居場所を知り、自分達の手が足りないからと市民を扇動し、このような事態を引きおこしたのでございます。まこと管理不届きで申し訳無い事と……」

「待て! トリスタの一行って何だ。ラディリア達のことか?」

 

 しかし、俺の言った名には心当たりが無いようだ。興味もなかったのだろう。小首を傾げたファーミィの横でユエル司祭がフォローしてくれた。


「はい。トリスタ王国のアンジェリカ司祭並びに助祭補達です。彼等はトリスタ王国の命を受け、このオラリア王国に貴方様の捜索に参ったのでございます。私もこちらの司祭長と懇意にさせて頂いていることから、使徒様の捜索に加わらせて頂いておりました」

「……」


 ユエル司祭の口調がなんか以前と変だ。親戚の前だからだろうか。トリスタ王国のアンジェリカ王女達のことを、まるで他人事みたい話す。そして、ラディリア達に悪者を押し付けたこの女の味方をしている。


「待ってくれ。アンジェリカ姫さんが……ここに来てるの?」

「はい、貴方様の捜索の為に、一司祭としてこちらに来訪されております」

「……そ、そうか……そうか」


 話が少し繋がった。

 嘘か本当かアンジェリカ王女に降りたという天啓をこの司祭長も受けて、俺を捜そうと国内に指名手配しやがったのだ。その所為で俺達は狙われることになった。そして何故かここにアンジェリカ王女一行までがやって来て、この司祭達と一緒に俺を捜しだしたのだ。その際情報が漏れて王宮前で色んな連中が大集合。あの大騒ぎになったのだろう。

 しかし、姫さんまでここに来ちまってるのか。迷惑掛けちゃったな。会ったら謝らないと。


「こうして御逢いできて感激に堪えませんわ。これよりはトリスタの信者達ではなく、私共が使徒様の臣としてお世話をさせて頂きます。何一つ御不便はお掛けしないよう誠心誠意努めさせて頂きますわ」

「いらねえ。迷惑だ」


 速攻言い返したら、きょとんとされた。綺麗な人だとは思うが、おばちゃんが小首を傾げても可愛くない。言われた言葉を理解できないようなので、もう一度言おう。


「だいたい話は分かった。だが迷惑だ。とっとと帰れ。二度と来んなよ! 捜索の振れも取り下げろ! あと悪いけどアンジェリカ王女達に会いたいので呼んでくれな」

「……いえ……あの、どうしてでしょうか。何かご不興を招いたとなれば改めますので、ご説明頂けますでしょうか」

「……おっ!」


 全然理解してない反応に苛立つ。待て、怒るな。落ち着け。


「……大前提で俺は使徒じゃない。そう呼ぶ奴もいるけど、そんな自覚はないし、使徒の使命とやらを命じられた覚えも、了解した覚えもないんだ。俺はただ、この世界に勝手に召ばれたから、俺を召んだと思う糞神に会う為に大神殿に向かっているただの高校生だ。あんたの言う奴は俺じゃない」

「まあ……未だ御自分の使命に自覚めておられなかったのですね。なんということでしょう。大丈夫です。我々にお任せ頂ければ遠からず御使命を思い出されると思いますわ」

「…………」


 心底同情してるらしい笑みに、寒気を感じた。なんだこいつ。話が全然通じねえぞ。神獣よりも会話にならない。ただ気味が悪くい。


「……話聞いてたか。俺は使徒じゃねえし、そんな気もないって言ってるんだけど」

「とんでもありません。貴方様は間違いなくアウヴィスタ神に遣わされた使徒様であらせられます。御安心を。この私が保証いたしますわ」

「お前の保障なんか、どうでもいいよ」

「いいえ、御安心を。私が使徒として保障してさしあげます」

「……何言ってんの、あんた?」

「どのような不幸が起きたのか存じ上げませんが、貴方様が使命を自覚されるよう、我々も全力で御協力させて頂きますわ」

「だから何言ってんだ、あんた!」

「どうされましたか。御気をお静め下さい。そうです、後で聖言書を届けさせましょう。使命を思い出せた暁には、そのような御不安もきっと解消されましょう」

「ふっ……!」


 怒鳴りつけようとして立ち上がった瞬間、リーダが飛びついてくる。


「兄様、ここは日を改められた方が」


 絶妙なタイミングで止められた。沸騰寸前だった気分が一瞬で下がる。助かった。殴りかかるところだった。確かにそうだ。喧嘩は最初に怒った方が負けだ。それは分かっているんだが……。


「……貴方は?」

「私はこの方の従者、リーダと申します」

「あら、そのような方を雇われていたのですか。ここまでよく我らが使徒様にお仕えしてくれました。ヴィスタの司祭長として感謝の意を授けましょう」

「……いえ、大いなる巡り会わせ下での邂逅でございました。今ではこの方に御仕え出来て感謝しております」

「そうでしょう。ここまでご苦労様でした。これより使徒様の御世話は我等オラリアのヴィスタ神殿にて行います。後で褒美を取らせましょう。お下がりなさい」

「……っ?」


 ぎょとした。このおばちゃん、当然の様な顔でリーダをもう用無しと抜かしやがった。


「……ご心配なく。私は使徒でもなく、この方御自身と契約し仕えております。どの様な方々がこの方の関心を得るべく周辺を飛び回ろうと、私の成すべきことは変わりません。身命を賭してこの方を御守りし、害敵を討ち滅ぼす所存」


 リーダがきつい言葉を返したが、ファーミィの笑みはまったく崩れず通じているように見えない。


「それは貴方のような下々の者が判断すべきことではありません。使徒様に仕える以上は、ヴィスタ神に認められた相応の資格が必要です。それはアウヴィスタ神の信徒たるヴィスタの下に許されることで……」


 リーダを背中に庇いながら、力を込めて対面のテーブル踏みつける。部屋仕えの侍女さんが入れた紅茶が倒れるが知ったことじゃない。


「うるせえよ……とっとと帰れ」


 怒鳴り散らしたくなるのを我慢しながら、声を吐き出す。怒りたい。殴りたい。ぶっとばしたい。相手が武器を持たない女性だと判っているのに胸倉掴んで張り倒したい。


「使徒様、どうなされ……」

「とっとと消えろ! この糞婆あああ!!」


 怒鳴りつける。怒りで拳が震えてる。リーダが暴力を奮わないように後ろからしがみついて来た。それなのに……ファーミィはまったく俺が怒った意味が理解できないようで、小首をかしげて平然とこちらを見上げているのだ。


「叔母様、使徒様もお疲れのようですし、今日のところは……」

「……そうですか、それは仕方ありませんね」


 見かねたのか横に座っていたユエル司祭が取りなし、彼女達は帰り支度を始める。

 その際もファーミィは如才なく出会えた幸運を喜び、これからのことについて嬉しそうに話し掛けてくる。こっちは怒り心頭で睨みつけているのに、目が合ってもまったく意に介さないのだ。なんだこの女。こっちの気を汲めないのか。

 部屋を退出していこうとする中、ユエル司祭が一度も俺と目を合わさなかったことに気づく。


「ユエル司祭! あんたもそいつと同じなのか?」 


 彼女は何も答えず一礼して出て行こうとする。


「待てよ。アンジェリカ王女達に会いたい。話を通してくれ。今日中にだ」

「……」


 しかし彼女は目を伏せたまま扉を抜けようとする。駄目だ。弱いか。追いかけて扉に手を掛け、廊下に立つ彼女に声を掛ける。


「早くだ。もし今日中に来なかったら俺がここを抜け出して王都に探しに行くぞ。あの神獣がついてきて騒ぎになるかもしれないが、知ったことじゃねえ。あんた、俺が消えて移動できるの知ってるよな!」


 トリスタから瞬間移動で離れた時に彼女も居た。彼女は俺が瞬間移動できることを知っている筈だ。

 ここまで一気に言い放つと、もう一度彼女は一礼。笑みを崩さず俺を見ているファーミィ司祭長の下へ歩いていった。







 三名が帰った後、ソファーに突っ伏す。リーダも背もたれに身体を埋めた。


「なんだあれ……」

「……お疲れ様でした……それでもかなりの収穫がありましたね」

「なんだよあれ! 頭おかしいんじゃねえか!」


 話を先に進めようとするリーダには気づいていたが、叫ばずにいられない。なんだあいつは。全然俺の話を聞いてねえ。それで言い返せば全部自覚の無い俺が可哀想みたいに言いやがる。気持ち悪くて吐きそうだ。


「……多かれ少なかれ敬虔なヴィスタ信者という方は、あのように全てをアウヴィスタの思し召しと考える方がおられまして」

「ふざけやがってっ……! 俺はその神とやらをぶっ飛ばしに行こうとしてんだぞ!」


 女性相手にあそこまで腹を立てたのは初めてかもしれない。そのくらい怒りが湧いた。こっちの話は全然通じなく、神は絶対で俺の意見は全部自覚が無いからだ、自覚すれば神に感謝するようになるとか言うのだ。俺の話は全否定。なんだ。絶対神への信仰って奴か。何を言っても自分の神が正しいという前提で話しやがる。

 何よりあの目だ。物腰低く穏やかに微笑んでるのにおかしいのだ。視線が合ってるのに俺を見てない。こっちが追われて命の危機だったというのに気にもしていない。常識がおかしいとしか言い様がない。


 散々悪態をついた後に、リーダも同じアウヴィスタ神を奉じる神殿の分派司祭だったことを思い出す。慌てて謝ると、リーダは困ったような顔で許してくれた。なんだよこの子の方が遥かに話が通じるよ。リーダが繰り返し言うには、どうやら上層部にはよくいる手合いらしい。あんなのが何人も居るのか。囲まれたら発狂するぞ。恐ろしいな宗教って。

 一息ついてから、得られた情報を整理する。


「まず今回の騒動の元凶は、あのファーミィ司祭長だと考えて間違いないでしょう。あの方が天啓を受け、捜索の為に国内に手配書を回したと。御自分から話されていましたが、発見できないことに焦り、強権をもって各領主に命じた為、市民にも話が広がり、収集がつかなくなったようです。その為に、このような事態になったのでしょう」

「迷惑な婆ぁだ!」

「ただ、あの様子ですと、王都に我々が来たのと、王宮前に我々が現れたのを知る要因には心当たりが無いようですね。そちらはトリスタ王国の方々が情報をもってらっしゃるかもしれません」

「そうだ! あの婆あ、王都の騒ぎをイリスカ達の所為にしやがったぞ。ふざけやがって!」

「どうやら彼女達とトリスタ一行は一枚岩とはなっていないようです。兄様を探すという目的が同じ為、一時的な協力体制にあったということでしょうか。本当のところはご本人達に聞かなくてはなりませんが」

「そうだな……最後にユエル司祭に声を掛けたのはまずかったか。なんかアンジェリカ王女達が来るのを邪魔しそうな感じがしたんで、ああ言ったんだが」

「いえ、あの対応は有効だと思います。ただ、今後もトリスタ側とも対話を望まれるなら、別の窓口を用意させる方がいいでしょう。これだけ早く接触してきたということは、王宮内が彼等の勢力圏内ある証拠です。二回目以降はトリスタ王国の方々がこちらに接触するのを邪魔するようになると思います」


 ……邪魔って。


「彼女は『トリスタではなく、自分達が世話をする』と仰っていました。我々がトリスタ王国の方々の下へ行くのは彼女等の望むところではないでしょう。言うなれば司祭長達とトリスタの方々は兄様を巡って取り合う競争相手となっているのではないでしょうか」

「俺は景品か」


 気を落ち着かせる為に、新たに侍女さんに入れてもらった紅茶を呑みなおす。ああ、さっきは紅茶蹴飛ばしてごめんなさい。

 まず落ち着こう。リーダも困ってる。怒っても話は進まないからな。短気は損気、陰気な便器。


「あの……兄様ご自身の考えはどうなのですか。トリスタ王国の一団が来られたら合流されるおつもりですか」

「……う?、うーん……」


 彼女達のことは嫌いではない。それどころかかなり世話になった挙句、勝手に逃げだして来たので謝らないといけない。会わせる顔が無く、気まずいというのが正直な気持ちだ。国交を断絶してるこの国にまで、わざわざ俺を追い掛けてきてくれたなんて、感謝以前に申し訳ないのだ。

 同行云々となると、どうだろう。今なら俺は瞬間移動ができるので結構好き勝手に動けるのだ。金もあるし旅の案内はリーダがやってくれている。彼女達に合流すると行動が制限されて、先に進むのが滞ることがまた起きるだろう。今の自分にそれが耐えれるだろうか。瞬間移動を会得してしまった自分は、止められたら飛び出す可能性が高い。それなら簡単に同行を考えるべきではないかもしれない。


「でもまあ……まず会って話を聞いてからだよな。向こうもどう考えてるのか分からないし」

「そうですね……」


 リーダが黙りこくってしまった。


「どしたの?」


 聞いても何かもじもじしてる。なんだよおい。黒い全身タイツとか持ってくんなよ。


「いえ、あの……もしトリスタの一行に加わることになった場合、私とはもう……」

「え、お前どっか行っちゃうの?」

「え?」

「ちょっ、困るって。お前いるから、こうやって呑気に構えていられるんだから。いなくなられると困るよ」

「……」

「そりゃ、国境迄かもしれないけどさ、今迄すっげえ助けてくれて、頼りにしてんだから。あの連中と一緒になったからと言って、いなくなったりしないでくれよ」

「……は、はい。精一杯お供させて頂きます」


 何故かリーダが涙ぐんで頷いた。顔が赤い。


「……あ、あれ。もしかしてこれって感動する良いシーンだったか。もっと格好良く言うべきだったんか」


 さっき零した紅茶のお陰で、靴と靴下を片方脱いで、代えを探しながら言う台詞じゃなかったようだ。


「や、やりなおした方が良いか。良いぞ、付き合うぞ」


 靴下を片方脱いだままソファーに正座して身構えたら、もう結構ですと吹き出された。


「……あ……そう」



 壁際で控えていた、侍女さん達にまで吹き出された。



次回タイトル:大薮新平 再会



 次はトリスタ王国一行 三人娘と再会です。

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