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大薮新平 異世界にふしぎな踊り子として召喚され  作者: BAWさん
1章 トリスタ森林王国内乱編(全33話)
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プロローグ 大薮新平 丘に舞う

色々読んでるうちに、自分でも書いてみたくなったので投稿してみます。

「ハッ! ハッ! フッ! ハッ!」


 手を大きく広げ、小刻みにステップを踏み、波打つように腰を突き上げる。

 目の前に迫り来るは、見たこともないような狼に似た獣達。もう数秒で襲いかかられる。

 手には一本のナイフも無く。貧弱な肉体では対抗するすべもない。

 あの牙に食いつかれたら即死間違いなし。自分はあっという間に食い散らかされ肉片となるだろう。


「ハッ! ハッ! フッ! ハッ! フッ! スリープ! スリープゥ!」


 そう。これは【睡魔の踊り】

 自分の唯一の対抗手段。

 これが効かなければ自分は殺される。


 膝が震え、しゃがみこみそうになるのを、大きく手を振ってステップを踏み、勢いで誤魔化す。

 冷汗と涙と鼻水で顔はくしゃくしゃだ。


(死ぬ。死ぬ! このままじゃ死ぬ! 眠れ! 早く眠れえっ!)


「スリープゥゥゥゥ!!」


 足を踏み出し、両指をピンと伸ばし、涙と鼻水顔の笑顔でポーズしアヒル口で叫ぶ。


 脳裏に言葉が響く。


【睡魔の踊り】


 ドンッ! ドドンッ!! ザザーッ!


 しかし、獣達は次々と新平に飛び掛かり押し倒す。


「うああああっ!」


(ひいい! 駄目か! 死ぬ! 死ぬぅううう! ……?)


 しばらくしても自分に圧し掛かっていた獣達は動かない。

 横目で周りを見ると他の獣達も廻りに転がってるようだ。


「……効いた……のか?」


 覆いかぶさってる獣を押しのけると、五頭の獣が滑り転げたように周囲に倒れてる。いや、眠っているのだった。


「効いた……みたいだな……は、はは……」


 足腰に力が入らず立ち上がれない。腰が抜けたみたいだ。

 危なかった。初めて死の恐怖を感じた。

 ぴくぴくと獣の瞼が動いてる。何かの拍子に目が覚めるかもしれない。


「ひいいっ! ハッ! ハッ! フッ! スリープゥゥ!」


 慌てて飛び上がり踊りを再開。 


 小高い丘の上、五頭の獣が眠る周りで奇声を上げながら珍妙な踊りをする少年。




 ――かなりシュールな光景であった。


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