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国王陛下の恋のお悩み【連載版】  作者: 新田 葉月
一章 ラーシェ編
3/35

第三話 3

「おはよう」

「おはようございます」


私が紅茶を入れ終わったのを見計らったように陛下がやってきました。顔を洗うだけではなくお着替えもすませたようです。流石陛下、素早い身支度ですね。

ですが。おしいです陛下! 髪の毛が少し跳ねています。これは櫛を通さなくてはいけませんね。

陛下が椅子に座ったのを見て私も座ります。本来の主従ではあるまじき行為ですが、これは陛下のご希望なので仕方ありません。

陛下は私の入れた紅茶に口を付けると静かに微笑みました。


「美味しい」


良かった……。

冷めてしまっていたので少し不安だったのです。陛下のこの笑顔は本当に美味しいと思っていただいているときの笑顔なので大丈夫だったのでしょう。私も自然と笑顔になりました。


「あ、陛下。待ってください」

鈴を鳴らして食事係りを呼ぼうとしている陛下に声をかけました。

まずは寝癖を直さなくては。

私はくすっと笑ってから立ち上がり陛下の横にたちました。

「動かないで下さいね」

ポケットに入っていた櫛で丁寧に寝癖を溶かします。 

「ああ。すまない」

恥ずかしそうに言って陛下が目を逸らしました。ふふっ。

気を取り直して鈴をとり、外で待機しているであろう食事係りを呼びます。

「しっ、失礼します」

若干うわずった入って来たのは最近ここに決まったばかりのハンスでした。

緊張の為か唇が白くなっています。 



「ハンス、私がこちらを出すので落ち着いてお出しして?」

緊張して皿がカチカチと鳴っているのを見かねて私も手伝いました。安心させるために手を握って震えを押さえてあげます。

ハンスはまだ新人ですからね。ついつい手伝いたくなってしまうのです。

去り際にちょこんっと頭を下げたハンスに可愛いっと内心身悶えしながら席に着きました。

あれ? 何故か陛下から不機嫌なオーラが。


「陛下……?」


何か不愉快な事をしてしまったのでしょうか? ……は! そういえばハンスの様子を伺うあまり、自分の作法は意識していませんでした。ハンスは私が手伝ってからはバッチリだったので必然的に私が失敗したのでしょう。なんてこと!


「何でもな「陛下! 私出直してきます!!」


無意識のうちでも最高級のマナーを。

尊敬するレーナ叔母様の言葉です。叔母様は私が貴族となったときにもご指導くださったお方でその立ち振る舞いの素晴らしさは社交界でも有名です。せっかく厳しい叔母様に合格をいただいたのに陛下を不快にさせてしまうなんて!!

また修行し直さなくてはいけませんね!


「ちょっ、と待て!」

立ち上がり礼をして廊下を駆けます。

待ってて下さいね陛下! 私はきっと進化して戻ってきますから―――!




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