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国王陛下の恋のお悩み【連載版】  作者: 新田 葉月
一章 ラーシェ編
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第二話 2

『ルーシーアーン様ぁ!!』


……ああ。昔は耳元で大きな声を出しながら思いっきり揺り起こしていたんですね。我ながらなんて無礼な真似を……!

それに、ルシアン様―――いえ、陛下はそれはそれは大変寝起きの悪い方でした。

うむ。無礼ではあるのですが、あれくらいしなくては起きませんでしたね。最近は自分でお起きになっているのですっかり忘れていましたが寝起きの悪さは変わっていないようです。

よし! 女は度胸です! ちょっと乱暴ですが仕方ありません。揺すってしまったら椅子から落ちる危険性があるため却下ですね。近付いてすうっと息を吸います。


「へ、い、かっ!」

ふう。こんな大声を出したのは久しぶ……いえ。三日前に出したばかりでした。

しかし、起きません。大声を出す時間が短いのでしょうか。ならば。


「るっ、ルーシーアーン様ぁ!」

ピクッと身体が震えたかと思うと陛下はようやく目を開きました。


「……リディー?」


ああ。懐かしい呼び方……。ぼんやりとした瞳で陛下が私を見つめます。

そして幸せそうにふわっと微笑みました。

「……っ」

うわぁぁあ! ちょっとその微笑み方は反則です! なんだか照れてしまって頬に熱が籠もります。

そんな私に陛下は手を伸ばし―――

「夢……?」

不思議そうに首を傾げました。


「現実ですよ。陛下」

私がそう言ったのは陛下が頬に触れたのと殆ど同時でした。

「――――――っ!!」


バッと目を見開き陛下は伸ばした手を引っ込めます。

「すっ、すまなっ」

そして、恐らく私から距離を取ろうとしたのだと思いますがあいにくここは椅子です。手を出す暇もなく、バランスを崩して倒れました。

「だ、大丈夫ですかっ!?」

「いっつ……」

陛下は長いため息をつくと立ち上がって椅子を立てました。


「どこか痛いところはありませんか?」

「りっ、リディーっ!?」


先程から陛下は懐かしい呼び名で呼んで下さいますね。私、嬉しいです! ガタンと音をたて陛下が椅子を倒しました。

「ちっ、違うんだっ!」

「えっと……なにがでしょう?」

とりあえず椅子をたてませんか?

「いやっ、その! 夢を見ていたというか!」

「……? すみません。何が仰りたいのかよく……」

何かを必死に否定しているようですが、いったい何を? 後ずさっていた陛下ですが突然近寄ると私の肩を掴みました。

「な、何かしたか!?」

「何もしていませんよ……?」

頬に触れたくらいです。そして強いて言えば今肩を掴まれていますが。


「ほ、本当か!? では何か言っていなかったか?」

「いえ? 特には」

ほおっと陛下が息をつきました。


「いや、なら良いんだ。すまない」

「は、はぁ……」

不思議な陛下です。まぁ、いいでしょう。大きな声を出して疲れたことでしょうから着替えより先にお茶ですね。

「陛下、お茶の準備をしますね。お顔を洗ってきてください」

「ああ」


私は早速お茶の用意を始めました。


些細な事でも気になる点、矛盾点があれば教えてください!

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