表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トワイライト・ガーデン  作者: 貴水 玲
【第一幕】 娼婦と貴族
7/43

微笑みの罠

 その部屋は昼間だというのに夕暮れのように暗かった。

 窓という窓の分厚いカーテンはすべて下され、ろうそくの炎の影が時折大きく揺れる。

 石膏像や甲冑、古びた家具や絵画が詰め込まれた物置部屋の中央にはテーブルがあり、黒いベールを被った少女が座っていた。

 テーブルにはたくさんのビンや、赤や黄色の液体の入ったガラスの容器がいくつも置かれている。その中の一つに少女は手にとったビンの中身を一滴垂らした。


「今度こそ……絶対うまくいくわ……ふふふ」


 容器の中の液体の色が、赤から透明に変化する。

 それを見て、少女は赤い唇を満足そうに緩めた。


 チチチチチ!


 近くにある鳥籠の中で、一羽の黒い鳥が突然暴れ出した。


「――うるさい!」


 椅子から立ちあがり、少女は鳥を睨みつけた。

 ベールの下からのぞく黒い瞳が、血のような真紅に染まる。その直後、鳥はピッと一声鳴いて、鳥籠の底面に紙きれのように落下した。

 動かなくなった小さな体を見て、少女はくすくすと笑う。その目は元の色に戻っていた。

「邪魔するモノは許さない……だってもうすぐなんだもの」

 透明な液体を移した小さなビンを高々と掲げ、少女はくるくると回り出す。

 ベールがはがれ落ち、黒いブルネットが揺れる。喪服のような黒いドレスの胸元では大きな赤いガーネットのブローチが鈍くきらめいていた。


「見ていらして……絶対に貴方の心を手に入れてみせるわ――ねえ、アズフェルト様」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
★ランキング参加中 1クリックお願いします★
カテゴリ別オンライン小説ランキング
恋愛ファンタジー小説サーチ
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ