独占インタビュー、魔法少女のマスコット業界
ご好評頂いている、独占業界インタビューシリーズ第三弾。
今回は以前よりリクエスト頂いていた、魔法少女のマスコット。実際に業界で働くマスコット、Aさんにお話を聞くことが出来ました。
果たして魔法少女のマスコットとはどんなお仕事なのか?
その真相に迫りたいと思います。
※以下、——は筆者です。
——本日はお時間頂きありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。
本日はよろしくお願いします。あの、これ……本当に実名出ないんですよね?
——はい、出ません。イニシャルは出しますが問題無いですか?
イニシャルなら大丈夫ですよ。いや、前にそう言ってあることないこと書いた挙句実名出した方が居て、もうそれ読んだ上司にドヤされちゃって。参りましたよ本当に。
——それは災難でしたね。ところでお話変わりますが、口調は可愛らしい感じではないんですね。マスコットっていうとそんなイメージがあったので少し驚いてます。
……いや〜、子どもウケを良くするためにやってるのであって、あれが素ってちょっと……なんて言うか、キツいじゃないですか。はは。
ほら、マスコットもやっぱりイメージ商売じゃないですか。あくまで仕事の顔って感じですね。あと、ここで仕事の口調で喋っちゃうと気づく相手は気づくので。
——なるほど。確かにあの口調って特徴的ですもんね。語尾とか特に。
そうなんですよ。それにあのキャラって案外疲れるんです、ずっとやってると地味にメンタル削られてきて……俺何やってんだろ、みたいな。我に返っちゃうんですよね。
あ、勿論こっちが素ですよ。大半のマスコットがそうなんじゃないですか。むしろあのキャラが素って奴の正気を疑いますよ。
——あくまで仕事のものなんですね。マスコットの皆さんは可愛らしい口調なんだと勝手な先入観を持っていました。
それでは早速本題ですが、最近の魔法少女のマスコット業界についてのお話を聞かせて下さい。
最近の魔法少女のマスコット業界の話、ですか。
厳しいですね。もう大変ですよ、本当に。魔法少女っていうと日本がやっぱり手堅いんですけど、その分競争率も桁違いで。
——そこまで厳しいんですか?
今あの国って少子高齢化社会じゃないですか。そもそも子どもの数が少ないんですよ。
それにほら、僕と契約して……っていうあのアニメが流行ったじゃないですか。そのせいで魔法少女契約=詐欺みたいな悪いイメージがついちゃって。
——言われてみると、魔法少女というとなんだか暗いイメージがありますね。契約という単語を聞くと大半の方は身構えてしまうでしょうし。
そうなんですよ。確かにああいうたちの悪い契約を持ちかけるマスコット事務所もありますけど、うちはクリーンな契約でやらせてもらってますので。
まずこれはと見込んだ子にうちの事務所の名刺を渡しまして、親御さんからご連絡が来たら改めて菓子折りを持ってご挨拶させて頂き、そこから具体的な契約内容のお話をさせてもらうんです。勿論報酬の話もそこでさせて頂きます。
——金銭が発生するんですか?
当然じゃないですか、ビジネスの話ですよ。確かに人が住む世界とマスコットが住む世界は異なりますけど、こちらで必要となるエネルギーを代わりに集めてもらうんです。タダ働きなんてそんな酷いことさせるわけないじゃないですか。働いたらそれに見合った給料が出る、どの世界でも当たり前のことですよ。
で、お話させて頂いて、その上で契約するか決めてもらって、契約しないとなったらそこで終わりです。ええ、しつこくなんてしませんよ。悪質な事務所じゃありませんし、当然じゃないですか。
たまにレアケースですけど、スカウトした子ではなくその身内が魔法少女になることもありますね。お母様やお祖母様、お兄様というケースもありました。はい、女の子以外もなれます、魔法少女。本当にレアケースですけど。
それで、契約となったら魔法少女としてどんな活動をしていきたいか、変身シーンや衣装はどうするか事前にヒアリングしつつ決めていきますね。
——アイドルみたいですね。
まあ、やっていることは似てるかもしれませんね。今の活動内容は主に動画投稿とライブ配信なので。地上波も昔は数字が取れたんですが、今の若い人って大半がSNSにいってますから。なので最近はショートで踊ってみたや歌ってみた、他には敵役の方と戦う配信をしたり、敵幹部とのコラボゲーム配信……まあそんな感じです。
身バレ防止のために変身後の姿で収録しますし、炎上のリスクも考慮してこちらでSNSと公式チャンネルを管理させてもらっています。未成年の方が大半なので、事前に保護者の方にも台本の内容が問題ないかチェック頂いてます。
——すみません、敵役っていうと?
ああ、あれです、魔法少女が戦う相手ですよ。ジャアクーとかそんな感じの名前の。敵役として出演して下さる方は我々の事務所と似たような所から派遣されてくるんですよ。事前に顔合わせした後、台本を読みながら打ち合わせしていく感じです。
下っ端役の方は大人が多いですが、敵幹部は大半が魔法少女と同年代ですからね、当然あちらはあちらで事務所がちゃんとマネジメントしていますよ。
——なんだか本当に現実の芸能事務所みたいですね。
はは、何当たり前のことを言っているんですか。マスコットの世界もこちらの世界も紛うことなき現実ですよ。マスコットだって大半が成体でこうして働いてるくらいですからね。
だから困るんですよ、マスコット=邪悪ってイメージが定着してしまうのは。今後、我々の仕事が無くなってしまう可能性が高いんです。エネルギーが回収できないとなると死活問題ですよ。
ですが悪質な事務所が存在するのも事実なので、完全にマイナスイメージを払拭することが難しい現状です。とても悔しいですが。
——確かに一度マイナスイメージがついてしまうと中々厳しいですよね。
悪質な事務所と仰っていましたが、そういった事務所との契約を避けるにはどういった点を気をつけるべきでしょうか?
そうですね、大人を通さず子どもに直接契約を持ちかける事務所には注意してもらいたいです。未成年の契約にはまず保護者の同意が必要ですので。
判断力がまだない子どもに直接契約を持ちかける時点でかなり悪質ですし、色々と杜撰な事務所であることが伺えます。
うちの事務所は絶対にそんなことしません。しっかり手順を踏んで契約をお願いしているこちらからすると迷惑な話ですよ。
第一子どもを騙して酷い目に合わせるなんて良心が痛まないんですかね、同じマスコットとして信じられませんよ。
俺なんて収録中もあの子達が怪我をしてしまったらと思うだけで胸が痛いのに。子どもが居るので余計にそう思います。
——Aさん、お子さんいらっしゃるんですか?
はい。普通に結婚もしてますし、子どもが居るマスコットは俺の世界では珍しくないです。だってねえ、じゃなきゃマスコットの世界も滅んでしまうじゃないですか。
確かに自然発生する世界も存在しますけど、俺の居る世界では自然発生はしませんね。
エネルギー問題も自分達で解決出来れば良かったんですけど、魔法少女の子達が活動して、そこで発生する視聴者の方達の頑張れ! って応援する気持ちでしかエネルギーは発生しないんですよね。
——必要なエネルギーとは、人の感情なんですか?
まあ概ねそうです。人の気持ちがエネルギーになるんですよ、俺の居る世界では。応援だったり、とにかくポジティブな感情にはなるんですが。
——それなら、Aさんでも集められるかもしれません。
お子さんウケも良いと思いますが、ケモナーにもAさんの見た目は需要が高いと思います。
え、本当ですか? ケモナー、とは?
——端的に言うと、動物が好きな方でしょうか。
……へえ、今はそういう方も居るんですか。早速持ち帰って上司に相談してみます。
そろそろ時間ですね。とても有意義な話を聞けて良かったです、本日はありがとうございました。
——こちらこそお時間頂きありがとうございました。
インタビュー後、Aさんは新たな可能性に目を輝かせ、足早に帰っていきました。もしかしたら今後、マスコット業界に新たな風が吹くかもしれません。
第四弾は近年飽和状態になりつつある悪役令嬢業界、あるご令嬢にお話を聞くことが出来ました。
次回の掲載日はXX月XX日となります。
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