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ピュアホワイト

作者: 青竹シゲル
掲載日:2026/04/26

 新卒で就職して八年で退職した。理不尽な会社の対応に癇癪を起こし、上司にあたる人物を罵ったため、ほとんどクビで退職することになった。証券会社に勤めていたが利益のみを追求し、顧客の都合などは考えない社風に、大層辟易としていた。退職と同時に気が晴れない日々が続いていた。

こんなずる賢いことで世の中は成り立っているのは、寂しい思いがした。

その日、昼過ぎに起床して床屋へ行った。平日の昼間の時間は閑散としていた。帰り際、スマホがブルブルと震えた。妹からであった。

「麗華と凜々華をあずかってくれない?どうせヒマでしょ?どうしても一日だけ預かってほしいんだけど。七時には迎えに行くから。」

「ああええよ」と答えた。

 どうやら両親は旅行に行って留守なのであろうと私は推測した。

 しばらくして妹はワンボックスカーに乗って、私のアパートにやってきて、ドアが開くやいなや、賑やかな二人が降りてきた。

「おいちゃん。」と叫びながらすぐに私に抱きついてきた。

「夜には迎えに来るから。」と妹は言い残し、そそくさと帰っていった。

双子の姪は、私の出したジュースを嬉しそうに飲みながら、

「今日行きたいところがあるの。みっちゃんところに行きたい。」

「みっちゃんて誰?」

 幼稚園かどこかの友達のことかと思った。

「どこのおうち?ここから遠い?」

「○○県○○市。」スマホで調べてみると、ここから一時間くらいの距離だった。

「みっちゃんって、保育園かどこかの友達?」解せないことが多いので私は聞いた。

「いや違う。昔からの友達だよ。おいちゃんも知ってるはずだよ。」

 ますます訳がわからなった。昔からの友達と言われても、姪達は五歳であるからどんな昔なのか二歳の時の記憶があるとは思えないし、昔と言っても一年ぐらい前のことなのか。その前に、○○県○○市を知っているのも、訳がわからない。

「みっちゃん、元気が無いみたいだから、逢ってお話ちが、ちしたいの。ねえ連れてって、おいちゃん」と二人は声を揃えて言う。

「みっちゃんとは連絡取り合っているの?どうやって?」

「いつもお話しているからわかるの。」と、二人は顔を見合わせて言い、こちらを見て笑っている。

「急いで行かないと、心配なの。」と二人は小さな眉をひそめる。

「急いで?」

 二人はうん、うん、と同時に頷く。とりあえず行くしかなさそうだ、どうせヒマだしな。

 夕方までには帰るつもりで、三人での小旅行のようなものかと観念した。私は最近無職となり、ヒマを持て余しており無意味な時間を過ごしていたので気晴らしの一つにでもなるのではないかと思い、スマホで場所を調べた。郊外のうどん屋であるらしい。

「じゃあ、行くか?」

「やったー。」と言って二人は飛び跳ねた。

 私たちは、トイレを済ませ、車に乗り込んだ。

「みっちゃんはいつくらいの友達?」

「だから昔の友達。知っているでしょ?」

「昔っていつ?」

「だいぶ前。」

 だんだんと怖くなってきた。幼児の時期、前世の記憶がある子がいると聞いたことがある。もしかして、前世の記憶?大学時代に呼んだ北杜夫の「幽霊」の書き出しはまさしく前世の記憶にまつわる話であるし、三島由紀夫は「仮面の告白」の中で生まれてすぐの光景の記憶があることを書いている。

道中で道の駅があったので、休憩することにした。土地の特産品などが置いてある。

「おいちゃん、いいこ買って。食べたい。」

「いいこ」とは、イチゴのことで二人の好物であった。手土産のイチゴを二パック買った。

「一個はみっちゃんにあげるの。」と言って二人は車中で苺を食べ始めた。

「みっちゃん、元気になるといいね。」

 と言い、心配そうに窓の外を眺め、何故だか落ち着き払っているようにも見える。私はカーナビに従って車の運転を続けた。そろそろ目的地である。

「みっちゃんいるかな?」

 うどん屋にたどり着いたのは昼をだいぶ過ぎていた。車から降りると二人は勢いよく扉を開ける。三人でテーブル席に座ると、割烹着を着た店員が水を運んできた。

「みっちゃーん。」と二人は大声を上げた。

 店員は、目を丸くしてきょとんとしている。

「ご注文が決まり次第、お呼びください。」

 どことなく疲労感のにじむ表情を見せていた店員は、無理な笑顔を見せているように感じた。

「みっちゃんって、あの人?」

 二人は、コクリと頷く。

 私も知っていると姪達は言ったが、記憶などまるで無い。しかし、どこか母性のある優しい雰囲気を醸し出す女性はなんとなく懐かしさを感じていたのであるが。

私は彼女を呼び注文を済ませ、恐る恐る尋ねた。

「姪の二人を連れてここまで来たのですが、どうしてもみっちゃんに逢いたいというので・・・・・。この二人に見覚えはありますか?変なこと聞いてすいません。」

「さあ、見覚えはありませんが・・・。ひょっとして息子のお友達か誰かか・・・・・。」

「あゆみだよ。」

「みかだよ。」

「同級生だよ、おいちゃんも。」

 二人は訳のわからないことをニコニコしながら同時に話し出すと、彼女は目を見張った。

「俺も知っているの?」と姪に尋ねてもニコニコしているだけだった。

 中学の同級生の顔の記憶の中におぼろげに浮かんでくる顔がある。ほとんど名前は覚えていないが、その柔和な顔はどことなく懐かしい記憶がある気がする。

 店員は何か心当たりがあるようだった。

「あゆみちゃんとみかちゃん?」

 姪の名前は他にあるのに、おかしなことを言うものだから急に鳥肌がたった。

「いいこ、買ってきたからあげる。」と言って机の上に置いてニコニコしている姪達。

「この二人が、お土産すると言って聞かないので、途中で買ってきました。」

 私は事情を説明した。

「文化祭の時、みっちゃんから貰ってたくさん食べたよね。それが、おいちかったの。」

 姪達はニコニコと笑っている。

「あゆみちゃんとみかちゃん・・・・・。」

 大粒の涙が、彼女の目からこぼれ落ちていた。

 その後、少し話をして、今日は三時に仕事が終わるからと言ったのでそれから少しお時間をいただけますかと私は尋ねた。注文したうどんを食べ終えた後、私と姪二人はしばらく駐車場で待つことになった。

 私は考えれば考えるたび、鳥肌がたった。中学三年の同級生にあゆみとみかは確かにいた。その二人が姪の二人に乗り移り、みっちゃんを励まそうと一生懸命になっていると考えれば、なんとなくつじつまが合う。しかし、私も知っているみっちゃんというのは誰のことなのかわからない。

「みっちゃん、わかってくれたかなあ」

 とぽつりと姪のどちらかが言った。すでにいつもの姪の様子では無い。

 しばらくして、私たちは店員のみっちゃんを車に乗せ、四人で近所のカフェに行くこととなった。

「すいません、突然。何せ未だ私も理解できない状態のままどうして良いのかわからず、姪の二人に言われるがまま、この地にやってきたというのが実情でして。」

 二人はまたしてもニコニコしているだけだった。

「岸辺君だよね?」

 唐突にみっちゃんにが尋ねてきた。何故私のことを知っているのかしばらく呆然としていると急に記憶がよみがえった。

「相川さん?」と聞くと、

「はい、相川道子です。」

 中学三年のクラスメートで、あゆみとみかもクラスメートだった。相川さんは物静かな全く目立たない存在だったが柔らかな笑顔を向けてくる、どこか大人びた母性あふれる女性だったのを記憶している。私はすべてがつながったように感じた。当時コミュ障であった私に対してもみんなと同じように柔和な微笑で話しかけてくれていたのが微かに記憶に残っている。しかしほとんど交流は無かった。

「みっちゃん元気になってほしい。おともだちだから。」と姪は二人そろって言った。相川さんは、大粒の涙を流した。私はそっとハンドタオルを差し出した。

「あゆみちゃんも、みかちゃんも戻ってきてくれたんだね。」と言って嗚咽した。

「あゆみちゃんは事故で、みかちゃんは病気で亡くなっています。葬儀には私は出席しています・・・・・。」

 私はそのことは何も知らなかった。唖然となり、同時に動揺し、鳥肌がたった。不意に妹からメールが来た。

「(夜七時に迎えに行きます)」

 時刻は夕方になっていた。私は相川さんと連絡先を交換し、その日は帰途についた。相川さんを送り、私は動揺している心を収めつつ、事故だけは起こさないように運転するだけで必死だった。双子の姪は後部座席ですっかり寝息を立てていた。不思議な出来事が起こった一日に疲労感は半端ではなかった。

 妹が迎えに来たとき、二人の姪はいつもの様子となり普通に帰ったいった。私は妹に何も話すことはしなかった。どうせ信じてくれないであろう。

 私は部屋に辿り着くと、中学の卒業アルバムを探し出し開いてみた。相川さんもあゆみもみかも笑いながら写真に収まっている。するとすべての記憶がよみがえった。あゆみは相川さんの親友で、いつも隣りにいた。みかは誰とでも明るく振る舞う女の子で世話好きな子であった。アルバムの中で、相川さんはクラスで目立つ存在では無かったが、柔和な笑顔を見せていた。

 数週間経った頃であろうか。相川さんからメール連絡がきて、あの姪の二人ともう一度逢いたい言ってきた。早速、妹に電話をした。すると双子の様子が最近おかしいと言う。私も先日起きた出来事を伝えると、同じだと言った。

「あゆみとみかになっている。」と言う。そしてみっちゃんについて何度も訊いてきて、またおいちゃんのところへ行くと言い始めていると言う。

 私は相川さんにメールをした。

「姪の二人が逢いたがっているので、お逢いできますか?」

 そして、土曜に四人で逢うことになった。相川さんは地元のこちらに戻ってきているらしい。

 土曜日の約束の時間、待ち合わせ場所のファミレスで待っていると、妹に手を引かれた姪達がやってきた。

「おいちゃーん」と言って姪の二人は嬉々としている。妹は二人の最近の様子について一通り私に伝え、しばらくして妹は帰っていった。テーブルの向かいに座った姪はいつもの様子と変わりが無いように思える。しばらくして相川さんが入ってくると、

「みっちゃーん」と言って二人は相川さんに抱きついた。相川さんの表情は柔和で母性に満ちあふれている。相川さんの両脇に二人はすがりつき私の向かい側に座った。

 私たちはオーダーを済ませると、「みっちゃん、ドリンクバー行こう」と言って相川さんは手を引っ張られその姿が微笑ましく暖かい。

「こちらに戻ってきたのですか?」

「はい、名字も変えて。あっ、旧姓に戻して、実家に帰ってきました。」

 二人は嬉しそうに相川さんの両腕を離さない。

「また、みっちゃんとあちょべるねぇ。やったー。」

「あゆみちゃんとみかちゃん。」

「いえ、本当は違う名前なのですが。」

「はい、なんとなくわかります。この間私のところに来たとき、二人で逢いに来てくれたんだって思いました。数日前から二人が夢に出てくるようになった時に、岸辺君に連れられて急に二人が現れたので、びっくりしました。だけど何か感激して泣いてしまいました。」

 こんな不思議なことが起こるのは信じがたいけれど、事実なのだから仕方が無い。もうこうなったら成り行きを見守ろうと私は思った。相川さんの身に何が起こったのか、訊く勇気は私には無かった。

「岸辺君は今、何しているの?」

「ただいま無職となります。元会社員です。」

 現状を恥ずかしげも無く報告できたのは、無邪気な二人の姪のおかげであろう。

「私も同じです。」と言って相川さんは柔和な微笑を浮かべる。

「私もムチョク。」と二入の姪が同時に答えたので、とても面白かった。

 私たちは終始、笑いの絶えない楽しい時間を過ごした。相川さんも心から楽しい時間を過ごしてるように見えた。それを見るとなんだかこちらまで楽しくなってくる。

「みっちゃん、ちょっと元気になったねぇ。」

「二人のおかげね。ありがとう。三人にあうまで私、本当に辛かったから。」

「相川さんが元気になって姪の二人も喜んでいます。良かったですね。」なんだか自分の気分も晴れがましい。

 そのことがきっかけで、私たちは四人で逢うことが増えていった。四人での交流は大層心地よく、私は無職で無意味だった鬱々と不安だった日々が明るくなっていくのを感じた。相川さんは双子の姪と別れる際、不意に寂しそうな表情を見せることがある。一時的に最悪な心理状態は脱することができたのであろうが、今後のことを考えれば不安は拭えないのであろうと思っていた。

 そんなある日、姪の二人に訊いたことがある。

「みっちゃんは何故あんなに落ち込んでいたと思う?」

「ダンナさんと、子供ちゃんが遠いところへ行っちゃったの。だから寂しいの。」

「それは寂しいねぇ。」

 姪達は小さな眉間にしわを寄せ、

「ナイチョだよ。」 と付け加えた。

「どうしたらもっと元気になってくれるんだろうね。」

 と尋ねると二人は顔を見合わせてニコニコ笑っているだけで、答えてくれなかった。

お盆休みの季節だったことを記憶している。実家へ帰ると妹夫婦も同席していた。姪の二人もいたが、「あゆみ、みか」は顔を出さず、普段の子供の姿となっている。他の親戚達の目を盗み、私に何か伝言してくる。

「みっちゃん家にたっくん帰ってきた。子猫になって帰ってきたんだよ。」

「たっくん?」

「子供ちゃんだよ。みっちゃんの。」小声で教えてくれた。

「みっちゃんもわかってるよ。たっくんだってこと。」

 私は、最近子猫を飼い始めたのかメールをしてみた。

「そうですよ。突然、家にきて、そのまま居着いちゃったんです・・・・・。よくわかりますね。」

「信じてもらえないかもしれませんが、あの二人がそう教えてくれました。本当だったのですね。はっきり言って怖いです。」

「あの、他には何か言っていませんでしたか?」

 と返信が来たとき、その子猫がたっくんの生まれ変わりであることを伝えるべきなのか、私は返答に困った。そこまで相川さんの心中に踏み入っていいものだろうか。気味が悪がられるに決まっているし、もし本当だとしたら、個人情報を知っていることになってしまう。

「特に何も。」とメールしておいたら、それで完了した。

 私は、姪の二人と同じく、相川さんが元気になってくれればそれで良い。

 何度か公園で、四人で逢っている内に、ピュアがやってきた日のことを訊いたことがある。ピュアとは子猫の名前である。

 ある日の夕方、相川さんが帰宅して玄関のドアを明けたところ、子猫を加えた親猫がどこからともなく現れて、加えていた真白な子猫を置いていってそのまま走り去ってしまった。白い子猫は足下にすり寄り、ニャーニャーと泣いていた。親猫はどこを探しても見当たらない。仕方が無いので、一晩家で預かることにし、翌日には親猫を探しつつ、どこか安全な場所にでも置いてこようとしたそうだ。翌日、近所を探しても親猫はどこにも見当たらない。そもその近所で野良猫を見かけたことも無かった。心を鬼にして公園に置いてきても、一目散に戻ってきてしまい、またニャーニャーと鳴き足にすがりつて離れなくなってしまう。その日は仕方なく、家に持ち帰ることとなった。翌日もその翌日も同様の結果となってしまう。

「今まで動物を飼ったことがないので、とても心配ですけどね。名前はピュアっていいます。」

 そう言う相川さんの目はとても優しく、慈愛に満ちている。

子猫の正体が相川さんの子供の生まれ変わりの「たっくん」であることは黙り通している。相川さんを慰めに来たのか、守りに来たのかは知らないが、いずれにせよ母親のことが心配で生まれ変わって逢いに来たのであろう。

 

 そんなある日のこと、相川さんからメールが来た。

「あゆみちゃんとみかちゃんの墓がわかったから墓参りに一緒に行きませんか。」

という内容だった。私は二つ返事で行くことにした。姪の二人は、保育園の日であったため行くことができなかった。どうやら最近、あゆみとみかは現れない様子である。そのことを相川さんには伝えておいた。

 私達は、あゆみとみかのお墓詣りをした。ふたつの墓ともにきれいに掃除されていた。私たちは持ってきた花を供え、線香をあげた。相川さんは長い間、目を瞑り、手を合わせていた。持ってきたペットキャリーケースの中で、ピュアがニャーニャーと常時鳴いていた。その日は秋晴れの日で、モンシロチョウが何匹もひらひら舞っていたのを記憶している。

 中学三年生の頃は、なんだか澄み切った空気の中で過ごしていたような気がする。歓喜の声がクリスタルのようにキラキラ輝いていた。中学の同級生の笑顔は澄み渡った懐かしさに包まれている。その中に、あゆみもみかも笑っている。

「いま、感謝の言葉を伝えました。」

 相川さんは、大粒の涙を指で拭っていたので、私はそっとハンドタオルを差し出した。

「二度と会えないであろう岸辺君とピュアに引き合わせてくれてありがとうって、言いました。」と言って、聖母マリア様のような微笑を私に投げかけた。眼には涙が浮かんでいる。やけに透明感のある済んだ空気の中でみた涙と笑顔は、中学の頃の純真無垢な気持ちで溢れかえっている。

「まごころを語れる間柄になってほしい。」と私は小さな声で言った。そして、泣き濡れて柔和な微笑をたたえた相川さんをそっと抱きしめた。

 相川さんを守りたいと心から思うし、彼女が哀しい顔をすれば、私も哀しくなる。そして心から元気になってほしいと思う。これは愛なのであろうか、恋なのであろうか、私にはわからない。ただこの抱きしめている瞬間は、素晴らしく心地いいのでこのままずっとこうしていたいと思う。


 しばらくして私は、近所の知り合いのおじさんのやっている小さな土木設計事務所に再就職した。苦労することも多いけれど、充実した毎日を送っている。相川さんはパートをしながら子猫とともにひっそりと暮らしている。

 土曜日に公園に行き、四人で遊んでいるとき、二人の姪は相川さんの胸に抱かれたピュアに話しかけ頭をなでる。

「猫ちゃんかわいいね。」

 姪の二人は麗華と凜々華のままであり、すでにあゆみとみかは出て来なくなってからしばらく経つ。

「あゆみもみかもきっと相川さんを助けるために現れてくれたんじゃないかな。」

 私がぽつりと言うと、相川さんはコクリと頷いた。

「そう信じています。あゆみちゃんもみかちゃんも夢に出てきて、いろいろ励ましてくれたんです。ピュアもみっちゃんを元気づけるためにやってきたんだよって教えてくれました。」

姪の二人からあゆみとみかがほとんど出てこなくなったことは寂しい気もする。が、それでも皆、元気に暮らしている。一連の不思議な出来事が、私と相川さんの再会を果たしてくれたものであることは間違いないことだ。

 皆、希望に満ちた未来を歩んでいる。この先、中学三年生の頃のキラキラ輝いた思い出を大事に生きていこうと私は決心している。

 そのとき、抱いていたピュアが「ニャア」と小さく鳴いて、相川さんの胸に顔を埋めて眠りについた。


 


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