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霧に支配されたアメリカで、州擬人化たちは都市解放の旅に出る ~フィフティ・トレイル~《シカゴ編開始》  作者: 輝城蒼空
ミズーリ編

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8 イーストセントルイス

「……イースト」


 セントルイスが、ゆっくりと口を開いた。

 しかし、その声は震えている。


「お前……」

「その声は……ウェストだな」


 どうやら、イーストセントルイスは――本家セントルイスのことを、「ウェスト」と呼んでいるようだった。


「なんで、霧都市なんかに……」


 セントルイスが尋ねると、イーストは淡々と答えた。


「皆、俺を見捨てていった――だから、俺も人間を見捨てただけだ」


 セントルイスは、黙りこんだ。

 その瞳は、どこかゆれていた。


「セントルイス」ミシガンが言った。

「――あっちには、いっちゃだめよ」


 セントルイスは、こくりと頷いた。


「……そうか。では――」


 イーストはそういうと、ショットガンを手元に召喚した。


「――殺すしかないな」


 イーストはショットガンを構え、引き金をひこうとする――

 しかし、そこでミシガンが手を振った。


「能力発動――”五大湖の地”」


 途端、イーストの足元が溶けるように崩れ――黄色い湖が現れた。

 イーストは落下し、悲鳴を上げる。

 よく見れば、服が焼けただれ始めていた。


「――イエローストーンの酸性湖よ。金属さえ溶かすわ」


 しかし、イーストは浮力を使い脱出しようとする。

 その様子を見て、デラウェアが言った。


「――大審院」


 固有武器である巨大ガベルを、判決のように道路へ叩いていた。


「被告、もがくことを禁ずる」


 イーストの動きが、ピタリと止まった。

 そして、次の瞬間――イーストがいた酸性湖には、青色の結晶が浮かんでいた。


 ▽ ▽ ▽


 イーストセントルイスが消えた後、6人はしばらく黙っていた。

 眼の前には、ミシガンが召喚した酸性湖がまだ残っている。


「――やった! 強敵撃破だ!」


 最初に声を上げたのは、スプリングフィールドだった。


「……そんな喜べるものじゃないわ」


 ミシガンは彼女を黙らせると、先程召喚した酸性湖を消した。

 そして、残った結晶に近寄り――酸がついてないことを確認してから、ゆっくりと拾い上げた。


「――これは?」


 フランクリンが尋ねると、ミシガンは答えた。


「これは”都市の記録”――都市の記憶・人格・感情が入ってる」


 それからミシガンは、セントルイスの方を見て言った。


「――セントルイス。これは、私たちが回収するわ」

「回収?」


 セントルイスは、今にも泣きそうといった様子だった。


「そんなの、やめてくれよ――だって、イーストの形見じゃないか」


 ミシガンは、ため息をついた。


「まぁ、いいけど……心を壊しても、知らないわよ」


 ▽ ▽ ▽


 それから6人は、歩いて列車へと戻っていった。

 皆、何もいわなかった。


 列車に戻ると、アイオワが6人分の夕食を用意していた。


「おかえりなさいませ――あっ、セントルイスさんのものも用意しておきました!」


 それから、みんなでご飯を食べた。


「うん、美味しい……これが毎日か?」セントルイスが尋ねた。

「当然よ! アイオワの料理は、絶品なんだから!」


 スプリングフィールドの答えに、セントルイスの口元が少し緩んだ。


 食べ終えたところで、セントルイスが尋ねた。


「そういえば――次いくのはイリノイか?」

「まぁ、そうね」デラウェアが答えた。

「シカゴの安否も心配だし」

「そうか――」


 それからセントルイスは、不吉な予言をした。


「――あそこ、おそらく地獄だぞ」


 セントルイスの発言に、その場にいた4人――ミシガンは操縦席にいるのでいなかった――の表情が固まった。


「……どうして、わかるの?」


 最初に口を開いたのは、スプリングフィールドだった。

 セントルイスは答えた。


「シカゴの周りには、たくさんの小都市がある――そして、そこにいるほぼすべての人格体が、理性なき霧都市となっているだろう」セントルイスは続ける。

「だから、単純に数が多い」


 セントルイスの言い分は、確かに筋が通っていた。

 そんな時――ミシガンが、駆け足で操縦席から戻って来た。


「大変――」


 ミシガンの言葉に、5人の目線が集中した。


「――燃料切れよ」

ここまでお読みいただきありがとうございます。

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