7 ネズミのチーズ作戦
あれから1周間。
この数日の間、列車メンバーは――セントルイス含め――列車に引きこもっていた。
これは要するに、ミシガンの「集まったところを叩け作戦」――後にデラウェアにより「ネズミのチーズ作戦」と名付けられた――のためだ。
名もなき霧都市は、人間の歩き程度の早さしかない。町中を歩くのは早いが、郊外からやってくるのには遅すぎる速さだ。
だからセントルイスを含めた列車メンバーは――霧都市がミシシッピ川をわたる様子を見に行ったりしながら――基本列車の中にいた。
1週間後、ミシガンが聞いた。
「そういえば、セントルイス――あなたの能力を使ってほしい人がいるんだけど」
セントルイスは、ミシガンの方を見て答えた。
「状態を見てほしい、ってことか?」
「そうそう」
「いいぜ――名前は何だ?」
ミシガンは、ちょっと考えた様子を見せてから――ゆっくりと、口を開いた。
「まず、デトロイト」
セントルイスは少し黙り、それから口を開いた。
「……わからない」
セントルイスは、ため息をついた。
「でも、無事とは思えないな――4年前、破綻したんだろ? あそこ」
「そうだけど……次、オハイオ」
セントルイスは、また少し黙った。
どうやら、調べるのには少し時間がかかるようだ。
「……死んでるな」
「そんな……やっぱりね」
ミシガンが言うと、セントルイスは「いや」と言った。
「死んでいると言うより――都市の”原初の姿”に戻った感じだ。霧が消えれば、また顕現すると思う」
ミシガンは安堵のため息を付くと、最後の質問に入った。
「最後――シカゴ」
「生きてるぞ」
セントルイスは、即答した。
「あいつだけは、毎朝様子を見てるんだ――単純に心配だし、万が一があるかもしれないからな」セントルイスは続ける。
「だが――連戦続きで、だいぶ参ってるみたいだ」
いつ霧にのまれてもおかしくない――セントルイスは、そうつけたした。
「じゃあ、早く助けにいこうよ!」スプリングフィールドがいった。
「……まぁ、そうね」
デラウェアも同意し、立ち上がった。
「――みんな、武器の準備をして」
▽ ▽ ▽
武器の準備は、あっというまに完了した。
どうやらフランクリン以外は、みな自分だけの武器――固有武器を持っているようだ。
そして、その武器は自由に出したりしまったりできるらしい。
具体的には――セントルイスはレイピア、テキサスはリボルバー、スプリングフィールドは可愛くデコられたクロスボウといった感じだ。
「さぁ、いくわよ」
デラウェアが巨大な判事用ハンマーを召喚しながら、フランクリンに言った。
「それ、持てるの?」フランクリンは、ついきになって尋ねた。
「もちろん」ミシガンが、割り込んで答えた。
「もしかして、見くびってるの? 固有武器は、持ち主のために最適化されてるのよ」
そもそも人格体って、普通の人間より体が強いから――ミシガンは、そう付け足した。
それから、ミシガンも鎖付きの船の錨を召喚し――錨の部分を、片手で軽々と持ち上げた。
(――どっちも怪力じゃないか)
フランクリンはそう思ったが、言うのはやめておいた。
固有武器は、一般的な武器とは違う――それだけは、なんとなくわかった。
フランクリンは固有武器がわからなかったので、とりあえず無限ナイフをベルトに差した。
「さぁ――今度こそ、ミシシッピ川を渡るときよ」
▽ ▽ ▽
6人はプラットフォームを出て、ゲートウェイ・アーチの方へと向かった。
霧は、1周間前より濃いものになっていた。
5人はセントルイスの案内のもと、ミシシッピ川にかかる橋へとやってきた。
そこには、巨大なバリケードがなされていた。
「この向こうが、イーストセントルイス――おそらく、イーストがいる場所だ」
セントルイスは、そう説明した。
「さぁ、行こっか!」
スプリングフィールドが宣言した。
セントルイスは、橋にかかる結界を解除し――それから、バリケードを横にどかした。
▽ ▽ ▽
6人はミシシッピ川をわたり、イーストセントルイスへ入っていった。
いくつかの霧都市をボコした後、スプリングフィールドが言った。
「全然強くないね」
ミシガンが、ため息をついた。
「おそらく、彼らはイーストセントルイスではない――だから、探す必要がある」
そんな時、6人の前に――紺色の作業着を着た、一人の男が現れた。
しかし、目は黄色い。
「……イースト」
セントルイスが、ゆっくりと口を開いた。
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