表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
霧に支配されたアメリカで、州擬人化たちは都市解放の旅に出る ~フィフティ・トレイル~《シカゴ編開始》  作者: 輝城蒼空
ミズーリ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/21

6 作戦会議

「――イーストセントルイスは、もう霧都市だ」


 セントルイスの発言に、その場にいた全員の顔が固まった。

 重たい沈黙が、しばらくそこを満たす。


「で、でもさ――」スプリングフィールドが言った。

「イーストセントルイスって、そんなに小さかったっけ?」


 スプリングフィールドは続けた。


「だって、あっちにはあんなに建物があるじゃん。あんたも生きてたんだし、きっと生き残ってるって思ってたんだけど――」


 対岸を指差すスプリングフィールドに、セントルイスは言った。


「確かに、イーストは大きかった――しかし、治安があれだった」セントルイスは続ける。

「あの対岸だけは、観光客のために整備されている。だがそこを離れると、かなり――やばい」


 やばい――その3文字で、5人はどういう状況か理解した。

 セントルイスは続ける。


「俺は霧がきた直後、イーストの様子を見た――だが、遅かった」


 セントルイスは、このことを悔やんでいるといった言い方だった。


「今は橋にバリケードと、あと結界を張ってる――だが、いつ破られるかはわからない」


 確かに、橋の向こうには――人とは言えない存在が、ゆうゆうと闊歩していた。

 瞳の色こそわからなかったが、それが霧都市だとは理解できた。


「しかし、俺はあることに気がついた。ミズーリ側の霧都市が――川を渡ってまで――イースト側へと向かっていた」

「つまり?」


「俺の推理はこうだ。イーストが――霧都市を、率いてる」


 セントルイスの考えに、デラウェアは鋭い指摘を飛ばした。


「イーストが率いてる? 霧都市に、そんな知性があるとは思えない――」

「それは間違いよ、デラウェア」


 ミシガンが遮った。


「元になった人格体が強いほど、霧都市化後の理性も残る」


 ミシガンは、セントルイスに尋ねた。


「――セントルイス、イーストセントルイスの強さはわかる? 霧都市になる前でお願い」


 セントルイスは、当然さといった表情で答えた。


「ああ――イーストは、人々を呼び寄せる固有魔法を持っていた。能力名は――”鉄道結節点”」

「ああ、名前はいい――けど、これでピースは揃ったわ」


 ミシガンは、立ち上がった。


「セントルイスが言ってることは、おそらく正しい。イーストセントルイスが、その鉄道なんとかっていう固有魔法を使い――名もなき霧都市を集めている」


 それからミシガンは、「ホワイトボードがないわね……」と言い出した。


「仕方ない、まずは列車に帰りましょう。作戦会議はそこで」


 ▽ ▽ ▽


 それから6人は、プラットフォームに戻っていった。


「俺も……乗っていいのか?」


 列車の前で、セントルイスが尋ねた。


「ずっとってわけにはいかないけど――まぁ、今はね」


 デラウェアに許可をもらったセントルイスは、さっそく列車に乗り込んだ。


 ホールでは、アイオワがコーヒーを用意していた。

 セントルイスの存在に気づき、「もう一つ持ってきます」と厨房へ戻った。


「これは……?」


 フランクリンが尋ねると、デラウェアが言った。


「この列車、ホールが二両あるの――テーブルがある方と、テーブルがない方ね」


 皆がテーブルに座ったところで、ミシガンは――巨大なホワイトボードを、ノックするように叩いた。


「はいはい、注目」


 ミシガンの声に、その場にいた全員がホワイトボードを見た。


「作戦を立てるって言ったけど、情報がたりないから――まずは、セントルイスへの質問タイムね」


 ミシガンの言葉に、セントルイスの背筋が伸びた。


「まず1つ目――あなた、固有魔法持ってる?」

「当然さ」セントルイスは答えた。


「名前は”グッド・ゲートウェイ”――知ってる人格体が、今どんな状況かわかる能力だ」

「ふーん。じゃあ、今のイーストセントルイスが――どんな状態かわかる?」


 セントルイスはため息をついた。


「――俺も試したんだが――無理だったな。どうやら、霧都市には使えないようだ」

「……そう。使ってほしい人が何人かいるんだけど……まぁ、それは後で」


 それからミシガンは、最後の質問を始めた。


「最後に――名もなき霧都市は、あなたに興味を持っていた?」

「いや、全然。俺を素通りして、ミシシッピ川を渡っていたよ」


 そこまで聞いたところで、ミシガンはパチンと手を叩いた。


「これで作戦は固まったわ」


 ミシガンはそういうと、ホワイトボードに雑な図を書き始めた。


「今作戦名をつけるなら――”集まったところを叩け作戦”ね」


 それからミシガンは、詳細を語りはじめた。

 彼女いわく、彼らがセントルイスを襲わなかったことからして、列車も素通りする可能性が高い。

 だから名もなき霧都市がミシシッピ川をわたるのを待ち――いい塩梅になったところで、リーダーであろうイーストセントルイスを叩く作戦だ。


「――なるほど」


 ミシガンが話し終えたところで、セントルイスが言った。


「走り回って敵を倒すより、集まったところを叩くほうが効率いいってことか」

「そう。人々を呼び寄せる能力なら、リーダーを叩けば統率が消えるわ」

ここまでお読みいただきありがとうございます。

「面白い!」「続きを読みたい!」と思ったなら、ブックマークへの登録・星5の評価をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ