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霧に支配されたアメリカで、州擬人化たちは都市解放の旅に出る ~フィフティ・トレイル~《シカゴ編開始》  作者: 輝城蒼空
ミズーリ編

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5/21

5 セントルイス到着

 翌日――

 列車は、セントルイスへ到着した。


 ミシガン曰く、全力を出せば5~6時間で到着するようだ。

 しかしその場合、到着する頃には日が暮れてしまうそうである。

 日が暮れた場合、どこに霧都市がいるのかわからない――そのためスピードを落とし、1日遅らせることにしたらしい。


 セントルイスに到着したのは、2日めの朝のことだった。


「そういえばミシガン」


 降りようとする前に、フランクリンはミシガンに尋ねた。


「装置って言ってたけど――どういう装置なの?」


 ミシガンは「ちょっとまってて」と言うと、ジェラルミンケースをフランクリンの前においた。

 中を開けると、そこには様々なメカが入っていた。


「これは私とオハイオが、共同研究の末に作りあげた浄化装置――名付けて、”ミシオ”よ」


「”ミシ”ガン」と「”オ”ハイオ」を雑にくっつけただけじゃないか――そう思ったが、いうのはやめておいた。

 それで話が良くなる展望が見えなかったし。


「仕組みを説明すると長いんだけど――これを使うと、霧を浄化することができるの」

「浄化?」


 フランクリンが尋ねると、ミシガンはまたため息をついた。


「まぁ要するに、霧を追い払えるのよ――ただし、制限が3つある。

 まず、長い。80パーセントの人口が戻るまで、約3年かかるの。完全に戻るのは10年後ね。

 次に、その間に壊されたらアウト。霧が入って、また最初からやり直し。

 最後に――霧都市は、ミシオを使っても消えない」


 ――どうやら、万能ではないようだ。


「だから、私たちのプランはいつもこう――まず霧都市を一掃して、それからミシオを使う。わかった?」


 フランクリンは、頷いた。

 あたりを見回すと、二人以外のメンバーは列車を降りたようだ。


「――早く行こう。おいてかれちゃう」


 ▽ ▽ ▽


 二人が列車を降りると、そこのホームにはデラウェア・テキサス・スプリングフィールドがいた。


「あっ、遅かったね!」


 スプリングフィールドが振り返り、二人に大きく手を振った。


「アイオワと、ネブラスカは?」


 フランクリンが尋ねると、デラウェアはくすりと笑った。


「まさか――あの二人は戦闘員じゃないわ。帰ってきたとき、美味しいご飯を作ってもらう係よ」


 それから、5人でプラットフォームを出た。

 駅前広場のベンチにて、紺色のスーツをきた男が座っていた。


「セントルイス――お久しぶりね」


 デラウェアの声に気づいたのか、男――セントルイスはこちらを向いた。


「セントルイス? ミズーリじゃないの?」


 スプリングフィールドが尋ねると、セントルイスはため息をついた。


「ミズーリのやつはジェファーソンシティにいるよ。俺たちをおいてったみたいだ」


 セントルイスはたちあがり、自己紹介を始めた。


「俺はセントルイス。この街を守る人格体だ――まっ、人は消えちまったけどな」

「そんなこといわないで!」スプリングフィールドが叫んだ。

「まぁでも、事実だろ――それより、名前を聞いてないんだが」

「あっ……私はスプリングフィールド! よろしく!」


 スプリングフィールドがいうと、セントルイスはため息をついた。


「……どこの州だ?」セントルイスは尋ねた。

「アメリカには、30以上の”スプリングフィールド”がいる。せめて何州か――」

「それ以上、詮索しないで」


 ミシガンが遮った。

 ミシガンは、スプリングフィールドを見て続けた。


「……この子は今、記憶がないの」

「霧の影響でね。もうちょっと独自性のある名前だったら、私たちもわかったんだけど……」


 ミシガンの声は、どこか震えていた。

 そんな空気を察したのか、セントルイスは一歩下がった。


「……わかった。だが、一つ言いたい」セントルイスは言った。

「――彼女は、ミズーリのスプリングフィールドじゃないだろうよ」


 ▽ ▽ ▽


 それから6人は、ミシシッピ川の河畔まで歩くことにした。


「ねえセントルイス、なんで私がミズーリじゃないってわかったの?」


 歩いている途中、スプリングフィールドが尋ねた。


「単純だ――見た目が違う。そもそもミズーリのスプリングフィールドは男だ」

「なんだ――つまんないの」

「つまんないっていうな」


 しばらく歩いていると、巨大なアーチが見えてきた。


「うわ、何あれ!?」

「あれは”ゲートウェイ・アーチ”――セントルイスの象徴よ」


 スプリングフィールドの質問に、デラウェアは冷静な口調で返してみせた。


 ゲートウェイ・アーチのほぼ真下にきた6人は、そのまま直ぐ側のベンチに座った。

 眼の前には、巨大なミシシッピ川が見える。


「――さて、ここからだな」セントルイスは言った。

「川のあちら側にあるのが、イリノイ州――正確には、イーストセントルイスだ」

「ふーん――そうなんだ。それで?」


 スプリングフィールドが尋ねた。

 セントルイスは「もうちょっと危機感を持て」と言ってから、また説明に戻った。


「――イーストセントルイスは、もう霧都市だ」


 セントルイスの発言に、その場にいた全員の顔が固まった。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

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