5 セントルイス到着
翌日――
列車は、セントルイスへ到着した。
ミシガン曰く、全力を出せば5~6時間で到着するようだ。
しかしその場合、到着する頃には日が暮れてしまうそうである。
日が暮れた場合、どこに霧都市がいるのかわからない――そのためスピードを落とし、1日遅らせることにしたらしい。
セントルイスに到着したのは、2日めの朝のことだった。
「そういえばミシガン」
降りようとする前に、フランクリンはミシガンに尋ねた。
「装置って言ってたけど――どういう装置なの?」
ミシガンは「ちょっとまってて」と言うと、ジェラルミンケースをフランクリンの前においた。
中を開けると、そこには様々なメカが入っていた。
「これは私とオハイオが、共同研究の末に作りあげた浄化装置――名付けて、”ミシオ”よ」
「”ミシ”ガン」と「”オ”ハイオ」を雑にくっつけただけじゃないか――そう思ったが、いうのはやめておいた。
それで話が良くなる展望が見えなかったし。
「仕組みを説明すると長いんだけど――これを使うと、霧を浄化することができるの」
「浄化?」
フランクリンが尋ねると、ミシガンはまたため息をついた。
「まぁ要するに、霧を追い払えるのよ――ただし、制限が3つある。
まず、長い。80パーセントの人口が戻るまで、約3年かかるの。完全に戻るのは10年後ね。
次に、その間に壊されたらアウト。霧が入って、また最初からやり直し。
最後に――霧都市は、ミシオを使っても消えない」
――どうやら、万能ではないようだ。
「だから、私たちのプランはいつもこう――まず霧都市を一掃して、それからミシオを使う。わかった?」
フランクリンは、頷いた。
あたりを見回すと、二人以外のメンバーは列車を降りたようだ。
「――早く行こう。おいてかれちゃう」
▽ ▽ ▽
二人が列車を降りると、そこのホームにはデラウェア・テキサス・スプリングフィールドがいた。
「あっ、遅かったね!」
スプリングフィールドが振り返り、二人に大きく手を振った。
「アイオワと、ネブラスカは?」
フランクリンが尋ねると、デラウェアはくすりと笑った。
「まさか――あの二人は戦闘員じゃないわ。帰ってきたとき、美味しいご飯を作ってもらう係よ」
それから、5人でプラットフォームを出た。
駅前広場のベンチにて、紺色のスーツをきた男が座っていた。
「セントルイス――お久しぶりね」
デラウェアの声に気づいたのか、男――セントルイスはこちらを向いた。
「セントルイス? ミズーリじゃないの?」
スプリングフィールドが尋ねると、セントルイスはため息をついた。
「ミズーリのやつはジェファーソンシティにいるよ。俺たちをおいてったみたいだ」
セントルイスはたちあがり、自己紹介を始めた。
「俺はセントルイス。この街を守る人格体だ――まっ、人は消えちまったけどな」
「そんなこといわないで!」スプリングフィールドが叫んだ。
「まぁでも、事実だろ――それより、名前を聞いてないんだが」
「あっ……私はスプリングフィールド! よろしく!」
スプリングフィールドがいうと、セントルイスはため息をついた。
「……どこの州だ?」セントルイスは尋ねた。
「アメリカには、30以上の”スプリングフィールド”がいる。せめて何州か――」
「それ以上、詮索しないで」
ミシガンが遮った。
ミシガンは、スプリングフィールドを見て続けた。
「……この子は今、記憶がないの」
「霧の影響でね。もうちょっと独自性のある名前だったら、私たちもわかったんだけど……」
ミシガンの声は、どこか震えていた。
そんな空気を察したのか、セントルイスは一歩下がった。
「……わかった。だが、一つ言いたい」セントルイスは言った。
「――彼女は、ミズーリのスプリングフィールドじゃないだろうよ」
▽ ▽ ▽
それから6人は、ミシシッピ川の河畔まで歩くことにした。
「ねえセントルイス、なんで私がミズーリじゃないってわかったの?」
歩いている途中、スプリングフィールドが尋ねた。
「単純だ――見た目が違う。そもそもミズーリのスプリングフィールドは男だ」
「なんだ――つまんないの」
「つまんないっていうな」
しばらく歩いていると、巨大なアーチが見えてきた。
「うわ、何あれ!?」
「あれは”ゲートウェイ・アーチ”――セントルイスの象徴よ」
スプリングフィールドの質問に、デラウェアは冷静な口調で返してみせた。
ゲートウェイ・アーチのほぼ真下にきた6人は、そのまま直ぐ側のベンチに座った。
眼の前には、巨大なミシシッピ川が見える。
「――さて、ここからだな」セントルイスは言った。
「川のあちら側にあるのが、イリノイ州――正確には、イーストセントルイスだ」
「ふーん――そうなんだ。それで?」
スプリングフィールドが尋ねた。
セントルイスは「もうちょっと危機感を持て」と言ってから、また説明に戻った。
「――イーストセントルイスは、もう霧都市だ」
セントルイスの発言に、その場にいた全員の顔が固まった。
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