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霧に支配されたアメリカで、州擬人化たちは都市解放の旅に出る ~フィフティ・トレイル~《シカゴ編開始》  作者: 輝城蒼空
ミズーリ編

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3/21

3 出発

 その後フランクリンは、自分の部屋に案内された。

 とはいっても、スプリングフィールドと同じ部屋だ。


「本当は一人ひとり部屋を用意したいところだけど……まぁまさかあんたみたいな存在がここにいて、それに乗せることになる――なんて、完全な想定外だったから」


 デラウェアが言うと、スプリングフィールドが声を上げた。


「え、ほんと? ――よろしくね、フランクリン!」

「あ……うん」

「実は、片方は”使うな”って言われてたから――すっごい殺風景なんだ」


 言われてみればそうだ。

 この部屋には左右に2つベッドがあるが、左はスプリングフィールドが可愛くデコっているのに対し、右はカーペットすら敷かれていない。

 それでもカーテンでしきれるので、病院の相部屋程度のプライバシーはあるようだ。


「――そろそろ出発よ」

「どこに?」


 デラウェアが言うと、スプリングフィールドが尋ねた。


「最終目的地はロサンゼルス。その前にシカゴ、ニューヨーク、ワシントンDC……まぁいろいろあるけど、それは結構後の話になると思う。まずはシカゴとカンザスシティの間にある、セントルイスって街に向かうつもりよ」

「シカゴ?」


 フランクリンが尋ねると、デラウェアは意外な顔をした。


「シカゴを知らないなんて――イリノイ州も知らなさそうね」


 デラウェアはため息をつき、それから続けた。


「もう、説明するのも難しいけど……とにかく、私たちはそこに向かっているの。それだけは覚えておいて」


 その時、けたたましく汽笛がなった。

 ガタン、と車内が揺れ、列車はカンザスシティを出発した――


 ▽ ▽ ▽


 列車はカンザスシティの市街地を抜け、どんどん郊外へと進んでいった。

 進むにつれ、霧のようなものがあたりに立ち込めはじめ――10分としないうちに、あたりは濃い霧に包まれた。


「……これは?」


 列車のホールの窓に顔を押し付けながら、フランクリンは言った。


「霧だ」テキサスが言った。

「それは誰でもわかるでしょ」ミシガンが遮った。


「あれ、操縦席にいたんじゃなかったの?」


 スプリングフィールドが尋ねると、ミシガンはあきれたように答えた。


「もう自動運転よ。私だって、ずっと運転するのは嫌だからね」

「ミシガンが運転手なの?」フランクリンが尋ねた。

「うんうん、ミシガンはすっごい人なんだから!」


 スプリングフィールドがそういって、ミシガンに目で合図を送った。


「……あなたが説明しなさい、スプリングフィールド」

「うぅ、わかったよ――ミシガンはね、この列車を作った人なんだから!」

「それは自己紹介で言った。もうちょっと他のことを」

「でも……そんなこといわれても、よくわからないよぉ……」


 彼女が使い物にならないと察したのか、ミシガンは自分で説明することにした。


「私はミシガン。DCの命令で、霧の浄化装置を作っていた」

「霧の浄化装置?」


 フランクリンが尋ねると、彼女は少し考えてから言った。


「説明が必要そうね――1年前、ロサンゼルスで”霧”が発生したの」

「ロサンゼルス?」フランクリンは、また尋ねた。

「ああ、その説明はまた後で――とにかく、その霧は触れた生物を消し、触れた人格体を狂わせる――そして、人間の兵器は一切通用しなかった」


 フランクリンは、戦慄した。

 いくら記憶がないとはいえ、それが恐ろしいことだとは理解できた。


「当然、政府――DCは打開策をねった。そして《《私たち》》に命令した――”霧を浄化する装置を作れ”と」


 ミシガンは続けようとした――が、そこで外に異変がおきた。

 窓の外で、ビルや家をツギハギしたような二足歩行の怪物とすれ違ったのだ。

 早すぎて数える暇もなかったが、ざっと10体ほどいたようである。


 フランクリンは窓にかけより、その正体を見抜こうとする――が、それはすでに車窓のはるか向こうへとおいやられていた。


「あれは……?」

「霧都市よ」


 デラウェアが言った。

 どうやら、同じホールで話を聞いていたようである。


「霧都市?」フランクリンは尋ねた。

「霧に侵され、理性を失った人格体のこと――基本的には、倒すしかないわ」

「倒すって……」


 見た目はどう見ても人間じゃないが、倒した後どうなるのかが気になった。

 正直に尋ねると、デラウェアは心配しないでといった表情になった。


「安心して。私たち人格体は、人の営みから生まれる。倒したあとに人を戻せば、何事もなく戻ってくるわ」

「戻すって、どういう……」

「装置を使うのよ」ミシガンが遮った。


「まぁ要するに、霧は人を消してるだけ。装置で解放すれば、3年ほどで80パーセントの人口が戻る」

「装置?」

「……まぁ、セントルイスにつけばわかるわ」


 そういうと、ミシガンは「部屋に戻る」といった。


「……それと」


 彼女の背中を見送りながら、デラウェアはいった。


「霧都市の特徴として、目が黄色いというのがあるわ――だから、その」


 デラウェアは、引き出しをいじくり回し――奥の方から、長さ15センチ程度のナイフを取り出した。


「もし霧都市と出会ったら、これでどうにかしなさい」

ここまでお読みいただきありがとうございます。

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