20 ミシガンの行方
クリーブランドからシカゴまで、ざっと5時間。
高速道路を西に行くだけの、単純なルートである。
二人は、到着するのは夕方だろうと予測していた。
シカゴについた頃には、一度温かいベッドで寝ようとも考えていた。
インフラは残っているんだ、ホテルの部屋をこっそり借りよう――シカゴの考えは、そんなものだった。
「急な話ですまないが」
運転中、シカゴがデトロイトに尋ねた。
「ミシガンはどこに行った?」
シカゴが言うと、デトロイトはなんてこともないように答えた。
「コロンバスに行ったよ――まだアメリカが陥落する前のことだけど」
「なんでだ?」シカゴが尋ねた。
「オハイオといっしょに、霧への対抗策を練るって」
デトロイトが言うと、シカゴは疑問を投げかけた。
「じゃあ、なんで――クリーブランドに行きたかったんだ?」
デトロイトは、少し黙った。
それから、ゆっくりと口を開いた。
「……なんていうべきか、わからなかったから」
確かに――シカゴは思った。
なにせデトロイトは、今霧都市なのだ。
シカゴは、ミシガンが今どんな状況で――かつ、どんな性格をしているのかなんて知らない。
だが自分の最大都市が霧都市になったことを知って、いい気分にはならないだろう。
しかも、人体実験を繰り返してたなら――なおさら、顔は曇るに違いない。
しかし――シカゴは、あることを思いついた。
「デトロイト、クリーブランド――聞いてくれないか」
クリーブランドは「聞いてるが」といい、デトロイトは無言で彼の方を見た。
それから、シカゴは計画を語り始めた。
まずミシガンが今どんな状態かはしらないが、霧都市になっているかなっていないかのどちらかだろう。
そして霧都市になっていないなら、敵としてボコされる可能性がある。
そこまで言ったところで、クリーブランドが言った。
「でも、3対1なら勝てるんじゃないか?」
「そういうのを傲慢っていうんだ――仲間を作ってるかもしれないし、そうじゃなくてもオハイオがいる。それに――不必要な戦いは、みんな避けたいだろ?」
そこまで聞いたところで、デトロイトが「で?」と言った。
「つまりな――ミシガンとあったら、まず目の色を確認しろ」
霧都市は、皆瞳が黄色いからな――シカゴはそうつけたし、続けた。
「で――もし瞳が黄色くなかったら、”俺達は戦いたくない”と言え。銃を向けない相手など、みんな殺したくない」
そこで、クリーブランドが疑問を呈した。
「でも、”霧都市は皆死ぬべき”って思ってたら――」
「それはないね」デトロイトが即答した。
「ミシガンは、昔も今も理論屋肌だよ――そんなイデオロギーに傾倒するなど、地球が逆回転になるレベルだ」
デトロイトの発言を、二人は否定しなかった。
「じゃ、作戦決定だ。デトロイト、安全運転で頼む」
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