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霧に支配されたアメリカで、州擬人化たちは都市解放の旅に出る ~フィフティ・トレイル~《シカゴ編開始》  作者: 輝城蒼空
ミズーリ編

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2 自己紹介

 次に少女――フランクリンが目を覚ましたとき、そこは列車のソファの上だった。

 近くにはテキサスとスプリングフィールドがいて、スプリングフィールドは金髪の少女と話し合っている。


「だからねデラウェア、この子を列車に――」

「いつも言ってるでしょ? 私たちは慈善事業じゃないって」


 少女――デラウェアはそう言い、ため息をついた。


「基本的に、人格体は自分の都市に残ってもらうわよ。食料にも限りがあるんでね」


 デラウェアは断るが、スプリングフィールドは感情論で押し切ろうとする。

 フランクリンは、自分の処遇を考えているのだと察し――立ち上がり、二人に話しかけることにした。


「ねぇ――」


 フランクリンが話しかけると、二人は同時に彼女の方を向いた。


「……あら、起きたの? すまないけど――」


 デラウェアが言うのを、スプリングフィールドが遮った。


「あ、起きたんだ! 名前は?」


 スプリングフィールドに聞かれ、彼女は少し戸惑った――が、すぐに名前を思い出した。


「……フランクリン」

「普通の女の子の名前じゃない――人格体だな」テキサスが言った。

「でも、フランクリンってとこ、あったっけ?」


 スプリングフィールドが尋ねると、テキサスが言った。


「俺が知る限りはないな――どっかにはありそうだが」


 テキサスはそういうと、デラウェアに目線を送った。

 デラウェアは一瞬黙ってから、ゆっくりと口を開いた。


「――ないことはないだろうけど、おそらく全部小都市だろうね」


 スプリングフィールドが首を傾げた。


「小都市……霧に耐えられるレベル?」

「さぁ? でも、発生日(ラックス・デー)から1年以上経ってるし――普通なら、耐えれないと思う。それに地図を見る限り、この近くに”フランクリン”って街は存在しなかった」


 沈黙が流れた。

 スプリングフィールドが、小さく声を上げる。


「でもこの子、普通に話してるよ?」


 デラウェアはフランクリンをじっと見つめた。

 それから、少しだけ目を細める。


「……確かに妙だね」


「ここにおいていくのは?」テキサスが言った。

「幸いカンザスシティの双子は生きてたんだし、彼らに任せるのはどうだ」


 カンザスシティの双子――カンザスシティを守る、二人の人格体だ。


「だめだよ」スプリングフィールドは止めた。

「あの子たち、あんま強くなかったでしょ?」


「……確かに、正しい」デラウェアが答えた。

「それに、もし霧都市となったら――その被害は、計り知れない」


「じゃあ連れて行こうよ!」


 スプリングフィールドが言った。

 デラウェアは、一瞬だけ考えた。


「……研究対象として、ね。霧に耐える小都市なんて、聞いたことがない」


 そして、フランクリンを見た。


「決めた。フランクリン、あんたはここにいてもいい。ただし――住むなら働いてもらうから」


 ▽ ▽ ▽


 というわけで列車に乗ることが決まったフランクリンに、デラウェアは手を差し出した。

 とりあえず受け取り、大きく握手をする。


「改めまして、私はデラウェア――合衆列車(フィフティ・トレイル)の列車長よ」


 デラウェアは、思ったより背の低い少女だった。

 さっきは近くにテキサスという巨体があったせいだと思えたが、こう見ると本当に背が低いらしい。

 フランクリンは女の子の平均値といった身長だが――本当にまっすぐ見れば――フランクリンの目線が、彼女の金色のつむじに向かってしまうといった有り様だった。


 それからデラウェアは、テキサスに目で合図した。


「俺はテキサス。なんだかんだあって、この列車に乗ることになった」

「――あたしはスプリングフィールド! 安心して、この列車は絶対に安全だから!」

「おい、俺まだ合図してないぞ」


 テキサスはため息をつき、青色のロングヘアをした少女に合図した。


「私はミシガン――この列車の開発者。まぁ、実際は《《もう一人》》いたんだけど……まぁ、よろしく」


 ミシガンはそういうと、黄色いスーツをした女性に目で合図した。


「私はアイオワ――この列車の料理長です。美味しいご飯はお任せください。こちらは――」

「ネブラスカだ」


 アイオワの後ろから、金髪の少年が出てきた。

 しかし、目元は暗い。


「……まぁ、一緒に料理をしてる。戦うことはないだろうが、よろしくな」


 ネブラスカはそういうと、またアイオワの後ろに隠れた。

 フランクリンは、小さくため息をついた。


(……この列車、変わった人ばかりだ)



ここまでお読みいただきありがとうございます。

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