17 改造日本車 デ・カーゴ
車の改造は、ざっと3時間ぐらいで終わった。
工具は、一切いらなかった。
なぜならデトロイトの能力「メタルモーター」は、金属を自由に操ることができる能力だ。
鉄を金に変えたり、なにもないところから鉄を作ることはできないが――逆に言えば、それ以外は自由に金属を弄くり回せる。
つまり、彼自体が工具箱なのだ。
その間、デトロイトは「日本車がいかに素晴らしいか」を、延々と語り続けていた。
いや、それで3時間場をもたせるのは不可能に近いので、途中から「車の歴史」「フォード社成功の秘訣」「デトロイトはなぜ破産したか」といった話題に移っていた。
そして、肝心のシカゴはというと――ほとんどの話を、全然真面目に聞いていなかった。
なにせシカゴは車の知識がないし、学ぼうと思うような興味もない。
だからシカゴは――雑に相打ちを打ちながら、渋々デトロイトの話に付き合っていた。
――なお「デトロイトはなぜ破産したか」という話題になった時、シカゴが異様に食いついて、デトロイトが嫌な目で彼を見たのはココだけの話だ。
動力についてだが、デトロイトが実験で大量に得た都市の記録で解決した。
その記録の一部を、エンジンの触媒にすることにしたのだ。
だが――
(……このペンダント、絶対都市の記録やろなぁ)
シカゴは、デトロイトが首にかけているペンダントを見て、ただため息をついた。
それは雑に組み合わせた金属の中に、緑色の宝石のようなものが入ったペンダントだった。
宝石の中には光る粒子のようなものが見え、普通の宝石にはまず見えない。
それに――デトロイトがこんなものを身につける理由が、それ以外見当たらなかった。
「……おい」
デトロイトは――ボンネットを開けて改造しながら――シカゴに鋭い声を浴びせた。
「ジロジロ見るな」
「……わかった」
どういう事情かはわからないが、とにかく大切にしていることはわかった。
▽ ▽ ▽
3時間後。
トヨタ車の改造に、一段落がついた。
デトロイトは車のボンネットの蓋を引き寄せ、車のところに溶接する。
それからボンネットを開けしめし、収納ができているか確認した。
「……よし、ちゃんと出来てる」
「何が?」
シカゴが尋ねると、デトロイトは説明した。
「普通のワゴン車には、ボンネット収納がないんだ――エンジンとか、ラジエーターとかでパンパンだからね」
シカゴは理解できなかったが、「収納が増えた」ということだけはわかった。
それから彼らは、車を廃工場兼デトロイトの家に走らせた。
乗り心地は、まぁそこそこだ。
「よし、出発しよう」
シカゴが言うと、デトロイトは「待って」と言った。
それから、「タイヤ取ってくる」と工場を飛び出した。
しばらくして、デトロイトは――タイヤを6個ほど抱え、工場に戻ってきた。
もちろん――6個すべて――デトロイトの能力により、空中に浮いていた。
「これは?」
シカゴが尋ねると、デトロイトは当然といったように答えた。
「スペアタイヤ――パンクしたら、こまるでしょ」
「心配性だな」
「立ち往生よりはマシだよ」
それから3人は、後部座席の収納にタイヤを詰め込んだ。
そして、デトロイトが運転席に座った。
シカゴも手招きされ、助手席の方へと座った。
「……名前、どうする」シカゴが尋ねた。
「名前?」
「俺達の愛車だろ? 面白い名前をつけてやらんと」
デトロイトは少し考えてから、ひらめいたように言った。
「デカゴ」
デトロイトの発言に、シカゴはケラケラ笑った。
「それ、”デ”トロイトとシ”カゴ”を足しただけじゃないか――デ・カーゴとかどうだ?」
「なぜ荷物なんだ」
「響き」
こうして、「改造日本車 デ・カーゴ」が完成した――
ここまでお読みいただきありがとうございます。
「面白い!」「続きを読みたい!」と思ったなら、ブックマークへの登録・星5の評価をお願いします。




