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霧に支配されたアメリカで、州擬人化たちは都市解放の旅に出る ~フィフティ・トレイル~《シカゴ編開始》  作者: 輝城蒼空
デ・カーゴの旅編

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17/21

17 改造日本車 デ・カーゴ

 車の改造は、ざっと3時間ぐらいで終わった。


 工具は、一切いらなかった。

 なぜならデトロイトの能力「メタルモーター」は、金属を自由に操ることができる能力だ。

 鉄を金に変えたり、なにもないところから鉄を作ることはできないが――逆に言えば、それ以外は自由に金属を弄くり回せる。

 つまり、彼自体が工具箱なのだ。


 その間、デトロイトは「日本車がいかに素晴らしいか」を、延々と語り続けていた。

 いや、それで3時間場をもたせるのは不可能に近いので、途中から「車の歴史」「フォード社成功の秘訣」「デトロイトはなぜ破産したか」といった話題に移っていた。


 そして、肝心のシカゴはというと――ほとんどの話を、全然真面目に聞いていなかった。

 なにせシカゴは車の知識がないし、学ぼうと思うような興味もない。

 だからシカゴは――雑に相打ちを打ちながら、渋々デトロイトの話に付き合っていた。


 ――なお「デトロイトはなぜ破産したか」という話題になった時、シカゴが異様に食いついて、デトロイトが嫌な目で彼を見たのはココだけの話だ。


 動力についてだが、デトロイトが実験で大量に得た都市の記録で解決した。

 その記録の一部を、エンジンの触媒にすることにしたのだ。

 だが――


(……このペンダント、絶対都市の記録やろなぁ)


 シカゴは、デトロイトが首にかけているペンダントを見て、ただため息をついた。

 それは雑に組み合わせた金属の中に、緑色の宝石(エメラルド)のようなものが入ったペンダントだった。


 宝石の中には光る粒子のようなものが見え、普通の宝石にはまず見えない。

 それに――デトロイトがこんなものを身につける理由が、それ以外見当たらなかった。


「……おい」


 デトロイトは――ボンネットを開けて改造しながら――シカゴに鋭い声を浴びせた。


「ジロジロ見るな」

「……わかった」


 どういう事情かはわからないが、とにかく大切にしていることはわかった。


 ▽ ▽ ▽


 3時間後。

 トヨタ車の改造に、一段落がついた。


 デトロイトは車のボンネットの蓋を引き寄せ、車のところに溶接する。

 それからボンネットを開けしめし、収納ができているか確認した。


「……よし、ちゃんと出来てる」

「何が?」


 シカゴが尋ねると、デトロイトは説明した。


「普通のワゴン車には、ボンネット収納がないんだ――エンジンとか、ラジエーターとかでパンパンだからね」


 シカゴは理解できなかったが、「収納が増えた」ということだけはわかった。


 それから彼らは、車を廃工場兼デトロイトの家に走らせた。

 乗り心地は、まぁそこそこだ。


「よし、出発しよう」


 シカゴが言うと、デトロイトは「待って」と言った。

 それから、「タイヤ取ってくる」と工場を飛び出した。


 しばらくして、デトロイトは――タイヤを6個ほど抱え、工場に戻ってきた。


 もちろん――6個すべて――デトロイトの能力により、空中に浮いていた。


「これは?」


 シカゴが尋ねると、デトロイトは当然といったように答えた。


「スペアタイヤ――パンクしたら、こまるでしょ」

「心配性だな」

「立ち往生よりはマシだよ」


 それから3人は、後部座席の収納にタイヤを詰め込んだ。

 そして、デトロイトが運転席に座った。


 シカゴも手招きされ、助手席の方へと座った。


「……名前、どうする」シカゴが尋ねた。

「名前?」

「俺達の愛車だろ? 面白い名前をつけてやらんと」


 デトロイトは少し考えてから、ひらめいたように言った。


「デカゴ」


 デトロイトの発言に、シカゴはケラケラ笑った。


「それ、”デ”トロイトとシ”カゴ”を足しただけじゃないか――デ・カーゴとかどうだ?」


「なぜ荷物(カーゴ)なんだ」

「響き」


 こうして、「改造日本車 デ・カーゴ」が完成した――

ここまでお読みいただきありがとうございます。

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