15 バスケ大会
ミシオがオトリになる作戦は、見事成功した。
彼らは駅前広場にミシオを置き、みんなでその前を見張った。
最初はたくさんの霧都市がやってきたが――2週間がたったころには、町中の霧都市は殆ど消えていた。
一週間たったところで、デラウェアが尋ねた。
「ふぅ……インディアナ、ここからは一人で守れるかしら?」
インディアナは、頷いた。
「じゃあ大丈夫そうね。私たちは、シカゴへ急いでるの――ここは、ただの寄り道よ」
「寄り道? ――急いでるのに?」
インディアナの質問に、デラウェアは少し黙った。
言うべきかどうか迷った後――彼女は、なんとかはぐらかすことにした。
「シカゴ周辺は、名もなき霧都市が多いの――だから、ここで下ごしらえをするのよ」
嘘はついていないが、肝心の真実も言っていない。
だがインディアナは、デラウェアの発言を信用した。
その時――駅前広場に、他のメンバーもやってきた。
具体的には、列車メンバー全員と――アイオワにつれられた、インディアナポリスだった。
「――インディアナポリス」インディアナが言った。
「列車から出るな、って言ってたでしょ?」
インディアナが問い詰めると、インディアナポリスは「えー」とブーイングした。
「……でも、スプリングフィールドのお姉ちゃんが、バスケしようって言ったから……」
インディアナは、ため息をついた。
それから――厳しい目つきで、スプリングフィールドの方を見た。
「いや――ほんとにかわいそうだったから!」
スプリングフィールドがそう弁明すると、インディアナはため息をついた。
それから、少し考え――二人の方を見た。
「まぁ、確かに――この子も、ストレスが溜まってたでしょうし」
それからインディアナは、早速バスケ大会の計画を始めた――
▽ ▽ ▽
それから、バスケ大会の準備が始まった。
まずは彼らがバスケをしている間、ミシオを防衛する担当を決めることになった――が、これはミシガンで即決した。
なにせ彼女自身から、「任せて」と申し出たのだ――みんな一人で防衛などしたくなかったもんだから、喜んで彼女に押し付けたのだ。
それから、バスケットコートを探すことになった――が、これもインディアナポリスの固有魔法「フージャーズのコート」で解決した。
この固有魔法は、バスケットコートの見た目をした異空間を作成できるというものだ。
この中でバスケの試合をし、インディアナポリスに勝利するか――インディアナポリスが異空間を解除しない限り、脱出はほぼ不可能らしい。
次に、参加者を選ぶことになった――が、ここはインディアナポリスの頼みにより、ミシガン以外の全員が参加となった。
総計8人だったが、インディアナポリスとインディアナが強すぎるということで、6対2の試合になった。
最後に、ルールの改変に入った。
なにせこのメンバーは――インディアナとインディアナポリスを除き――みな、バスケをまともにやったことがなかったのだ。
皆体力も技術力も十分ではないため、10分の試合を繰り返すことになった。
配点も、「バスケットゴールの縁に当たれば1点」「本当に入れば2点」というものになった。
そして、「フィフティ・トレイル バスケットボール大会」が始まった――
▽ ▽ ▽
結果は、チーム・インディアナポリスの圧勝だった。
なにせ列車のメンバーは、バスケをほとんどやってない素人なのだ。
そんな素人集団が、バスケのことしか考えてないインディアナポリスに勝てるわけがない。
「こんなの、最初から勝ち目なかったんだよ」
ネブラスカが悪態をつく中、インディアナポリスは満足そうだった。
「ほらね! あたいにバスケで勝てるなんて、100億光年早いわ!」
光年は、時間じゃなくて距離の単位だ――そう反論できる人は、この場にいなかった。
それから「水分補給」という名目で――インディアナが、ミネラルウォーターをふるまった。
人格体に水分が必要か、フランクリンはわからなかったが――まぁ喉の渇きは確かだったので、ありがたくうけとることにした。
インディアナポリスがフィールドを解除し、8人はミシガンのいる駅前広場に帰ってきた。
「おかえり――あら、みんな汗だくね」
ミシガンはそう言って、凍った湖を呼び出した。
「――どこの湖かは知らないけど、冷たい湖をもってきたわ」
インディアナポリスが口をつけようとするが、寸前でインディアナが止めた。
「……危ないわ。病気になっちゃう」
インディアナポリスは「でも、あたいは人格体だから……」と屁理屈をこねたが、最終的に諦めた。
▽ ▽ ▽
それから9人は、ミシガンが召喚した凍った湖の前で涼んだ。
しかし湖が冷たすぎたのか――10分程で、インディアナポリスの体がブルブルと震え出した。
それを見たミシガンは、湖を完全に消した。
「あー、あったかい……」
インディアナポリスは元の気温に戻り、夢うつつといった表情になる。
それを見たインディアナは、インディアナポリスを抱えあげた。
「ありがとうございます、こんなにお世話になって――」
インディアナは、頭を下げた。
「いえ、いいの」デラウェアは答えた。
「それより、私たちはシカゴに向かってる――しばらく、離れ離れになりそうね」
インディアナポリスは、インディアナの背中で眠りについていた。
フランクリンはそれを見て、小声で「じゃあね」と呟いた。
「何やってるの? 早くいくよ!」
スプリングフィールドが急かす。
どうやら、もう列車に戻るらしい。
そんなこんなで、インディアナでの出来事は終わりを告げた――
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