14 インディアナポリス到着
所変わって、フィフティ・トレイル。
寄り道しなければニューヨークまで行けるほどの「都市の記録」を積んだこの列車は、イリノイ南部を素通りし、インディアナポリスまでやってきた。
「ふぅ……到着ね」
ついたところで、デラウェアが言った。
「今日は案内人いないの?」スプリングフィールドが尋ねた。
「案内人?」
「ほら、セントルイスさんみたいな……」
スプリングフィールドの質問に、デラウェアはくすりと笑った。
「――安心して、ちゃんといるわよ」
それから、5人で駅を出た。
ホームに出ると、二人の人格体が彼らを出迎えた。
「おっ、列車じゃん!」
一人――茶髪に褐色の肌をした少女――が、5人に向かって手を振った。
「――ちょっと、迷惑よ」
もう一人――少し背の高い、そして彼女に似た容姿の女性――が、彼女をおちつかせた。
(――親子みたいだ)
もちろん、人格体に血縁という概念などないだろう。
しかしフランクリンは、なんとなくそう思った。
背の高いほうが、5人に向かって頭を下げた。
「――はじめまして。私はインディアナ、インディアナ州の人格体です」
「あたいはインディアナポリス! バスケなら、絶対負けないんだから!」
この列車にバスケ経験者がいるかは知らないが、彼女の自信は絶対的なようである。
インディアナはインディアナポリスをなだめると、5人に向かって説明した。
「この子、本当にバスケが大好きで――でも霧がきてから、遊び相手がいないもんで。だから、すっごくストレスがたまってるんです」
それを聞いたスプリングフィールドは、とんでもない提案をした。
「じゃあ、あたしたちが相手してあげる!」
彼女の発言に、その場にいた全員がドン引きした。
例外はインディアナポリスで、彼女だけ目を輝かせている。
「……おい、俺たちの仕事を忘れたのか」
テキサスが指摘すると、スプリングフィールドはハッとして笑った。
「わかってるって! ――インディアナポリス、バスケは仕事が終わってからね」
「仕事?」
「えっと……まぁ、今は忙しいのよ」
「えー……」とブーイングするインディアナポリスを見て、デラウェアはため息をついた。
「……これ、完全に子供ね」
デラウェアの発言に、インディアナは頭を下げた。
「本当にそうなんです――ごめんなさい」
「いや、別にいいけど……とにかく、この子の面倒はアイオワたちに任せるわ」
▽ ▽ ▽
とりあえず、インディアナポリスは列車で留守してもらうことにした。
インディアナポリスの固有魔法など知らないが、この性格とテンションからして、足手まといになるのは間違いないだろう。
ネブラスカは「子守は苦手だ」と言っていたが――アイオワになだめられ、渋々引き受けた。
「さっ、計画を立てるわよ」
インディアナポリスたちがいなくなったところで、ミシガンがホワイトボードの前にたった。
「インディアナ、霧都市にリーダーっぽいのはいた?」
ミシガンが尋ねると、インディアナは首を横に振った。
「いいえ――そんなのは、見当たらなかったわ」
インディアナの言葉を聞いて、ミシガンはすぐに計画を立てた。
「決めた――今回の作戦はこうよ。”ミシオがオトリになる作戦”」
まただいたいの内容が察せる作戦名だったが、とりあえず聞くことにした。
ミシガンいわく、ミシオには敵を引き寄せる副作用があるとのこと。
だからそれをオトリにして、きたところを潰すのだとか。
「……タワーディフェンス、ってことね」
インディアナが出した結論に、ミシガンは「そう」と答えた。
「残念というか幸いというか、ここにはリーダーとなるやつがいないみたいだし――だから、出てきたところを叩けばいいの」
今回も――ミシガンの出した計画に、反論する者はいなかった。
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