プロローグ
「おーい」
突然だが、引きこもりの僕のところに毎日不良少女がやってくる。一ヶ月前に学校をやめて引きこもっている僕の所に毎日。
「聞こえてないのかぁ仕方ないなあ」
そう言って相手はがちゃがちゃと何度もドアノブを回している。僕はそれを聞いてため息を吐きながらドアの方へと向かう。一回でも会わないとこの人はドアの前にずっと居座るのをぼくは知っている。深夜にトイレに行こうと思ってドアを開けたときに眼の前で寝てたときは本当にびっくりしたものだ。
「おっ」
ドアを開けると二つの綺麗な青い瞳と目が合う。一瞬固まっていた顔がすぐに満面の笑みへと変わる。
「なんだよいるならすぐ返事しろよ」
「どうせ返事しなくても居座り続けるくせに」
僕は彼女を部屋の中に招き入れる。
「にしても」
部屋に入ると彼女は部屋中を見渡す。
「相変わらずベッド以外この部屋何もねえ」
「物は少ないほうが好きなんだよ」
僕は悪態をつきながら部屋を見渡す。ベッド以外何も置かれていない。生活感がほぼ感じられない部屋に我ながら笑えてくる。この部屋は今の僕その物だなと。
「なぁ高橋」
呼びかける声へと顔を向ける。短い髪を白く染めた彼女と目が合う。
「今日は何して遊ぶ?」
そう言って笑う彼女は手にしていた手提げ袋からトランプやら携帯ゲーム機などを取り出しながら問い掛けてくる。どうやら今日もこの部屋で遊んで行くつもりみたいだ。僕は彼女が帰ることを半ば諦めながら窓から見える外へと目を向ける。そしてこの生活を送ることになった出来事を思い返した。