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神殺人殺  作者: ナノ
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第57話 隠し要素7

まあ、何はともあれ無事にファントムを無力化出来たことだし早めに始末するか。

そう思い一応警戒しながらナイフを握りファントムに近づく。


一歩一歩と歩みを進めやがてファントムとの距離が1mを切ったところでナイフをファントムの心臓に突き刺す。



しかし、目の前にいたはずのファントムの姿は無くなっており、代わりに数メートル先に見知らぬ男が瀕死のファントムを雑に抱えながら俺を見ている。


「ボ、ボス...」


その男の抱え方が雑だったためファントムの欠損した腕の付け根から血が大量にあふれ出し、ファントムは息絶えた。


「まさか、ファントムを倒すとはな。まあ、元闇影のα1なら当然か。」


男は俺がα1だという事を知っている。

外に漏れるはずのなかった情報。

元雷鳴の情報担当である冬川ですら知らなかった情報。

そんな一部の関係者しか知らないはずの情報をなぜか目の前の男は持っている。


「一応聞くが、なぜ俺がα1であることを知っている?」


「アルカディア条約、この一言だけでも伝わっただろう。」


その言葉を聞いて俺は言葉にならないほどの怒りがこみ上げる。

アルカディア条約。

俺の大切な人をなくすことになったきっかけ。

その条約にこの男が関わっているならば何よりも優先して排除しなければならない。


「ほお、良い目になったな。その冷たく鋭い目。瞳の奥には限りなく闇が広がっている。」


「暁…?」


俺の雰囲気を直感的にヤバいと感じ取ったのか近くにいた冬川は雷鳴を相手にすると決めた時よりも恐怖に縛られている。


久しぶりにこれほどまでに怒りが湧いた気がする。


「私を追い詰めることが出来たら、アルカディア条約で私がどのようにかかわっていたか教えよう」


そして、男は抱えていたファントムを軽くポンと叩く。

すると、死んだはずのファントムが蘇った。


それに、ただ蘇っただけではない。

欠損したはずのファントムの腕は綺麗に再生している。


恐らくは男の能力。

死者蘇生?治癒?



「次は油断するなよ」


「申し訳ありません」


ファントムは状況を察したようですぐに戦闘態勢に入った。

状況としては2対1。

それも、俺と同等の実力のファントムと実力未知数の男。

かなり不利な勝負になる…と思うだろう。

今の俺は無意識にかけていたリッミッターを怒りで解除している。

さっきまでの俺とは違う。



俺は地を全力で蹴り、一瞬にしてファントムとの距離を詰める。

ファントムはそれに反応し、防御の体制を取ろうとしたが、その隙を与える暇もなくファントムの首を切り落とす。


すぐさま体を反転させ男の腹に蹴りを入れる。



その蹴りで男は吹っ飛び腹に風穴が開いたが、一瞬にして再生されてしまった。

それに、同時にファントムも再生している。


「ボス、こいつさっきまでとは」


「ああ、別物だな。まあ、俺が殺されなければお前は死ぬことはない。何回死んでも奴を殺せ」


「ハハ、了解」


ファントムは苦笑いをし、俺に突撃する。


俺は近づいてきたファントムを一瞬にしてバラバラに解体するが、男の能力によってすぐに再生する。



埒が明かないと判断し俺は攻撃の対象をファントムから男へと変える。

男の実力はファントムよりも強く、一筋縄ではいかない。

でも、それは俺が能力を使っていないから。


俺は能力を使い疑似的な瞬間移動を行い男との距離を限りなくゼロにした。


そして、そのままナイフを男の胸元に突き刺そうとしたが、男が指をパチンと鳴らしたと同時に数秒前にいた場所に戻っていた。


今の不可思議な現象でやっと男の能力に見当がついた。


「時間を操る能力か」


俺がポツリと呟くと男はそれに反応する。


「察しが良いな。そうだ、俺の能力は時間を操る能力。いや、そこまで便利な能力ではない。範囲内の時間を少し巻き戻すだけだ。」


便利な能力でないと謙遜する男だが、十分に強い能力と言っていいだろう。


「そんな具体的に能力を教えて良かったのか?」


「ああ、お前の実力程度なら大丈夫だと判断した。」


一切表情を崩さずそんなことを言う男。

雷鳴のボスでありアルカディア条約の関係者。


正直な話、拷問をしてアルカディア条約で何を行ったかを聞きたかったが、この男を生け捕りにするには骨が折れる。

そう思い、俺はこの戦闘を終わらせることにする。


目を閉じ、集中する。

その間にファントムが全力で俺に近づいてくる気配を感じ取ったが気にしない。

1秒未満のその時間で俺はあの技を発動する。



残桜世界ざんおうせかい


数日前に神ヨネアに貰ったスキル。

範囲内の敵を俺の仮想空間に引き込む技。


今にも散りそうな桜の木の根元にはファントムとボス、それと冬川が居る。

だが、ボスもファントムも動こうとはしない。

いや、動けない。

俺がそう命じているから。


「え、ここは何処?」


この空間で冬川の行動を制限していないため、冬川はそんな発言をすることが出来る。


「まあ、俺の奥の手的な技だ。かなり精神力を使うから連発出来ないけどな。」


そう言って俺は微動だにしないボスとファントムに近づき、今度こそボスとファントムの首をはねた。



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