第46話 新しい仲間
「急にというか、急に決まったから仕方ないだろ」
「矢野君たちが納得するか分からないわよ」
確かに新しい仲間を入れるのはリスクが高く、勇人は納得しない可能性がある。
だが、元雷鳴という戦力を逃すわけにはいかない。
「それを説得するのがお前の役目だ。それに、リーダーである雪が言ったら意外と簡単に承諾してくれると思うぞ。」
雪は色々と文句を言ったが最後には「了解」と言って電話を切った。
あとは、雪たちがこっちに到着するのを待つだけか。
30分ほどして雪たちが到着した。
俺は全員を校長室に案内する。
全員で12人が校長室で集まっているがそれでもまだ広く感じるほどに広々とした空間だ。
さすがお嬢様学校の校長室だな。
そして、お互いのチームで軽く自己紹介を終わらせる。
勿論、能力も教えあった。
始めは両チームから勇人、白石が能力公開を拒んでいたが、両チームのリーダが強制したことにより無事、自己紹介を終わらせることが出来た。
「それで、さっきから気になったんだけど、夢羽ちゃんって小学生?」
歩が俺と同じ感想を抱いていた。
だが、その発言は歩にとって地雷を踏みぬいたことになる。
俺がそうだったから。
予想通り、冬川は歩に近づきその細い腕で歩の腹部を殴った。
だが、俺の時と同様にダメージは入っていない。
頭脳にステータスを全部りしたような感じだな。
「私は18歳だ。覚えておけ」
「ごめんごめん」
ここでも、歩の良くないところが出ていて、誠意のない謝罪をしている。
冬川はどう見ても許していない。
優秀な殺し屋ですら恐れていた雷鳴の人間を一般人である歩が敵に回すという事は誰も想像が出来なかっただろう。
そんな夢羽を気にしつつ俺は話を進める。
「それで、これからの事なんだが、雪と冬川がこのチームのリーダーという事でどうだろうか?」
「暁じゃダメなのか?」
俺の実力を知っている白石がそう言った。
そんな白石を俺は本人しか気づかないように睨みつけた。
そう、俺の実力を知っている者は現状は雪、冬川、白石しかいない。
雪と冬川にとっては今の発言は何とも思わなかっただろうが、他の人間には意味が分からなかっただろう。
特に、勇人たちには能力がハズレの人間としか思われていなかったはずだ。
冬川のチームの人間にはLv10のゲームをクリアしたことにより少し強いかもしれないという評価だろう。
「リーダーに必要な要素はカリスマ性と頭脳だと思う。それを加味したら俺は向いていない」
実際はこの中の誰よりもリーダーに向いているという自負があるが、生憎実力をばらしたくないため裏で操る側に回らせてもらう。
「聞いていいか?なぜ2人をリーダーにしたんだ?決定権を持つものが複数人いると意見の対立が生まれる可能性がある。」
確かに、この意見は正しい。
決定権を持つ者の意見が割れれば色々問題が起きる可能性がある。
だが、今回の事に関しては雪と冬川は裏で操る俺の意見を尊重する。
いや、俺の意見が絶対だ。
だから、実質的にはリーダーは俺一人。
「今回、合計で12人のチームになる。リーダーが一人だと負担が大きいと感じた。雪と冬川はこの意見どう思う」
ここで、冬川と雪に意見を求めることで無理やりにでも俺の意見を通すことにする。
「私は良いと思うわ」
「私も賛成」
これで、リーダが雪と冬川という事に決定した。
それでも、この意見に反対するという事は一時的に雪と冬川の敵になるという事。
この2人を言い負かせる人間はこの中にはいない。
今回この2人をリーダにしたのは、リーダーへの負担が大きいと説明したが、実際には他の理由がある。
実際、冬川は雷鳴でおそらくリーダー的な役目をしていただろう。
その時に、もっと大人数をまとめていたことが想像できる。
雪も、冬川には劣るが12人をまとめることくらい容易にやってのけるはずだ。
では、なぜ2人をリーダに起用したかだが、俺の実力を知っている人間と俺の実力と過去をある程度知っている人間、この2つで使い分けたほうが後々のためになると思ったからだ。
まだ、雪には俺の過去を話す予定はない。
冬川は現状、組織の人間に狙われている。
組織関係のトラブルがあったとき、仮に冬川が機能しなくなったら代わりのリーダーが必要になる。
だが、急にリーダーをしろと言われても厳しいものがある。
だから、普段からリーダーを2人にしとけばそれらの問題を解決できる。
もう一つの理由として、俺がボスを殺すと決めたときに冬川は連れて行きたい。
冬川の実力があれば邪魔にはならないし、何ならプラスに働くだろう。
もし、ボス戦で俺と冬川が死んだら、勇人や歩、晴翔を守れる人間は雪しかいなくなる。
以上の事を踏まえると2人をリーダーにするというのは理にかなっている。
その後、色々な話し合いを終え、ひと段落する。
「じゃあ、親睦も兼ねてパーティーしようよ」
今まであまり話に入ってこなかった歩がそう言った。
いや、話に入ってこなかったのではなく、話に入ってこれなかったというべきだな。
なんせ、雪と冬川の話が高度すぎて歩は殆ど理解できていなかったと思う。
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